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    gmc0725

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    眠れない夜に書いてた尾鯉妄想駄文
    DK現パロ
    めっちゃ途中で終わってる

    鯉登には、幼い頃たまに遊んだ名前も知らない友達がいた。

    家の近くには公園が2つあって、何故か片方の公園は親に「行ってはいけません」と釘をさされていた。でも行くなと言われれば行きたくなるのが好奇心旺盛な子供の性。こっそり遊びに行ってみるとそこにしかない遊具があり、どうしてもそれで遊びたくなった鯉登はバレないように公園へ通うようになっていた。そこで出会った友達だった。
    物静かで、いつもタイヤに腰掛けてボーッと周りを眺めている奴だった。最初は気味が悪いなぁと思って見ていたけれど、何を考えているのか知りたくなって声をかけてみた。
    「みんななにがたのしいのかなとおもって」
    なるほど、楽しく遊ぶことを知らないんだな。鯉登は自分の知り得る『楽しい遊び』を全部教えることにした。
    公園の遊具ひとつひとつ、遊び方を教えた。タイヤはリズムよく飛び越えると気分も弾む、ブランコは高く漕ぐと風が気持ちいい、動かないジャングルジムはてっぺんまで登ると見晴らしが良くて気分がいい、回るジャングルジムはてっぺんに登るより外側にしがみついて回してもらう方が好き、シーソーは端から端まで歩いて渡るとスリルがある。最初は仏頂面で鯉登に手を引かれるばかりで楽しさなど理解できていなさそうだったが、ある日シーソーに引っ張って行こうとすると「おれはブランコがすきだ」と彼は言った。
    それを聞いて鯉登はなんだか嬉しくなったが、でもシーソーで遊びたい気分を譲れず、不満そうな顔をする彼を無理矢理シーソーに引きずっていった。
    「あしたはぜったいにブランコであそぼう」
    仏頂面の彼と約束をして、その日は別れた。

    次の日は雨だった。もちろん公園では遊べないが、あの子は律儀に公園で待っているような気がした。
    今日は遊べないと伝えにいかないと。
    長靴を履いて傘を持ち、家を出ようとしたところで母親に声をかけられた。
    「友達と遊ぶなら家で遊びなさい」
    「…!そうする!」
    鯉登が駆け足で公園へ向かうと、想像通り彼は公園で待っていた。少しよれた合羽を着て。
    「きょうはわたしのいえであそぼう!」
    手を引くと少し躊躇した様子だったが、いつものようにぐいぐいと引っ張り家へと向かった。門の前でインターホンを押し、鍵を開けてもらうついでに母親にタオルを要求した。彼の合羽は着古されていて、雨が中に染み込んでいるようだったから。
    「ここがおまえんちなの?」
    そうだよと答えると、彼の視線が少し沈んだように見えた。どうしたんだろう。その時の鯉登は何もわかっていなかったから、不安になって彼の手をギュッと握った。でも彼はわかっていたのだろう、鯉登の手を握り返してこなかった。
    玄関が開きタオルを持った母親が現れると、彼を見て硬直した。「あっちの公園に行ったのね」母親の冷たい声に鯉登はゾッとした。
    「……かえります」彼は走って去って行く。追いかけたかったけれど、母親に肩を強く抱かれ動くことができなかった。
    鯉登は成長してから状況を把握したが、あの公園を挟んだ向こう側の街は、あまり裕福でない家庭が集まる街だったらしい。暴力沙汰になったり、トラブルに巻き込まれかねないからと禁止されていたようだ。
    約束を破ったため、鯉登はこっぴどく叱られた。叱られた上に、しばらく外で遊ぶことを禁止された。彼に謝らないとと思っていたが監視の目が強く、そのうち習い事を増やされ遊ぶ暇もなくなってしまい、そのまま時が過ぎてしまった。



    ああ、そういえばそんなことがあったな。
    幼い頃の出来事としてすっかり記憶の隅に追いやっていた鯉登だったが、彼のことを思い出したのは、あの公園の前を通りかかった時だった。

    別に成績が悪かったわけではないし部活にも入りたかったので嫌がっていたのだが、高校生になった鯉登は親の意向で塾に通うことになった。学校が終わるとまっすぐ家に帰り塾の課題を済ませ、簡単に夕食をとり塾へ向かう。22時に解放されるがそのまま家に帰り、今度は学校の課題に取り組む。半年文句を言わずに続けたが、正直鯉登は疲れていた。
    今日は学校の課題もないし、少し遠回りをして帰ろう。気まぐれで足を向けたのが、あの公園だった。
    夜の公園は小さい子供の遊び場ではなく大きな子供の遊び場になっており、花火をしたり、大声で話をしたり、男女が数人屯していた。着崩した制服に、派手な髪色。関わらないようにと足早に通り過ぎようとしたが、集団から一人離れてタイヤに座る男が目についた。つまらなさそうに集団を眺めるその様子が、記憶にうっすらと残っていた彼の姿と重なる。
    「なんだお前」
    不意に男が顔を上げた。鯉登は慌てて視線を逸らそうとしたが、間に合わなかった。ズカズカと歩み寄ってくる男の迫力に体が竦み上がり、逃げることも叶わなかった。
    「人のことジロジロ見て、何かあんのか?」
    「…ないです」
    「ないわけないだろ」
    早く逃げ出したい気持ちでいっぱいになったが、その場に立っているだけで精一杯だった。
    「そんなに夜の遊びが気になるなら、俺が教えてやるよ」
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