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    みこう

    @mikou0213
    主に作業の進捗を投げる用。たまに落書きとか

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    みこう

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    ##凪茨小話

     秀越学園を卒業してからというもの、凪砂にソロの仕事がよく舞い込んでくるようになった。知名度が上がったことなど様々な理由はあるだろうが、その中でも最も比重が高いのは凪砂が進学しなかったことだろう。
     芸能に特化した学校とはいえ、学生ともなれば時間や倫理的に様々な制約が発生するものである。それが無くなったということもあり、茨がこれまでは断っていたのですがと前置きして新たな仕事を持ってくるようになったのが数週間前のこと。今でも時折「うちの乱はまだ未成年なので」と言って案件を断っているのを見かけはするものの、やはり学生と社会人では仕事の内容が変わってくるのかと実感するばかりだ。
    「……運転手さん、少し寄り道してもいいかな」
     仕事が終わり、凪砂を事務所まで送り届ける使命を負った車に乗っていた凪砂は、運転手に向かってそう声をかけた。この後の予定について考えていた凪砂の耳に、車載ラジオから流れる夕方の番組が飛び込んで来たのだ。
     運転手が頷いて進路を変更したのを見て、凪砂はお礼を言ってから再び外の景色へと目を向けた。時間帯と立地を鑑みるに、このまま向かえば下校する茨を乗せて帰れると思ったのである。もしかすると彼は既に送迎車を手配しているかもしれないが、あいにく凪砂は送迎担当に繋がる番号を知らないので、そこはもう運次第ではあるのだが。
    「……茨、驚くと思う?」
     茨の反応が楽しみで運転手にも問いかけてみるが、返ってくるのは曖昧な笑い声だけだ。凪砂は事務所の中でも群を抜いて特別待遇なので普段はそういう対応をされることは少ないが、引き合いに出している茨は彼にとってみれば雇用主である。場合によっては叱られる可能性がある彼は、せめて対外的には確信犯ではないとアピールするしかないのだろう。
     しばらく車に揺られて数週間ぶりに見る母校の前に着いた凪砂は、車から降りて車体にもたれかかりながら茨を待った。懐かしむ気持ちもないわけではないが、かといって浸りたい思い出があるわけでもない。それよりも、遠くから血相を変えて駆け寄ってくる茨に目が行って、彼の第一声を想像しながら手を振った。
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