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    monCha_Tea

    @monCha_Tea

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    monCha_Tea

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    供養
    見習いDJ♂が師匠失踪後に身長伸びてたらいいな……、⚖️さんはポトハバ絶対気に入るだろうな……と思ってた時に書いてたやつです。
    メイストで来店しちゃったし、身体的な成長はしてなかったぽいので……。

     良い店に当たったもんだな。

     ウィスキーグラスの氷を見つめながら、天国獄は薄く笑みを浮かべた。

     この店、Port harborは足を踏み入れたときから好感が持てる店だった。
     内装は新しさも古臭さも感じられない、洗礼されたデザインのもので統一されているし、店の雰囲気も上品過ぎず、かと言って品位が欠けているわけでもない。
     “肩に力が入らない程度に洒落ている店”
     そんな印象だ。

     アイラウィスキーも生ハムも上質で文句なしに美味い。店主は付かず離れずの距離感で接してくる。静謐な場所だ。
     これだけでお子ちゃま達を中華街へ送り出し、わざわざ裏路地まで足を運んだ甲斐があったってもんだな。
     内心満足気に笑い、グラスに残ったアンバーの液体をクッと煽った。

     2杯目を頼んでからポツポツと勘定をする客が出てきて、ウィスキーグラスが溶けかけた氷だけになる頃には自分と店主の2人だけ。

     チラと時計を見るが、閉店までまだ時間がありそうだ。ヨコハマの夜は長い。この後も来店する奴はいるだろう。
     空却と十四がホテルに戻るにもまだ時間があることだし、ここはもう一杯頼むか。
     テーブルを拭いている店主に声を掛けようと口を開くと、重たげな蝶番の音が誰かの入店を知らせた。

    「ただいま帰りました」
    「おかえりなさい」

     ただいま、と、おかえりなさい、ということは従業員か。店主は忙しそうだし、注文を頼むのはこっちにしよう。
     そう思い顔を向けると従業員であろう青年はきょとんとし、一拍遅れて「天国さん? 」と呟いた。

    「……申し訳ないが、どこで会ったかな?」

     見た顔では、ある。自分は絶対に知っている。話したこともある。ただ、どうにも思い出せない。印象に残りにくい顔という訳でもないのに、何故だろうか。

    「昼間お世話になった、えっと、オルタナティブラップバトル-リベンジ-でDJを務めた……」
    「ああ、君か。すまない。雰囲気が随分違うから一瞬誰か分からなかった」

     なるほど、服装か。分からないはずだ。
     昼間はDJ然とした若者らしい格好だったが、今は違う。丁寧にアイロン掛けされた襟付きのシャツと黒のスラックスに黒のベストという、かなり落ち着いた印象を与える出で立ちだ。はっきり言って、とてもDJをしているようには見えない。
     本人も自覚しているのか「でしょうね」と笑っていた。

    「ここではバイトでもしてるのか? 」
    「手伝いです」
    「手伝い? 」
    「はい。自分は色々な経験を積みたくて、アミリアさんにお手伝いさせてもらってるんです」
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    sheep_lumei

    DOODLEサンポと星ちゃんが色々あって二人で買い物に行く羽目になる話 宇宙ステーションヘルタの「不思議なコーヒー」の話が少し含まれます
    作業スペースで書いた落書きなので誤字脱字とか普段より多いかも あとコーヒーがベロブルグにあるかは忘れたけど無かった気もする あるっけ ないか まあ知らん……
    コーヒーと服と間接キス「あ」
    「え」

    ベロブルグの街角で、星はブラックコーヒー片手に呑気に歩いていた。前に年上の綺麗なお姉さんたちがコーヒー片手に街を歩いていたのが格好良くて真似してみたかったのだが、星は開始十秒でその行動を後悔する羽目になる。

    ベンチでブラックコーヒーを堪能するために角を曲がろうとした瞬間、勢いよく角の向こうから出て来た人影とそれはもう漫画やドラマで見るくらいの綺麗な正面衝突をした。違う。綺麗な、というより悲惨な、が正しい。考えて見てほしい、星の手には淹れたてほやほやのコーヒーが入っていたのだ。

    「っ!? ちょ、あっつ、熱いんですけどぉ!?」
    「ご、ごめん……?」
    「疑問形にならないでもらえます!?」

    勢いよく曲がって来た相手ことサンポの服に、星のブラックコーヒーは大きな染みを作ってしまったのである。幸いにも何かの帰りだったのか普段の訳が分からない構造の服ではなくラフな格好をしていたサンポだが、上着に出来た染みはおしゃれとかアートとか、その辺りの言葉で隠せそうにはないほど酷いものになっていた。
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