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    ramenhaoishiyo

    @ramenhaoishiyo

    アイコン・ガオmaker 様

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    ramenhaoishiyo

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    1日1㍕主⑩
    主が人格移植をすることになり、全てが狂い出す㍕主。鬼バッドエンド。長いのでポイピクで。
    結構血ドロドロなので大丈夫な方のみでお願いします。
    ※これは夢オチということで…………

    夢オチなんてサイテー!「レムナン、もしもの時は……私を殺してね」
     あの日、そんな物騒な言葉を愛する女性に言われたにも関わらず、僕は何も言い返すことができなかった。
     目の前で、血だらけになって倒れている女性が、ユウさんかそうじゃないのかも、僕にはもう分からない。だけどあの日、僕が何か反論をできていれば、未来は違ったのかもしれない。


     全てが崩れ出したのは、ユウさんと船を降りてからちょうど五年が経過した日だった。
     五年間、僕たちはユウさんの身元を割り出そうと奮闘していたのだが、数日前にようやく彼女の地元をある程度特定することができたのだ。その日は、二人でその近辺へ足を運ぶことになっていた。
    「緊張、しますね」
    「う、うん。でも、これで身元が分かれば戸籍も、見つけ出せるから……私たち、ようやく結婚、できるね」
     恥ずかしそうに、でもとても嬉しそうにそう言って笑うユウさんを見て、僕も高揚感で胸がいっぱいだった。ついに、彼女と書類上で結ばれることができるかもしれない。それは、船を降りる前から願っていたこと。
     それが現実になるかもしれないなんて。嬉しすぎて、死んでしまいそうだった。
     ……そんな、不謹慎なことを思ったからだろうか。幸せを噛み締めている最中、気がついたら、ユウさんは落ちてきた看板の下敷きになっていた。

     そこからは、正直よく覚えていない。すぐに救急隊が来て、ユウさんと僕は病院へと転送された。現代の医療は古代に比べてかなり進歩している。だから、きっとユウさんは大丈夫だとひたすら信じて、でも恐ろしくて時々吐いて……を繰り返した。
     そんな時間を五時間ほど続けたころ、手術を終えた医師が放ったのは、実に絶望的で冒涜的な言葉たちだった。

    「全身の損傷が激しいので、医療ポッドでも身体の復元が出来ない状態です」
    「脳は無事ですので人格移植をしてはいかがでしょうか」
    「非人道的とは言われますが、昨今ではもう違法ではありません」
    「脳死状態の身体を使って欲しいと提供する遺族も少なくないため、公式の団体も誕生しました」
    「十歳未満の子供であれば血縁はなくとも移植した際に拒否反応が起きづらいのです」
    「つまり記憶している量が少なければ少ないほど、移植は問題なく成功する」
    「記憶を失ってらっしゃるユウさんは、条件を満たしています」
    「このままだと、ユウさんは擬知体のような意識の存在として生活するしか道がありません」

    「さぁ、どうしますか?」

     ぐるぐるぐるぐる、気持ち悪い話が頭を巡った。長ったらしく話していたが、結局医師は、記憶喪失の患者を人格移植し手術に成功したという前例が欲しいのだろう。問答無用で断ってやろうと思ったが、さすがにこれは僕の独断で決めていいことではない。実際、人格移植は完全に悪い話とは言い切れないからだ。だから、まずはユウさんと相談することにした。

     身体を失ったものの意識は存在するユウさんは、一時的に電脳化に似た処理をされている。音声を発するシステムが付いていないため、僕とのやりとりは全て文章だ。
    「僕は例え、あなたに肉体が……なくても。一緒にいます……。擬知体、の星で、生まれ、育ったので。抵抗も、ありませんし……」
    『でもやっぱり、私は移植したい』
    「本当に? 無理、してない……ですか?」
    『うん。私が、レムナンに触れないのは嫌だから』
     返事は全て文章だけど、ユウさんの優しい声が聞こえてくるようだった。そんな会話をしていたら、僕までユウさんの体温が恋しくなってしまう。
     覚悟を決めた僕は、じっくりと注意事項と契約を確認してから、同意書にサインをした。


     数時間して、彼女の人格移植が無事終了する。病室に入ると、元々のユウさんと大して年齢差のなさそうな女性が、ベッドに横たわっていた。しかし、やはりどう見ても別人で、これから彼女とやっていけるのかなんて、少し不安になってしまう。
    「髪色はユウさんと同じ個体を選んだので、今後は顔のパーツを整形手術すればかなり以前と近付くかと」
     僕の不安を察してか、医師はそんな倫理観のないことを言い出すが、僕はそれを無視して眠っているユウさんの元へ寄り添った。
     僕が五年間、いや、ループの期間も含めばそれ以上に触れ合ってきた肉体が失われたことは、嗚咽してしまうほど苦しいし、まだ目の前の女性をユウさんだと認識することはできないけど……本当の意味で彼女を失うよりはずっと良かったのだと、無理矢理自分を納得させた。


     しかし、それから数週間、なんとも意外なことに、新しい身体になったユウさんとの生活はそれなりに上手くいっていた。
    「ねぇレムナン__」
    「ヒッ! あ、す、すみません……」
     女性への苦手意識が完全には拭えていないため、別人の顔をしているユウさんに対して時々そんな風に失礼な態度をとってしまうこともあったが、大丈夫だよと笑う彼女の顔を見れば、それが僕の大好きな女性だというのはすぐに実感できた。この調子なら、いつかは新しい外見ごと愛せるようになる日も近いだろうと安心したものだ。
     事故で損傷した身体は、未来で再生方法が見つかった時のために冷凍保存してある。だからいつかまた、あの姿の彼女と再会できるような日もあったらいいな、なんて、最近は少し前向きになっていたのだけど。

    「レムナン……私と別れて欲しい」

     ある日突然、泣きながらユウさんにそう告げられた。
     数年前の僕であれば、原因を自分に追い求めて、捨てないで欲しいと縋り付いたのかもしれないが、僕ももうさすがにそういう話でないことはわかる。どうしてそんな考えに至ったのか丁寧に尋ねれば、ユウさんは逃げきれないと思ったのか、正直に話してくれた。
    「私の中に、誰かいるの」
    「二重人格、ですか?」
    「ちょっと、違う。意識は、私にあるの。でも、思考がガラッと変わっちゃう」
    「……グノーシアに、なる感じ、ですか?」
    「そう、だね。そんな感じ……気を抜くとね、私、わ、私……」
     ガタガタと震えるユウさんを安心させようと彼女の手を取れば、何故か強く振り払われてしまう。ユウさんらしからぬ行動に唖然とすれば、彼女が苦しそうに表情を歪めた。それを見て、彼女に嫌われたわけではないのだと少しだけ安心する。
    「ご、ごめん、ごめんね。ごめん……でもね、でも……最近、レムナンを、殺しそうになるの」
    「僕を、殺す……?」
    「最初はちょっと、変な感じがするだけだった。でも最近、ずっとレムナンを殺したくてしょうがないの……触られたら、そのまま骨を折って踏んで……って、したこともない暴力が頭に浮かぶ。もう嫌だ……疲れた。絶対、レムナンを殺したくない。だから別れて、お願い。私から離れて」
     泣きながら別れたいと懇願する女性は、僕が好きになった当初のユウさんと同じ見た目ではない。だけど、僕のために行動してくれるその優しさは、まさにユウさんそのものだった。当然、別れる気なんてない。
    「とにかく……明日、また病院に、行きましょう。話を、聞かないと」
     この時の僕は、必ずこの問題を乗り越えられると信じていた。


     病院に行って、様々な検査をした結果分かったのは、僕たちが想像するよりも何倍も酷い事実だった。
     実は、ユウさんが移植した身体は、マナンと僕の血を引いている受け皿だったらしい。移植に必要なドナーは、提供されると公式団体で身体機能に問題がないかをチェックされるが、身元はそれほど重要ではない。ククルシカさんとなったマナンは、必要なくなった受け皿を団体に提供していたのだろう。そして、問題なく審査を通過したその体に、ユウさんの人格が移植されてしまった。
     絶望する僕たちに、医師は言葉を続ける。
    「人間は欠点を補えるよう、遺伝子的に遠い人物を好む傾向にあります」
    「しかしユウさんの今の体には、レムナンさんと同じ血が流れていますので……」
    「レムナンさんと恋人である人格と、レムナンさんの血縁者である体が衝突した結果」
    「子孫を守りたい本能が、レムナンさんへの加虐願望に結びついたのではないかと考えられます」
     そんな残酷な話があるだろうか。ユウさんの一部がマナンになってしまったどころか、その体には僕の血が流れているから、将来的にユウさんとの子供を望むことすら叶わなくなったわけだ。
     移植前まで、そろそろ結婚出来るかもしれないなんて未来に希望を抱いていたのに、全てが壊れてしまった。
    「あの……今から、別の体に移ることは出来ないんですか」
     ユウさんが、泣きそうな声で医師にそう尋ねる。しかし、医師は首を横に振った。
    「身体的に問題のない方は人格移植をできないんです。それを許してしまえば、美容整形感覚で移植する人が増え、本当に必要な時にドナーが不足してしまいますから。それに、同意書にも書いていましたが……人格移植は繰り返すほど異常が発生しやすいです。もしも再び移植を行うことになったとしても、最悪、自我が砕け散ってしまうかもしれません」
     そう言われてSQさんのことを思い出す。五一一番目の通し番号でSQと名付けられた彼女は、移植の際に自我が芽生えマナンを壊してしまったのだと言っていた。血縁のある受け皿でさえ、数百回繰り返せば失敗もする。それが血縁のない受け皿であれば尚更だろう。ユウさんが今から違う体に移植されて、万が一その体に引っ張られて完全に人格が砕け消えてしまったら……僕はそんな世界で生きていける自信がない。


     そこからはどうやって病院を出たのか、あまり覚えていない。気がついたら、ユウさんと家に帰っていて、ソファで隣り合って座っていた。
    「レムナン、やっぱり……別れよう」
     ユウさんは、震える声でそう発する。それが彼女の本望でないことなんて、すぐに分かった。だから、即座に否定する。
    「嫌です」
    「でも、もう前には戻れないよ」
    「それでも、嫌です」
    「お医者さんは、遺伝子がどうのって言ってたけど……多分、私がレムナンを殺したくなるのは、マナンの血が流れてるからだと思う。レムナンだって、怖いでしょ? マナンが、近くにいるようなものだよ」
     そう言われると、言葉が出てこなくなる。なんで、どうしてこんなことになったのか。世界で一番好きな人が、世界で一番嫌いな人の血を受け継いでしまうのんて。
    「今も……僕を、殺したいですか?」
     否定して欲しいとどこかで願ってしまったそんな問いに、ユウさんは小さく頷いた。今彼女は、殺したい欲望を必死に理性で押さえ込んでくれてるのだろう。それはきっと、グノーシアでありながら人を消さない選択を取るようなものだ。その選択がどれだけ苦しいことなのか、グノーシアになったことがある僕には分かる。
    「……もう、我慢しなくて、いいです」
    「え……?」
    「殺したくなったら、殺しに来ていいです」
    「なに、言ってるの」
    「僕は、絶対に殺されないように、しますから……だから、これからも一緒にいてください」
     今の彼女がマナンに近い肉体を持っているとしても、優しい彼女の自我が残っている限り、完全に切り離して考えることは不可能だ。殺されそうになったって、例え殺されてしまったって、その相手がユウさんならば、僕は受け入れたい。
    「そんなこと、言われたら……離れたくなくなる……」
     僕の狂ったとも言える提案に、ユウさんは泣き崩れてしまう。別れたいとは言いつつ、僕のそばに居たいと葛藤してくれるのは、少し嬉しくもあった。
     だけど、泣いているユウさんを、僕は無条件に抱きしめてあげることが出来ない。マナンの面影を持つユウさんを、どこかで恐れているからだ。
     それに気付いたのか、ユウさんは僕と恐ろしい約束を交わそうとする。
    「レムナン……もしもの時は、私を殺してね」
     ユウさんを抑えきれなくなった時は正当防衛で殺せ、という意味だろう。そんなこと、するわけないのに……僕は何も言い返せなかった。
     その時、沈黙はきっと了承の意になってしまったのだ。


     それから、歪んだ共同生活が始まった。ユウさんは、初めこそ必死で僕を殺す衝動を抑えてるようだったが、抑えれば抑えるほど衝動が強くなっていったようで、夢遊病のように、無意識に支配されて襲いかかってくる。
     その頻度は、日に日に増え、僕の大好きな人は、次第に大嫌いな人と同じ顔をするようになっていった。
     その度に「こんな人を僕は知らない」と思うのだけど、ふと自我を取り戻しては「やっぱり別れたい」と泣きじゃくるユウさんを見ると、つい必死で引き留めてしまうのだ。
     もう、僕もユウさんも、疲れ切って、何を守っているのか分からない。それでも、離れることだけは出来なかった。


    「レムナン……」
     ある日、憔悴しきったユウさんが、刃物を持って僕に語りかけてきた。今回は、刃物に対抗しなくてはならないのか、なんて冷静に分析していると、何やらユウさんの様子がいつもと違う。
    「ごめん、もう、無理だから……」
    「ユウ、さん?」
    「本当に好きだった……今までありがとう」
     そう言うと、彼女は刃物を自身に向かって突き刺した。突然のことに思考が停止する。彼女の腹部から、どろりと赤色が溢れ出した。
    「ユウさん……ッ!」
     その鮮やかな色を見て、ようやく彼女が自殺を図ったのだと理解する。このままでは彼女が死んでしまう。まずは止血をして、すぐに救急を呼ばなければならない。

    「……にゃーんてね?」

     僕が駆け寄ると、彼女はニィッと気持ち悪い笑顔を浮かべた。その表情を理解するより先に、太腿に鋭い痛みが走る。彼女は、自分に刺さっていた包丁を、僕の足に突き立てていた。
     予測していなかった光景に悲鳴をあげると、ユウさんが愉快そうに笑う。
    「警戒心が足りないなぁ」
     騙されたと瞬時に理解する。でも、どこからが僕を傷付けるための作戦だったのかが分からない。だけど、彼女の腹部から溢れ出している血だけは、本物だ。なら、僕がやることは一つ。彼女を救うことだ。
    「……ユウさん、止血……しますから……」
     とりあえず、清潔なタオルを持ってこなくてはならない。刺さった包丁を抜いて、腿の痛みに耐えながらなんとか立ち上がる。そんな僕を見て彼女はまた大声をあげて笑った。腹部に傷があって痛いに決まってるのに、それよりも僕の行為がおかしくてお腹が痛いという感じだ。
    「もう、ユウならとっくに死んでるって!」
    「……は? 何言って」
    「レムにゃんを殺したくなる衝動に耐えきれなくて、人格が分離しちゃったの。レムにゃんが好きなユウはとっくに消えたよ。私が殺したから」
    「……嘘、つかないで、ください」
    「酷いなぁ。本当に嘘だと思う? あなたの好きなユウは、あなたを苦しめようとする人だった?」
     そう言ってケタケタと笑うのは、僕の知らない人だ。僕が好きだった陽だまりのような暖かさなんて一切ない、冷え切って狂った笑顔。それを見ていれば、彼女がユウさんではないことは分かる。
    「……ユウさんを、返せ」
    「無理だよ。もう死んだから」
    「そんなの、あり得ない」
    「死んでるよ。この顔も、声も、中身も、全部ユウじゃないでしょ?」
    「うるさい……」
    「憎いよね。殺しちゃえば? どうせもうすぐ出血多量で死ぬけど」
    「黙れ」
    「殺しなよ。もうここに、レムにゃんの好きな人はいないよ」
    「うるさいうるさいうるさいうるさいッ! 僕をその名前で呼ぶなッ!」
     片手に握っていた包丁を、怒りのままに目の前で倒れている女性に突き刺した。しかし、ユウさんとは似てもなつかない彼女は、刺されても尚、ニタニタと気色悪い笑みを浮かべている。
     その表情に深い悲しみが湧き上がった。もうどこにも、ユウさんはいない。
     ……これは復讐だ。ユウさんを殺すわけでない。だって、ここにはユウさんがいないのだから。いるのは、僕の大切なものを壊した人格だけ。当然の報いだ。
     僕は、絶対に失敗しないように彼女に跨る。両手で包丁を握り直すと、それを大きく振り上げた。

    「っ! レム、ナン……?」
    「え……」

     下ろした包丁の勢いは止まらず、彼女の心臓を貫いていった。それを機に、ぱたりと彼女は動かなくなる。
    「ユウ、さん……?」
     いま、僕のことを呼んだのは、一体誰だ。
    「ユウさん、ユウさん……」
     揺さぶっても、死んだ人は反応を示さない。驚いたように見開かれた目だけが、こちらを見つめている。
    「ち、ちがう……ちがう、違う違う違う……ッ!」
     僕じゃない。ユウさんを殺したのは、僕じゃない。だって目の前にいるのは、ユウさんなんかじゃないから。
     じゃあ……この人は誰だ。
     自分の血に塗れた手に水滴がぽつりと落ちる。
    「ユウさんに……会いに、行かないと……」
     僕がユウさんを殺すはずなんてない。だから、ユウさんはちゃんと生きている。
     自分の足元にある肉体を踏み潰して、お風呂場に向かう。
     刺された部分を避けながらシャワーを浴びて、全身の血を流すと、タオルで傷口をきつく縛って外出用の服を着た。
     玄関から外に出ると、太陽の光が僕を照らす。さっきまでの出来事は、全て嫌な夢だったのだろう。
     僕は、左足を引きずりながら、コールドスリープ施設へと向かった。


     施設にたどり着くと、事故で再生不可能となったユウさんの肉体が眠っている冷凍ポッドを開けてもらう。
     ユウさんの体は、先程夢で見た、知らない人の死体よりもずっと悲惨な状態だけど、見ていて不思議と安心できた。幸い、頭部はほとんど綺麗に残っている。久々に見る顔は、やはり僕が知っているユウさんだ。自然と涙が溢れてくる。
    「……僕も、彼女と一緒に、眠ります」
     ここまで案内してくれた施設の人が、信じられないものを見るかのような目で僕を見つめる。親子で同じ冷凍ポッドに入ることなんかはそう珍しいことではないが、事故にあった肉体と一緒に眠る人はそういないのだろう。
     だけど、僕はやはり彼女の側にいることしか考えられない。
    「手続き、させてください」
     若干怯えた表情を見せる職員さんに諸々の手続きをしてもらうと、僕は彼女の横に寝そべった。蓋が閉められると、少しずつポッド内が寒くなっていく。
    「これで、本当にずっと一緒です……」
     手とも言えない肉片に、そっと右手を重ねる。すでに凍って氷のようなそれは、何故か暖かく感じたのだった。
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    ramenhaoishiyo

    PROGRESSまだまだピを模索中なので地の文もセリフも修正するけど、進捗あげることで頑張れる気がするのでとりあえずあげます、完全に2話目なので以前の短編見てないとなんのこっちゃ分かりません。
    ※猫姿なのでぬるいですが、ピにしもの世話される描写あり※生物だから仕方ないのだ※
    主人公が猫になるやつの続き ユウが猫になった翌々日も、俺たち乗客は総動員で彼女を捜索していた。LeViから告げられている「ユウの生体反応はある」という言葉に何とか士気を上げているものの、当然人間の姿で彼女が見つかるはずもない。初めは楽観視していたしげみちやSQも、三日間探してこれは只事ではないと気付き始めたようで、今では船内には重い空気が流れていた。
    「グノーシアの一件で、LeViの生体検知も馬鹿になったンじゃない?」
    「現実的に考えてみなよ。ユウは船から飛び降りたンでしょ」
     なんてラキオの発言に、セツではなく沙明が怒っていたのが何だか印象的であった。
     捜索の半ば、俺は一人で共同寝室に戻る。しげみち達が部屋にいる間は、迂闊にユウに話しかけることはできない。だから、あいつらが確実に出払う捜索時を狙って、俺は部屋に戻ることにしたのだ。
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