シンジュクの近くで発生した野暮用が早く終わり、合鍵でふらりと上がり込んだ先生の家。電気が付いている割に気配が薄いと思ったら案の定、ソファですうすうと寝息を立てる先生がいた。膝の上に本があるところを見ると、読んでいるうちに寝てしまったのか。
(案外、世話が焼けるんだよな)
勝手知ったる他人の家、寝室からブランケットを取ってきて細長い体にかけてやり、本をテーブルに置く。
「んん…」
不意に漏れた吐息に、先日の甘い夜を思い出し、下腹が疼いた。
「あんまり無防備にしてると、食っちまうぞ」
聞いていないのを良いことに小さく呟く。とはいえ読書中に寝てしまうほど疲れているだろう先生に無理をさせる気はない。メシでも作っておくかとキッチンに向かう。
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