フィジカル 好みのタイプ?君。……それ以外?仕方ないな。じゃあねえ……
どうして『それ』なのかはいくらせがんでも聞けなかった。聞く必要も無いくらいすぐにわかったからいいけど。
迫る拳を避け特殊警棒をボードで受け止める。我ながら衝撃を殺すのがうまくなったと思う。慣れてしまったのだろう。散々襲われた結果軌道なり何なりだって当然のように予想出来るようになった。かわすついでに襲撃者の顔を見る余裕さえ。
開く口が震えていたのは怒りか緊張か。前者だったようで、まくしたてられる言葉は速いしめちゃくちゃだしで聞き取れないけどいつものに違いなかった。何でお前が。どうして。そんなの俺だって知らない。ただ申し訳ないけどあなた達にそう言われたところで、なら譲るよと言葉を返す気にもならないので。
それにしても。てっきり一緒に長く滑れたほうが良いからみたいな話だと思っていた。まさか今後これがずっと続いたりするのでは。多少げんなり。
いつの間に男がゴールに立っている。今日も良い笑顔だ。何も言える気がしない。仕方ない、最後もう一度加速をかけて飛び込もう。それが出来る自分でまあ良かったんじゃないだろうか。