未定案外太いのだな、とシャアの首に手をかけて思った。それから皮膚の柔らかさと温かみが手のひらから伝わってくる。
昔どこかで見た首の断面図には細かく一つ一つの筋肉や筋についての説明があって、そしてその断面のほとんどが筋肉であった事を思い出した。普段見慣れているものを、実際に触りながら観察すると、改めて色々と発見があるものだ。
ええと、何とか筋とか何とか筋、とにかく筋肉が沢山と、あと気管、骨、これくらいか?あぁ、そういえば、モビルスーツの設計の際に借りた資料、返すの忘れていたな。いや、違うな。返した後にまた借りたのを返していないような気がする。思い出した、返しておいてもらったんだ。あぁスッキリした。
こちらを見ているシャアと目が合った。
「やっぱり俺には首を絞めて興奮する趣味はないみたいだ」
両手を胸の高さまで上げ、お手上げのポーズを取り素直に告げた。
「嫌がる素振りが必要だったか?」
「確かに、あなたは堂々とし過ぎて面白くないのかも」
シャアはなるほど、と納得してしまったし、アムロは別のことを考えていた事は言わなかったので話はそれで終わった。
また気が向いたらお願いしてみよう、アムロは設計の事に頭が引っ張られながらも脳の片隅でそんな事を思った。