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    meemeemeekodayo

    基本かくか受けで文章を書いている者です。たまに別ジャンル

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    meemeemeekodayo

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    徐満、現パロ、女装注意。女装しかいない。

    交わした約束忘れない徐と満(嘘)ハロウィンの仮装と聞いて思い浮かべるのは、可愛らしいお化けや魔女の衣装をまとった子供たちだ。菓子を求めて皆で歩く姿は微笑ましい。10月末の大きなイベントとして大々的に宣伝されているが、どちらかと言えば子供のための催しだろう。徐晃はそう考えていた。
    「……張郃殿、これは」
    「徐晃殿の分です。色はピンクに致しました!」
    広い会議室。呼ばれて行けば既に何人も集まっておりその中には見知った顔も大勢あった。その内の一人、同僚でもある張郃が忙しなく動いているため手伝いも兼ねて状況を尋ねようとしたところ、はいどうぞと袋を差し出された。
    「お着替えをお願いします。サイズは問題ないかと思いますが気になる点があれば直しますので」
    「着替え、とは、張郃殿、拙者は呼び出しがあったため参上したのでござるが」
    「お待たせ致しました張郃殿!」
    何も分からない。状況も受け取った袋の中身も意味が分からず悩んでいるところへさらに混乱が訪れた。
    張りのある声が徐晃達の間を割いたかと思えばそこには3人、異様な格好をして現れたのだった。
    「サイズ、問題ありません!」
    「なかなかの完成度ですな。さすがは張郃殿」
    楽進は元気に、張遼は感心した様子で発言し、やや後方にいる于禁は黙したまま苦々しい顔で立っている。
    「あの……拙者も、もしかして」
    「お揃いですよ。あとは徐晃殿だけですので是非お着替えを!」
    ふんわりとした袖はまるで提灯のよう。首元は鎖骨が見えて胸には大きなリボンが飾られている。スカートはボリュームがあり裾には一分の隙もなくフリルが付けられてあった。
    楽進は黄色を、張遼は水色で、于禁は赤を基調としているようで、細部の形状に異なりは多少あるもののパッと見れば「お揃い」である。
    張郃の言葉を思い出した徐晃は恐る恐る袋の中身を取り出す。ピンクだ。己のカラーは、ピンクだ。
    「な、なにゆえ……」
    微笑む張郃へそれ以上物を尋ねる気にはなれなかった。楽進も張遼も不思議と乗り気である。ちらりと于禁へ目を向ければ「観念しろ」と一言だけ返ってきた。どうやら彼は徐晃と同じ心持ちのようだが徒に逆らう気はないのだろう、堪えるような顔で佇むだけだった。

    「何とも落ち着かぬ格好でござるな」
    「よくお似合いですよ!苦しいところやほつれはございませんか?」
    「ないでござる……張郃殿は手先が器用でござるな……」
    どうやら今日この会議室はハロウィンの仮装の準備のために使用されているらしい。徐晃たち5人と同じように、数人で固まっては銘々衣装の用意を行っているようだった。
    「水を差すようで申し訳ござらんが、ハロウィンにこのような仮装はあっているので……?」
    「正解はあるのかもしれませんが、私は問題無いと考えていますよ。それに今回の我々の『魔法少女』というテーマは社長直々のご指定なのです」
    「ああ、なるほど」
    だから于禁も渋々受け入れているのか。納得がいった徐晃は未だに解放されない仏頂面の赤い『魔法少女』を憐れんだ。そして己のなんとも似合わない格好を映し出す姿見にも同様の感情を抱いた。
    「しかしよくサイズが分かったでござるな。採寸などした覚えはござらぬが」
    「つい先日健康診断があったでしょう?あとは大体で分かりますから」
    笑いながら答えている張郃が、徐晃は少々怖かった。
    その後も微調整と称して他の人の衣装チェックが行われた。試着して問題がなかったのだからもう十分なはずなのにこだわりがあるためか、なかなか終わりが見えない。今は楽進の衣装のリボンがどうこうと悩んでいて、楽進もまたその性格の真面目さゆえか熱心に張郃へと協力していた。
    「ええ!何だい徐晃殿、可愛い格好じゃないか!」
    残っている業務をどう処理するべきか、ぼんやり考えていると自分と似たようなピンク色が飛び込んできた。
    水玉のワンピース。白いレースのソックスに黒いぴかぴかの革靴。字面だけならば大層可愛らしいが実際着ているのは大男である。
    「ま、満寵殿」
    「いいなぁ、5人でお揃いなんだね。うちはテーマに沿っていてもそこまでお揃い感がなくてね」
    「羨ましがるようなものでは」
    やれやれと首を振る満寵はその手に大きなロリポップキャンディを握っていた。髪型は普段と変わらず高いところで一つにまとめてあるがそれが今日はひどく似合っている。アンバランスなはずなのに何故かしっくりと来る。
    抱いたことのない感情が芽生えたようで徐晃は戸惑いを覚えた。
    「その、一応お聞きするが、満寵殿たちはどのようなテーマなのでござるか」
    「うん?『小学生女児』だよ」
    「……ハロウィンとは」
    「さぁねぇ!でも女児感が足りないから荀彧殿も郭嘉殿も悩んでいて」
    「女児、感」
    「いっそのことランドセルでも背負おうかと思うのだけれど。何色がいいと思う?」
    ランドセル。児童が背にする通学のための鞄を、この男が背負うのだろうか。あれこそ子供のためのものだからいくら頑張っても大人の体躯には合わない。試すまでもなく明白なのに徐晃の脳内には、はしゃぐ満寵の姿が浮かんで来た。
    「……ピンクでござろう」
    「ははっ!私と同じ考えだね!さっそく手配しよう、あ、でも結構高くつくなぁ」
    案外、悪くないやもしれん。そう思ってしまった徐晃は自分自身に引いてしまい、冷静さを失わせてくるピンク色のカリスマ性が末恐ろしかった。
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