不意に途切れていた意識が浮上する。
温い粘着性の液体に浸されているような思考は満足に動かず、四肢の感覚も鈍い。
「――――」
自分は何をしていたのだったろうか。胸の奥に漠然とした焦燥感が燻っているが、それも上手く形にならない。
「死んでいるのか?」
酷く虚ろな意識では言葉の意味など理解出来なかったが、それでもその聞き慣れた声音はクリスの意識を一気に現実へと引き戻した。
『っ、罠か!』
『アメヒコさん、クリスさん、無事ー?』
『3人の機体損傷度は平均で6割』
『それだとクリスさんが』
『死ぬ気じゃないだろうな』
『これ以上に可能性のある策はないと思います』
『ディープはこの中で最も損傷が少なく耐久性が高い』
『必ず3人で生きて帰ろう』
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