未来の自分が訪ねて来た。
過去の世界では荒唐無稽に思えたのだろうこの言葉も、今や現実味のある事象だ。尤も、それをさせない為の組織がTPAであるのだが。
ナハトがそんな現実逃避をする原因は目の前にいた。戦闘を終えた後のような傷と汚れを纏って現れたのは明らかに未来のナハト自身だった。
TPAは何をしているのかと思うが、未来の自分はそれなりの地位にいるらしく、タイムワープの許可は自身の裁量で出せるようだった。なるほど、内部のしかも地位のある人間がタイムワープを悪用すれば取り締まる者など居なくなってしまう。権力と権限の分散化が必要だなとひとり考えていると、真剣な目をした自分に「よく聞いてほしい」と告げられた。
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