cogit ergo sum.(2)「おい、これはどういうことだ」
杉元が迎えに来いと言った場所は同じホテルの違う階——杉元に割り振られていた部屋だった。
「てっきり外で飲んでるもんだと思ったんだが」
「俺が勝手に連れて来たんだよ。——お前の話ばっかりし始めたから、向こうに悪いだろ」
どれだけ酒を飲んで泣いて管を巻いていたのか分らないが、ぐずぐずになった顔とベッドの上で小さく丸くなっている鯉登を見て尾形は小さくため息をついた。
「ほら、尾形が来たぞ。起きろ鯉登」
杉元は丸くなっている鯉登の尻を叩くも、当の本人は「うぅ、」と唸るだけで起きる気配はない。杉元は静かに首を横に振り、何を思ったのか床に置いていたボストンバッグを持ち立ち上がった。
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