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    らすと

    @last_acy
    普段はついったにおります。支部に上げるには短いしついったの壁打ちだと長いようなやり場のない文を投下する予定です。

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    らすと

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    フォロワー様の素敵なイラストに触発されて勝手に妄想してしまった軍パロカヲシン。書きたい所だけ書きなぐったので内容は薄いです。

    世界中で戦争が頻発している中、とある国の双璧と言われた二人の青年がいた。
    「シンジくん、2時の方向に四人行ったよ」
    「了解!カヲルくんの方も、4時の方向の草むらに二人隠れてるから気を付けて!」
    黒と白の軍服にそれぞれ身を包んだカヲルとシンジは、お互い視線を合わさずに刀を構えたまま背中合わせに声を掛け合う。
    その強く美しい太刀筋と一糸乱れぬコンビネーションで、二人は諸外国でも敵なしと噂されていた。
    「ふう、これで終わりかな」
    「…みたいだね。カヲルくん、お疲れ様」
    「シンジくんもね。さっきはありがとう、助かったよ」
    「そんな…。僕の方こそ、カヲルくんのサポートがなかったら大変だったよ。ありがとう」
    「フフ、お互い様だね。さて、帰って報告が終わったら一緒に食事でもどうかな?」
    「え、いいの?じゃあ一緒しようかな」
    先程まで死闘を繰り広げていたとは思えない程の会話である。
    身支度を整え、いざ帰還という所で、カヲルはシンジを呼び止めた。
    「カヲルくん?どうし…」
    「じっとして。目を瞑って」
    「え… わっ、」
    「…取れた。額に少し返り血がついていたよ」
    「…あ、ありがとう…」
    「じゃあ、行こうか。…おや、どうしかしたかい?」
    「う、ううん!なんでもないよ」

    『(びっくりした…!あ、あんな急に近くに来られたら…!!)』
    『(シンジくん…あんなに頬を赤らめて…なんて可愛らしい)』
    --二人は共に過ごしていくうちに、いつしか互いに惹かれ合うようになっていた。しかし、『今はそれどころではない』『世が平和になるまでは』と、想いを心の中に秘めたままにしていた。
    『…いつか、この戦争が終わるその時には』
    『平和な世界…。いつかその日が来るのだろうか?』
    こうして二人は、互いに知らないふりをしながら今日も共に歩んでいく。



    そんなある日、自国の上層部が二人を呼び出した。
    「自国に…スパイ?」
    「そうだ。先日、侵攻作戦を行っていた部隊が奇襲に会い撤退を余儀なくされた。どうやら我々の作戦が外部に漏れていたようだ。また、他の部隊でも奇襲や補給の妨害などが起きている。何者かが情報を流していると見ていいだろう。お前達にはスパイの洗い出しをして貰いたい」
    「しかし…」
    「命令は絶対だ。一切の容赦はいらん。我々のモットーを忘れるな」
    「“裏切り者には死を”--。…畏まりました」
    「いいか、くれぐれも我々を失望させてくれるなよ」
    上層部達の下品な笑い声を背中に、二人は会議室を後にした。
    「スパイ、か…。全く困ったものだね」
    「なんなんだよ…。あんなんだから、この国は…」
    「シンジくん?」
    「っ、…なんでもないよ」
    「…?そうかい?」
    会議室を出てからシンジは何処か浮かない顔をしていた。
    そんな俯いたままのシンジを、カヲルは不思議そうに見つめていた。




    皆が寝静まった深夜、部屋の鍵がそっと開けられた。
    部屋の主が寝入っているのを確認すると、ゆっくりと刀を構え、そして---
    「随分と、大胆な行動だね?」
    「っ、!?」
    刀は振り下ろされる事なく、カヲルの前で止まった。
    「どうしてこんな事をしたんだい?教えてほしい。--シンジくん」
    刀を降ろした男--シンジは、今にも泣きそうな顔をしていた。
    「な、んで…?夕食に睡眠薬を…」
    「昔訓練でやっただろう?飲むふりをして、袖口に流して捨てただけだよ。…話してくれるかい?」
    「…ごめん、カヲルくん。僕にはもう、こうするしか…」
    「…何故だい?」
    「上層部が言ってたスパイは…僕なんだ。もう見たくなかったんだ。何の罪もない人達が死んでいくのは。だから、早くこの戦いを終わらせる為に情報を流して、最高戦力でもある君を…」
    「シンジくん…」
    「…でも、僕には無理だったよ。やっぱり君を殺すだなんて、僕には出来ないよ」
    震える声で、降ろした刀をゆっくり持ち上げる。
    「“裏切り者には死を”…だね。ごめん、カヲルくん。」
    「っシンジくん!!」
    「…さよなら」
    シンジは泣きながらも精一杯の笑顔で、自身の首に当てた刀を勢い良く---


    引こうとしたが、それは出来なかった。
    カヲルに強く抱き寄せられたからだ。
    衝撃で離してしまった刀は、そのまま床へと落ちていった。
    「カヲル…くん?」
    「…すまない。君がこんなにも追い詰められていたのに、気付いてあげられなかった」
    「っ違う!!僕が勝手に…」
    「…これを見てくれるかい」
    カヲルは身体を離すと、シャツの胸ポケットから小さな包みを取り出しシンジに渡す。
    シンジが包みを開くと、そこには何やら沢山の文字列が並んでいる。それに目を通すと--…
    「え…これって…!?」
    「…そうさ」
    そこに書かれていたのは、明後日に作戦開始する筈の侵攻作戦の詳しい内容だった。
    「…自国を裏切っていたのは、僕も同じさ。シンジくんも知っての通り、この国の上層部の奴らは既に腐敗している。戦争をただの金儲けにしか考えていないのさ。これではいつまで経っても、平和な世なんて来やしない」
    「カヲルくん…」
    「元々僕はこの国で生まれ育った訳でもない。戦争孤児で身寄りもないし、こんな国の為に生涯を捧げるだなんて御免被るよ。でも、この国に来て良かった事が一つだけあるんだ」
    「良かった事…?」
    「…君に逢えた事さ。君がいたから、僕は頑張って来られたんだ。君との未来の為なら、僕はなんだってするつもりだったさ」
    「カヲルくん…!!」
    カヲルの真っ直ぐな言葉に、シンジは我慢出来ずにカヲルの胸に飛び込んだ。
    「…僕はきっと、君に逢う為に生まれてきたんだね。だから君さえ良ければ、これからもずっと、君と生きていきたいんだ」
    「僕も…!カヲルくんとこれからも一緒にいられるなら、何処へでも、なんだってするよ…!!」
    「…ありがとう、シンジくん。嬉しいよ…」
    「カヲルくん…っ!カヲルくん…!!」
    秘め続けた想いをついに吐き出した二人は、想いを確かめ合うように何時までも抱き合っていた。





    それから数日後、とある国が内部クーデターにより壊滅、滅亡した。
    他国の上層部は皆、『飼い犬に手を噛まれたのだ』と嘲笑った。
    しかし、彼らは勘違いをしている。

    二人は決して『飼われていた』のではない。
    所詮、『飼われてやっていた』に過ぎないのだ。



    晴れて自由となった二人がその後どうなったかは…
    残された対の軍服と、二振りの刀だけが知っている--かもしれない。

    (終)
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