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    sayutaba18

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    いずレオ短文。

    #いずレオ
    izuLeo

    寒がり「セナ~」
    「だ~め」
    「セ~~ナ~~」
    「だめったら駄目! フィレンツェにこたつなんて置けるわけないでしょ~!?」
     このやりとりを三日おきくらいにしている。そろそろ勘弁して欲しい。このアパートは自分たちで暖房の管理ができるわけではなく、管理人の手によって自動的について自動的に消される。暖房がついている間は廊下までポカポカしていて、れおくんが例え床に寝転がって作曲していたとしても、なんら寒くない。しかし、管理人が怠けた日の朝は、正直俺でも寒くて布団から出たくないくらいなので気持ちはわかる。その上暖房は一日中ついているわけでもないのだ。そもそもイタリアは電気代が高くてファンヒーターの導入も少し渋っているくらいなのに、こたつなんて導入した日には光熱費だけで俺の財布はパンクしてしまいそうだ。れおくんに言ったら多分お金なんてどうとでもなるんだろうけれど、俺のプライドが許さないのだ。
    「いい? ここは日本なの。イタリアの空気にこたつなんて合うわけがないでしょ~! だからなし!」
    「そうは言うけど家の中が寒すぎてもう無理! よってはおれはセナで暖を取ることにします! お邪魔しま~す」
    「お邪魔しま~すじゃないわこのアホ!」
     俺の膝の上に乗りあがってきたと思ったら、ぴったりと寸分の隙間も空けずに、ぎゅうっとれおくんは抱きついてきた。首元に埋まったオレンジ色の頭。バランスを取るために仕方なく俺も抱き返してあげる。外気と同じくらいに冷たくなった衣服。少しだけ震えている身体。れおくん寒さに弱いもんねぇ。
    「あぁ! もう! 脇の下に手入れないでよねぇ! 冷たい!」
    「だって指先が凍えるんだもん~。暖房がつくまであと何時間くらいかかるんだよセナ~!」
    「……二時間くらいかなぁ……? まさか二時間もこうしてるわけじゃないよねぇ!?」
    「ひとまず指先が温まるまでこうしてて! ちょっとしたらペンが持てる! そうすれば今日のセナは柑橘系の香り。の曲ができるから~!」
    「その題名はやめてよねぇ……」
     ふんふふ~ん♪ と鼻歌を奏でながらおでこをぐりぐりとしてくる。しばらくすると、急に顔をあげたと思ったらパッとれおくんは離れていって、テーブルに向かいガリガリとペンを走らせ出した。そ。もう暖房代わりは用無しってわけね。まぁ? 別にぃ? いいけどねぇ?
     急に胸元が寒くなって、空気の冷たさを感じる。もうちょっとあのままでも良かったかな、なんて思いながら俺も夕飯の用意に取り掛かった。

     俺を暖房代わりに使うのは解せないけれど、夜は湯たんぽ代わりと言って俺の布団に入ってくるし、日中もよく引っ付いてくる。じんわり熱を分け合うあの時間は、案外悪くない。
     れおくんの寒がりな特性も、まぁ……たまには役に立つんじゃない?

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    sayutaba18

    DONE月組と迷子の女の子。
    女の子視点です!
    ママがいなくなった。
     そのことに気づいた時には、頭がパニックになっちゃって、途端にここがどこかわからなくなっちゃった。大きな公園の横にある、お菓子が売っている場所を眺めていて、このお菓子食べたいなぁ。って手に取ってただけだったのに。
     悲しくなってきて、好きなお菓子も欲しくなくなって、棚へと戻した。お菓子なんかいらないからママに会いたい。そう思ってお菓子コーナーから離れても、知らない道で、余計にここがどこかわかりそうになくて、やっぱりお菓子の場所へと戻ってきた。どこに行っちゃったんだろう。ここで待ってたら、ママは帰ってくるのかな……? それとも、もうママには会えないのかな。
     気持ちがいっぱいになって、涙が溢れそうになる。泣いちゃだめ。泣いてもママは見つからない。お店の人に聞いたらママを探してくれるのかな。でも、誰がお店の人かわからない。

    「ねぇ、もしかしてお母さんを探してるの……?」
    「……っ」
     突然声を掛けられてビックリして振り替えると、真っ黒の髪の毛のお兄ちゃんが、わたしの背と同じくらいまでしゃがんで話しかけてきていた。
     眠そうなとろんとした赤い目が、いい人なのか、悪い人 2870