恋の魔法《Siegfried side》
「こい」
「そうです、恋の魔法。魚じゃなくてラブのほうですよ」
それくらいは分かるが、おそらく目の前の一番弟子も彼の幼馴染に同じ説明を受けたのだろう。
「最近よく国境付近で一般人が迷子になっているという報告がありまして、なんでも『恋の魔法』が行われる場所がその辺りにあるとか。それは別に良いんですけど、あの辺りは魔物も出るので……」
「ふむ、街道の警備にもっと人を割ければ良いのだが、噂だけで配置を変えるのも、ということか」
「そうなんですよね。一時的なものかもしれませんし、そもそも何故あのような、騎士団の詰所くらいしか無い場所に恋の魔法だなんて噂が立ったのかも謎なんですけど、調査するには内容がちょっと」
2446