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    sayutaba18

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    クリスマスのいずレオ。

    #いずレオ
    izuLeo

    今日はクリスマス。骨つきで購入しておいた鶏肉に朝から包丁で切り込みを入れ、皮にフォークを何ヵ所も突き立てて下処理を終えた後、調味液に漬け込んでから仕事へと向かった。
     帰宅後は、ブロッコリーとミニトマトで簡易的なクリスマスツリーに見えるように盛り付けをし、ハムを星形にくりぬいて散りばめた。キャベツ、人参、たまねぎをくたくたになるまで煮たたせたコンソメスープも作ったので、これで今日の野菜摂取量とカロリーも大丈夫だろう。ここでシチュー系をリクエストされていたらカロリーオーバーになるところだった。主食は米かパンか悩んで、折角だからと帰りにパン屋に寄って中が軟らかそうなフランスパンを買った。もちろん既に食べやすい大きさに切り分けてある。オーブンを充分に温め、あとは仕込んでおいた鶏肉を焼けば、ローストチキンの完成だ。
     ……時刻はもうすぐ19時だ。これだけの量を食べるのならば、20時までには食べ終えておきたい。クリスマスだからといって自分を甘やかすほど能天気でもないのだ。ケーキは昨日ユニットでクリスマスパーティーをした時に、わざわざ凛月が焼いてきてくれたものを食べたのだから、本音を言えば今日は軽く済ませたいところだった。
     しかし、帰って来ないのだ。肝心の彼がが。今日は昼間の仕事だけだったはずなのに。
    「クリスマスにはセナの作ったローストチキンが食べたいな~! な! 作って!」なんて軽々しく言ってくれちゃって、それを馬鹿正直に作っている自分もどうかとは思うけれども、それくらいの願いなんて叶えてやろうじゃない。と息巻いていたのに。
     同居人であり恋人の月永レオが、……まだ帰って来ていないのである。



     玄関の扉を開けると、美味しそうな匂いがした。今日も瀬名の手作りご飯が食べられるありがたさを噛み締めて「ただいま~♪」と鼻息混じりに上機嫌でリビングへ入ると「おそい!」と、泣く子も黙るような大音量の声で、リビングのテレビを見ながら、こちらに視線も向けないで瀬名が怒りを現わにして一言だけ放った。思わずビクついて、一瞬息をすることも忘れ、目を極限まで開けてしまった気がする。
    「えっ、あっ、ごめん。ご飯、待っててくれたのか~……? お腹空いてたんだったら先に食べててくれても良かったのに」
    「あんたと食べようと思って待ってたけど、連絡くらいはできるよねぇ!?」
     時刻は20時半を少し回ったばかり。帰宅の時間としては遅くないはずだ。しかしまだ瀬名は目を合わせてくれない。
    「仕事帰り、途中で道に迷っちゃって、GPSに頼ってたら電池なくなっちゃって……ほんとにごめん」
    「……いいから。今から肉焼くから先にお風呂行ってきて」
    「肉……?」
    「あんたがローストチキン食べたいって言ったんでしょ~!?」
    「あっ」
     思い出した。軽はずみに、クリスマスには瀬名の作ったローストチキンが食べたいと言ったことを。テーブルに目を向けると、クリスマスツリーを模したサラダが置いてあるのが見えた。自分も仕事だったが、瀬名も仕事に行ってたのは知っている。帰って来てから、せっせと瀬名が自分のためにとご馳走を用意してくれている姿が目に浮かんで、酷く申し訳ない気持ちになった。
    「セナ……ほんとに作ってくれたんだな。嬉しい。ありがとう。大好きだ」
     レオのことを無視するかのようにオーブンのスイッチを入れたり、スープの味見をしたりとウロウロしている瀬名の元へ駆け寄り、そっと抱きついた。
    「当の本人は忘れてたみたいだけどぉ?」
    「忘れてない! ほんとはもっと早く帰るつもりだったんだ。ほんとに……せっかくの二人の時間、少なくなっちゃってごめん」
    「……そんなに謝られて許せないほど俺も鬼じゃないから。事故じゃなくて良かったしぃ? いいからお風呂入ってきなよ」
    「うん。ありがとう」
     やっと目を合わせてくれた瀬名にお礼を言い、そそくさと風呂場に行った。瀬名のご飯を早く食べたい一心で、はやる気持ちを抑えられず、ササッと風呂に入ってあがると、こんがり焼かれたパリパリのローストチキンに、パン、サラダ、スープと、豪勢なクリスマスディナーが用意されていた。瀬名はずるい。怒ってても、こうして最後はちゃんとご飯を用意してくれるんだもん。
     向かい合って座り、手を合わせ、夕食に手をつける。一口食べては「うまい!」と絶賛していると「当たり前でしょ~」と言う声が返ってくる。瀬名の機嫌も直ったようだ。時刻は21時を回ってしまった。二人でデートする訳でもない。イルミネーションも見に行く訳でもない。他愛なく日常を一緒に過ごすクリスマスでも、充分に幸せだとレオは思った。



     ご飯を食べ終わると、瀬名がお風呂に行ってしまったので、その間にレオが後片付けをした。時刻は23時を回ったところだ。瀬名はお風呂から上がったら早々に寝てしまうのだろう。
     実は帰宅が遅れたのには訳がある。クリスマスプレゼントを買いに行っていたのだ。前もって買えば良かったものの、仕事が忙しかったり、瀬名と一緒にいたりでうまくタイミングが掴めず、当日になってしまった。
     瀬名へのプレゼントもこれといって思い浮かばず、曲ばかりでは単調かと思い、ちょうど嵐が一緒にいたので瀬名に合うコスメを一緒に考えてもらった。それを一通りメモして、いっそお勧めを全部買って帰ろうと店へ向かう途中で迷子になったのである。店名をスマホに打ち込みGPSを頼りにウロウロした挙げ句、閉店ギリギリに店に辿り着いて「このメモのやつ! 全部買いますからプレゼント用に包んでください!」なんてことを言う羽目になってしまった。こんなことなら嵐について来て貰えば良かったと思った。
     帰宅してすぐに渡そうと思ったものの、瀬名はあの通り般若のようだったので渡すタイミングを見失ってしまった。ちなみにレオは昨日瀬名から手編みのマフラーを貰っている。今日も嬉々として巻いていった訳だが、瀬名の愛の詰まった作品が毎年自室に増えていくのが愛しくて堪らない。
     瀬名がお風呂からあがってきて「洗い物ありがとぉ」と声をかけてくれた。「こちらこそ。セナのご飯おいしかった! ありがとう。また来年も食べたい」と返せば「どういたしまして。来年も食べれるかはあんた次第だよねぇ」と言われた。来年はちゃんと定時で帰るようにします。……定時とかないけど。
    「明日早いから先に寝るね」と言われ、おやすみのキスをする。一瞬だけ触れた唇を追いかける暇もなく、瀬名は行ってしまった。
     でも、それでいい。せっかくだから、良い子にして待っててくれた瀬名の、サンタクロースになるために。
     瀬名が寝室に入ってから作曲に勤しんで、そろそろ寝るかと時計を見ると3時を過ぎていた。クリスマスもとっくに終わっている。慌てん坊ならぬ、遅刻魔のサンタクロースだけど許して欲しい。
     寝室に足を踏み入れ、瀬名が寝ているのを確認すると、瀬名の枕元にプレゼントをそっと添える。喜んでくれるといいな。昨日曲は既に渡していたから、自分からプレゼントがあるなんて瀬名は夢にも思っていないだろう。
     布団に潜り込んで、瀬名と手を繋ぐ。温かくて、細い指。願わくば、ずっとずっと、こうしていられますように。
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    sayutaba18

    DONEクリスマスのいずレオ。今日はクリスマス。骨つきで購入しておいた鶏肉に朝から包丁で切り込みを入れ、皮にフォークを何ヵ所も突き立てて下処理を終えた後、調味液に漬け込んでから仕事へと向かった。
     帰宅後は、ブロッコリーとミニトマトで簡易的なクリスマスツリーに見えるように盛り付けをし、ハムを星形にくりぬいて散りばめた。キャベツ、人参、たまねぎをくたくたになるまで煮たたせたコンソメスープも作ったので、これで今日の野菜摂取量とカロリーも大丈夫だろう。ここでシチュー系をリクエストされていたらカロリーオーバーになるところだった。主食は米かパンか悩んで、折角だからと帰りにパン屋に寄って中が軟らかそうなフランスパンを買った。もちろん既に食べやすい大きさに切り分けてある。オーブンを充分に温め、あとは仕込んでおいた鶏肉を焼けば、ローストチキンの完成だ。
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    梅酒美味しい

    DONE何番煎じのギャグです←
    ずっとミュージックの待機時間にアイドル達がわちゃわちゃしてる姿があるだろうなぁと思っていたので書いてみました。
    まずは自分の推しであるSwitch編にしましたが、まだネタがあるので気ままに書いていこうと思います。
    また、ゆくゆくはユニット関係無く絡んでいこうと思います。
    あんさんぶるスターズMusicの読み込みまでの時間
    それは所属するアイドル達にとってはカオス過ぎる時間だった・・・

    カオスな待機時間(Switch編)


    『ーこれからライブを開始します。今から呼ばれるメンバーは、至急用意された衣装を着てステージまで来て下さい。ライブ曲はエメラルドプラネット。サポートメンバーは深海奏汰と守沢千秋。ライブメンバーは・・・』

    夏目「おヤ、僕たちの曲だネ。ライブの構成も僕たちSwitchかナ?」

    『・・・右ポジション、春川宙。』

    夏目「ほらネ。やっぱり僕たちが選ばれる運命ダ。子猫ちゃんも分かっているじゃないカ。」

    『左ポジション、青葉つむぎ。』

    夏目「フフ、久しぶりの3人揃ってのライブだネ。それに免じてセンパイがいる事も多大目に見ようじゃないカ。」

    『最後に、センターポジション・・・』

    夏目「さぁ、その可愛らしい声デ僕の名前を呼んデ。子猫ちゃん。」

    『・・・月永レオ。』

    夏目「・・・ハァ!???ちょっとコレどういう事!??おかしいデショ、このメンバーで僕がセンターじゃないなんテ!!!」

    レオ「わははは!!!!オバちゃんにはるじゃないか! 996