「今日からバディを務めさせて頂きます、理人・ライゼです。よろしくお願いします」
長髪長身の新人隊員はそう言うと深々と頭を下げた。
その様子を冷めた目で眺めながら、ナハトはおざなりによろしくと返す。実際のところは名前も覚える気が無かった。覚えたところで無駄になるだけだ。
この新人でナハトのバディは六人目だった。今までのバディは任務中の怪我を理由に現場を去ったり、自己都合で他所に行ったりなどしていずれも長く続いたことがない。この新人も近い内に去っていくだろう。
ナハトが相手を陥れたりした事実は無く、単にナハトの身体能力や判断に付いて来れない相手が限界を訴えて自らバディの解消を願い出ている。
だが、あまりにも短期間でのバディの解消が続いた為、「ナハトと組むと壊される」などという不名誉な噂が立ち始めていた。それ故ナハトとバディを組もうという人間が居なくなり、何も知らない哀れな新人が充てがわれたのだろう。
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