幕末のユリアルレヴィオン藩
ユリウス
藩内随一の商家の分家の次男として育てられる。実は藩主の落胤。
歳の離れた兄が家を継いだので特にお役目はなく、遊んで暮らして良い身分だが、生来の真面目な性格と天性の明晰な頭脳と、おまけに黒艦来航という時代の潮流が、彼に安逸な暮らしを許さない。
幼い頃は泣き虫で手のかかる、優秀とは言えない子供だったが、己の出自を知った頃からそれらはぴたりと治まってとても利発な少年となった。が、それ以前の評判が既に実父他城内に知れ渡っていたことや、そもそもの出自もあって、人となりも見ずに軽んぜられることが多い。
剣呑な人嫌いだが、人嫌いが過ぎて人を遠ざけるために穏やかな人物として振る舞っている。アルベールや心を許した相手の前ではわりに毒舌。
アルベール
下級騎士の生まれだが、生まれつき雷を操る能力を持つ。両親の愛情を一身に受けて育ち、少年期にその能力から将来の騎士団長候補としてスカウトされ、騎士団長に師事することとなる。師の指導のもとでみるみるうちに才能を開花、藩内随一の剣の使い手と名高く、その名は諸藩連合中の剣士に知れ渡っている。
とても素直でお人好し。
ユリウスとアルベール
いわゆる幼馴染。ユリウスがまだ己の出自を知らない泣き虫で、アルベールがまだ雷撃を制御できず同い年の子供とは遊べないでいた頃からの友人同士。きっかけは仲間外れ同士という縁だったが、すぐにそれ以上の何かを感じて無二の友となった。
子供の頃、二人だけの内緒の呼び方として互いに「親友殿」と呼び合う遊びをしていたが、大人になってもその癖が抜けていない。
アルベールは、その才覚を生かす場を与えられないユリウスのことを我が事のように悔しく残念に思っている。ユリウスは、未来の騎士団長にして最強の剣士と誉れ高いアルベールを誇らしく思っているが、城内が権謀術数の蠱毒であることもよく知っているため、お人好しのアルベールを内心心配している。
黒船
星の民の末裔にしてその使者と名乗る種族を乗せた船団。
レヴィオンを含む諸藩連合に島の明け渡しを要求している。
諸藩連合に比して圧倒的な技術力を持つが、本隊との補給が難しいらしく、現時点では武力制圧ではなく交渉を求めている。連合は首の皮一枚繋がっている状況。
なお、名前の都合、こちらが漢字圏。諸藩連合がカタカナ語圏。
触手(お竜)
ユリウスに生えている触手。出し入れ増殖自由自在。とっても強い。
黒船から持ち込まれた品を弄っていたら、生えてしまった。
この品は、レヴィオン藩主への献上品をユリウスの養家が預かっているものだったため、この一件がユリウスの脱藩のきっかけとなる。
言葉はもちろん、意思疎通もできないが、なんとなく雌のような気がする、とのことで異国風の女性名をつけて、お竜。
書き手の趣味でこの項目を建てたが、出番はない。
ユリウスの脱藩
ユリウスは開国を拒む保守派ではなく、黒船由来の技術に興味がある進取派だった。意見がなんであれ、藩政に参加する権利はなかったが。
そんな折、黒船から藩主への献上品をユリウスの養家で預かり、解析することになった。遂に藩主に話を聞いてもらう機会ができたとユリウスは張り切るが、その機能を藩上層部の役人に説明している最中に事故が起き、献上品が暴発、ユリウスは呪いを受け、異形の竜を身に宿すこととなる。
呪われた血として腹を切って藩主へ詫びろ、という論まで出現するなか、ユリウスも暴発事故の非までは認めるものの、この力を利用せず葬り去ろうという判断には呆れ果て、遂に触手の力も借りて脱藩を決行するに至った。
アルベールに事前に直接伝えることはできなかった。
アルベールは、騎士団長からユリウスの出奔と見つけ次第の処刑を伝えられ、そこで初めてユリウスが自分に何も告げずに去っていったことを知った。衝撃は大きかったが、それでもユリウスが処刑されるのは阻止したい一心で、アルベールは城下にユリウスを探し回った。
その頃すでにユリウスは島を出て空路であったのだが、アルベールがそれを知るのは都で再会したのちのことである。
都のユリウス
(めんどくさいから京都と江戸をひとまとめにします)
諸藩連合の中央政府がある都にやってきたユリウス。以前、一年ちょっと留学していたこともあり、僅かながら知己も土地勘もあったのでわりにどうにかやっていける。というか、出奔のどさくさに紛れて養家からちょろまかしてきた金品と、どこのお店も舶来品の解説ができる人急募という黒船ブームのおかげで、軌道にさえ乗ってしまえば、あとは全然まったく苦労しなかった。
舶来品よろず鑑定屋みたいな日々を送るなかで、ユリウスはさまざまな人物と知り合う。そしてユリウス自身も藩という狭い共同体から連合や空域全体と言った広い世界に目を向けるようになり、開国派の論客として頭角を顕していく。
都の面々
グランくんちのイメージだと、グランくんが強すぎて全部解決してくれそうなので、配役が、難しい
勝海舟は誰がいいかなあ
個人的にヨダ爺がいいんだけど。
フェードラッヘの騎士団
都の治安維持を担う自警機関。分隊には番号が振られている。一から四番隊が特に強い。
ヴァンピィ
女王に全権与えられて都にやってきた吸血鬼の少女。あまりにも自由だが言い出したら聞かない。
モニカ
奇兵隊をはじめた。わりと自由派
リーシャ
奇兵隊を引き継いだ。柔軟なのはいいことだと思うと言いながら、基本的には真面目。
騎士…じゃなかった、団長。「諸藩はバハにもいた子で組んでみた」というコンセプトはわかるが、これを連合させるのは私には荷が重いんじゃないかな?
藩に残ったアルベール
ユリウスが去った後、藩政は一気に保守派に傾くが、やがて連合各藩は黒船との覆せぬ軍事力の差を知り、徐々に保守派と開国派は拮抗、保守派は沈みゆく船となる。
レヴィオンの開国派(もともとの開国派ではなく、ユリウスの脱藩後に保守派から鞍替えしたものが大半を占める)も保守派を追い落として藩政を奪取する事を計画するが、その手法は軍事クーデターと要人暗殺によるものであった。
表向きの華々しいクーデターは騎士団長率いる騎士団によって行われた。その影で、要人暗殺の命を受けたのはアルベールであった。この国難に於いて、私利私欲に目を眩まし民と国を顧みぬものに、天に代わって雷を降らせよ、と。
お前が、帰ってくるかもしれないと言われたんだ。
俺が保守派の要人を暗殺すれば、藩は開国派に傾く。ユリウスは今や中央でも有名な開国派の論客だ。これまでの非礼を詫びて藩政に迎え入れれば、我が藩は開国派の雄藩として再び中央で返り咲くこともできよう、と。
「団長、本当に……?」
震える声でアルベールは尋ねた。
「本当に、ユリウスがここに帰ってこられるのか?」
「ああ、必ずだ。必ず私たちが、藩主様を説得して見せよう。そうだ、そして彼を出迎えるときは、お前が迎えに行くといい、アルベール。これからのお前の働きこそが、この国を彼を迎え入れられる国にするための、最初の地均しとなるのだから、最大の功労者であるお前が行くといい。ユリウス殿もきっと、親友であるお前の働きに感謝するだろう」
お前が、帰ってくると思ったんだ。お前がきっと喜ぶと思ったんだ。お前がずっと欲しかったものを、欲しくて仕方がなかったものを、やっと俺が与えることができる、と。
お前がもう、俺たちの国にはすっかり興味を失っているなんて、思いもしなかったんだ。