①付き合っていない耀玲(両片思い)
「あの、服部さん!」
「なに」
捜査会議が終わってすぐ、廊下で呼び止めたのに、何とも予想していたように服部さんは振り返らなかった。会議終わりの世間話がざわざわとこだまする。
「…お話があって、ですね」
「じゃ、今ここで」
「いや、その…ここじゃなくて」
「…ふーん?そう」
つかつかと歩いていく服部さんに必死に着いていく。通り過ぎるほかの人たちがチラチラ私たちを見ている。鞄に入っている何かを皆分かっているんだと思う。仕方がないのだけれど、たどり着いたのは人のいない隅の休憩室。自販機からアイスコーヒーを買って、服部さんはどかっとソファに座る。私はまだ座れないままだった。
「座れば」
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