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    yowailobster

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    20210730 お弁当作ろう
    捕食願望を対象の作ったもので満たそうとする(満たせない)人と一緒に行けないかわりに通話繋げてる人が同じ人なの、あじわい

    ##明るい
    ##全年齢

    味わうにはまだ早い夜 することは簡単、ひとつ納品するだけ。拘束時間は短く給料はちょっと悪いくらい貰えてたまに菓子類まで付いてくる、それはもうお得な仕事の欠点がひとつあるとするなら前日連絡が多いことだろう。 といっても大体は大丈夫。問題が浮上するのはごくまれだ。例えばこんなふうに、夕飯作ると冷蔵庫空になるけどまあ買い出しは明日でいっか、と思っていたときとかだけ。
    「なにがいい?」
     この前の、とのったりした音楽に紛れ聞こえた答えは正直困るやつだった。画面を繋げなくて正解。今絶対顔に出てる。
     たぶんアレのことだろう。前日の残りとあれやこれやを一緒に炒めたら案外美味しかったやつ。気に入ったのかと尋ねれば何が入ってるのか分からなかったから確かめるのだと言う。そんなのこっちだってもう思い出せないが。
    「……わかった。やるだけやってみる」
     リクエストを受けてしまったからには挑戦あるのみ。適当にあれやこれやカゴに詰め向かったレジは静かだった。仕方ない。時間が時間だから。
     街灯の真っ白い棒と棒を結ぶように帰る間もイヤホンの向こうからはずっと声が止まない。寂しくないように、なんて気づかわれなくても本当は大丈夫だけど、なんとなく言わないでそのまま聞いていた。ちかちか光る白熱灯よりよほど主張の強い彼の声は、それなのにこの時間の空気と不思議なほどぴたりと合う。だれでも受け入れてくれそうなあたたかさ。心にするりと入ってそのまま居つかれてしまって、けどそれがイヤじゃない感じ。何だか近づかずにはいられない気持ちのそわそわも。
    「着いたからもう平気。うん、また明日」
     少しもったいなく思いながら夜の男にお別れを言う。楽しみにしているよ。言葉に背中をとんと叩かれたように背筋がちょっと伸びた。似たようなのを沢山投げられればもう、プレッシャーが。
    「……それなら俺じゃない方が」
     君じゃなければと言われても。
    「なんで? ……我慢? 代用? なに?」
     切られた。何が何だか分からない。これについて考えると普通に朝を越えそうなので、忘れて、下ごしらえだけして、寝る。うん。それがいい。
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