考えて、想う うっかり考え事をしていたらパンを焦がした。焦げたパンが独特の匂いと共にフライパンの上でぷすぷすと音を立てている。
「あちゃあ……。作り直さなきゃ」
タルタリヤは焦茶の食パンを一旦皿に乗せ、新しいのを焼くべく袋を漁る。どうして焦がしたんだっけ……。隣に置いた焦げパンを見つめながら考える。焦茶、焦茶……龍の尾の様な髪が脳裏によぎって、……あ、先生のこと考えていたんだった。次いつ会おうか、場所は……。
「あ、また焦がした」
今日はもうダメかもしれない。
***
もうダメだって日には何もしないに限る。港口付近の出店でチ虎魚焼きを購入すれば、一食にはならなくとも小腹満たしにはなる。もぐもぐと口を動かしながら、魚だから先生は好きじゃないんだろうなと考える。こんなに美味しいのに、過去のトラウマとは根深いものだ。
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