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    いぬさんです。

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    いぬさんです。

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    30話目です。おそらくようやく半分ですね。

    30どれくらいの時間悟の腕の中で泣いていただろうか。
    ようやく嗚咽が止まった。
    悟が頭を撫でてくれていた。

    「……俺の着替えなんてこの家にないよな……」

    「ん?」

    「実の汗と涙と鼻水でTシャツぐちゃぐちゃ」

    「!!!!!」

    「どうしよ」

    「とりあえず脱いで!洗う!送風乾燥しかついてないけどなんとか乾くかも!ダメならドライヤーで乾かす!!」

    「あ、じゃあパンツと靴下も洗って~」

    「増やさないで!!」

    悟はひょいひょいと服を脱ぐと脱衣所に向かった。

    「ここで脱がないで脱衣所で脱いでよ……!」

    「いーじゃん別にぃ」

    「良くないぃ」

    「ほら、実も」

    「え?私は着替えあるから別にいいよ」

    「すげー汗かいてたから流さないと風邪ひくよ?」

    にっこり(?)笑って手を差し出す悟。
    私は差し出された手をいつも取ってしまう。

    明るいバスルームでシャワーを浴びる。
    全て丸見えの状態で私はどうやって自分の体が悟る見えないようにするかしか考えていなかった。
    ただただ恥ずかしかったのだ。
    しかし悟は目の前にいてニヤニヤしている。

    「そんなにジロジロ見ないでよ!」

    「ねぇ、なんで今さら隠そうとするの?いい加減諦めたら?」

    「今さらも諦めるもないわよ!恥ずかしいものは恥ずかしいの!!」

    最善の策は一つ。
    私は悟に抱きついた。

    「そうきたか」

    背が高い悟が見下ろしても、私の背中とお尻の一部しか見えないはずだ。

    「ちょうどいいから始めようか」

    悟は私を抱きしめ、キスをし、傷を撫でた。
    傷にキスをし、舌を這わせた。
    悟は私の傷も愛してくれた。
    何度も何度も私の名前を呼び、愛してると繰り返してくれた。



    明け方まで____
    悟が「もう無理!」
    というまで何度も抱かれた。

    ぐちゃぐちゃのベッドで2人でまどろんでいると幸せを感じた。

    「悟……?」

    「もう無理」

    「そうじゃなくてぇ」

    おんなじタイミングで2人ともくっと笑う。

    「なに?」

    「本当に私でいいの?」

    「まだ疑う余地があるのか……そうか……」

    ふむ、と考える悟。

    「疑ってるとかじゃなくて、いろいろあるでしょ?」

    「あのね、目の前で惚れた女が自分と一緒にいたいって泣いてんの。そんで覚悟決まんない男がいたら、そんなヤツは男やめちまえ」

    「分かった?!」

    「わかった」

    「わかったらちょっと寝よう。俺このまま帰る体力ない」

    「そうだね。おやすみ!」

    「おやすみ、実」

    悟は目を閉じると、間もなく寝息をたて始めた。
    あぁ。
    私は私で良かった。
    五条実として生まれてきて良かった。
    辛いことはたくさんあったけど、今こうして愛する人の腕の中で眠ることができる。

    笑って
    泣いて
    怒って
    離ればなれになっても
    必ず引き戻されて
    抱きしめあって
    手を取り合って
    2人でいきていく

    魂の半分________


    あいしてる



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