【イルアズワンドロ周回遅れ】うさぎ ぼふん、と、何かが爆発して、あたり一面に大量の粉が舞い上がった。
魔具研の師団室を片付けている最中だった。私の手にした何か、たしかウサギのぬいぐるみのようなものだったと思うのだが、それが、持ち上げた途端に爆発したのだ。といっても、爆発の威力そのものは風船が破裂した程度の些細なもので、それよりも、飛び散った粉の方が厄介だった。
「アズくん、大丈夫?!」
入間様の声が、粉塵の向こうから聞こえてくる。両手で粉を払うような仕草をされながらこちらに近づいてくる影の方向に向かって、私も舞い上がった粉をかき分けかき分け進んでいく。そのうちに粉はすっと空気に溶けるように消え始めた。
「ケホッ……はい、大丈夫で、す……?」
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