寒がり「セナ~」
「だ~め」
「セ~~ナ~~」
「だめったら駄目! フィレンツェにこたつなんて置けるわけないでしょ~!?」
このやりとりを三日おきくらいにしている。そろそろ勘弁して欲しい。このアパートは自分たちで暖房の管理ができるわけではなく、管理人の手によって自動的について自動的に消される。暖房がついている間は廊下までポカポカしていて、れおくんが例え床に寝転がって作曲していたとしても、なんら寒くない。しかし、管理人が怠けた日の朝は、正直俺でも寒くて布団から出たくないくらいなので気持ちはわかる。その上暖房は一日中ついているわけでもないのだ。そもそもイタリアは電気代が高くてファンヒーターの導入も少し渋っているくらいなのに、こたつなんて導入した日には光熱費だけで俺の財布はパンクしてしまいそうだ。れおくんに言ったら多分お金なんてどうとでもなるんだろうけれど、俺のプライドが許さないのだ。
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