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    pagupagu14

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    ショートケーキの幸せ/愛忠
    # 神道愛之介誕生祭2021
    愛之介様のお誕生日の愛忠のお話です。くっついてます
    ちなみに三本の薔薇の花言葉は『愛している』で赤薔薇は『あなたを愛しています』白薔薇は『相思相愛』。ハンカチは小説内で書いたように『別れ』という意味があります。愛之介様の、二人の未来に幸がありますように――おめでとうございます!

    #愛忠
    aizhong

    ショートケーキの幸せ 愛忠
     「愛之介様、誕生日今年は何が嬉しいですか」
    「………それ、本人に直接聞いていいのか」
    「ええ。何年も祝っていると策が尽きてきてしまって、ですから今年は確実に喜んでもらうためにお聞きしようかと」
    「…そうか。」
    ふう、と煙草を息を吐くと愛之介はくるりと椅子を回転させ忠に背を向けた。
    「……誕生日の夜、」
    「はい」
    「お前の、手作りの料理が………食べたい。高級フレンチや料亭のものじゃなく、お前の手作りのものが――」
    恥ずかしさから背を向けた行動だったが忠はきょとんと目を丸くさせた。
    「あの、愛之介様…失礼ですがそれだけでよろしいのですか?」
    「いいに決まってるだろう!というか、僕がそれがいいと言うんだからお前が作ってきっちり僕をもてなせ!いいな」
    「…かしこまりました。腕によりをかけて振る舞いますので、楽しみにしていてくださいね」
    「ああ…」
    「それで、愛之介様。リクエストはありますか?」
    「リクエスト…」
    「ええ。洋食だとか和食だとか、何が食べたいとかそういう…」
    「いや、そういうのは特にないが――そう、だな。」
    ふむ、と考える仕草をした後愛之介は忠の方に目を向ける。
    「…?」
    「お前の作った、生クリームと苺をふんだんに使った、ショートケーキが、食べてみたい」
    子供じみたことを言っているようなことではあったが誕生日の食事に苦労したことなどなかったが学校でクラスメイト達が話す誕生日の話、定番と言ったものに憧れを抱いていたのは事実でそれがこの年になって形にしようとしているものだから恥ずかしさが昇ってくる。しかし忠は真面目な顔で、けれどどこか嬉しそうに笑う。
    「はい、かしこまりました。」
    誕生日に親の愛など感じたことがなかった愛之介だがずっと出会ってから、忠からの密かな愛を感じていた。そしてきっと今年の誕生日は何より特別な日となることが安易に予想できてしまって「楽しみにしている」という素直すぎる言葉と共に口角を上げた。
    ***
     いつもの忠の運転するリムジンーーではなく手頃にタクシーを拾って愛之介は忠の屋敷内とは別の家に初めて足を踏み入れた。忠に渡された合鍵で開けるとぱたぱたと忠がこちらにやってくる足音が聞こえて来た。
    「愛之介様。どうぞ、いらっしゃいませ」
    エプロン姿の忠はどこか新妻のような雰囲気をさせ、愛之介はにやけを抑えるのに必死だった。
    「そこは、【おかえりなさい】じゃないのか?」
    もう、と唇を尖らせた後咳払いをして忠は愛之介に向き直る。
    「お、おかえりなさいませ……愛之介様」
    その頬は薄紅色に染まっていて、それが愛之介の満足感を高めていく。
    「お前がこんな家を買っていたとはな。」
    「ええ、最近買ったのです。屋敷内に置けないものだとか、あとはまあ…色々と。あまり帰ることはありませんが」
    愛之介のジャケットを受け取り、忠は部屋へと案内する。ダイニングのテーブルには既に食事が広げられていて、美味しそうな香りを漂わせていた。
    「和食か」
    「はい。色々と考えたのですが洋食のほうが愛之介様は食べられる頻度が高いと思いますし、その…うちの、家庭の味というのを楽しんでもらうにはこっちのほうが良いのでは、と思って…お口に合えばいいのですが」
    照れたように頬を掻く。
    「それはそれは、楽しみだな」
    ふっと笑うと愛之介は手洗いをすまし、ネクタイもほどき楽な格好で忠の正面に二人で食卓を囲む。いただきます、と手を合わせるとまずはわかめと豆腐の味噌汁に手を付けた。じんわりとした優しい味が体に染みわたり、息を吐く。
    「…美味いな」
    「そうですか?よかった」
    ほっと忠は胸を撫でおろすと忠も同じように箸を取って食事に手を付けた。
    他に、焼き鮭や炊けたばかりであろう白米、そしてだし巻きと砂糖で甘く味付けした二種類の卵焼きというごくごく普通の一般家庭でよく出るであろうメニューに愛之介は笑みを深めた。会話よりも忠の作った食事を楽しんだ愛之介は米の最後の一粒までぺろりと平らげてしまった。
    「ごちそうさまでした。」
    「ふふ、お粗末様でした。愛之介様に喜んでいただけて、何よりです」
    そう言って食器を片していく忠。
    「愛之介様、ケーキの供は紅茶とコーヒーどちらがいいですか?」
    「コーヒー」
    「かしこまりました。ブラックで構いませんでしたか?」
    「ああ。…揶揄っているのか、お前は」
    「ふふ、いえ。大きくなられたと思って」
    まだ子供扱いをするのか、と息を吐いたところでヤカンが音を立てた。
    コーヒーが入り、カップに入れられたコーヒーが運ばれる。
    「ケーキの準備もありますけれど、その前に私からの誕生日プレゼントがあります」
    「…料理だけじゃなかったのか。」
    「それは愛之介様の要望でもてなしに過ぎませんので。」
    そうい言って忠が愛之介に渡したのは四角形の包み、そして赤いバラ三本の小さな花束だった。
    「開けるぞ」
    「はい」
    包みを開けるとそこには真っ白なハンカチがあり、白いバラが刺繍されていた。
    「……忠」
    「はい」
    「ハンカチのプレゼントに込められた意味は知っているか?」
    無論、忠がそんな気持ちで贈ってなどいないことを知って愛之介が意地悪気に言うと「存じています」と淡々と忠は言葉を返す。
    「けれど、私はそう言った意味であなたに贈ったわけではありません。」
    「ほう?」
    「私は……昔の私から決別しようと思って、そういう意味の【別れ】として贈りました。」
    「というと?」
    「私は…以前の私は誰かの言いなりで、それは変わらなかった。愛之介様の傍にいることが最上の喜びではありましたがそこに私の意見は、意思は介入していませんでした。だから、今がその区切りだと思って。以前の私と決別して今のあなたと真正面で接します。あなたとの思い出に逃げるようなことはしない。浸ることはあるとは思いますが、今のあなたをこれまでも、そしてこれからもずっと第一にあなたを愛します。愛し続けます。愛之介様」
    ハンカチのプレゼントが意味することは【別れ】。けれど、それは決意表明だと伝え忠は贈った。
    「まあ、単純なことを言えばハンカチなら愛之介様に普段から使っていただけるから…というのがあるのですけれど」
    ふふ、と恥ずかし気に笑う忠に愛之介はたまらなく愛おしい気持ちになった。真剣に、真剣に、繋ぎとめようと必死だった忠が自分を受け入れ自分を正しく理解しようとし、歩み寄ろうと真剣に自分とのことを考えてくれている。それが愛之介は嬉しくてたまらなかった。
     そっと、愛之介は忠の指に自分の指を絡ませていく。
    「愛している」
    「え」
    「…お前の事が欲しくて、好きで好きでたまらない」
    溜まっていた気持ちがずっとずっと幼い頃から積み重ねてきた思いが今、吐露されてしまった。それに驚いたような顔をさせた後忠はふにゃりと頬を緩めた。
    「…私の心も、身体も全て、頭からつま先に至るまでどこもかしこも愛之介様の物です」
    「それは、お前の意思で?」
    「ええ」
    ふ、と笑うとそっとまるで近いを含めたような触れるだけの口づけをする。ある種愛之介にとってのこの時のキスは照れ隠しのようであった。でないと、今にでも涙が零れ落ちてしまいそうだったから。
     その後、忠お手製の作りすぎたと言ったホールのド定番のショートケーキは甘く、甘く、今の幸せを体現するようであった。
    「明日の朝食はショートケーキだな」
    「では、胃薬を用意しておきます」
    なんて大人になったことを実感するような言葉を紡ぎながら甘いケーキを口に運ぶ。愛之介にとって、これまで以上に最高な誕生日でこれまでの人生で一番幸せな日というのが更新された日だった。
    -Fin-
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    「チョコレート…」
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    忠はそう言っているが僕は知っていた。明らかにそのチョコレート菓子の山の中に明らかな本命が混じっていることを。この量のチョコレート菓子は普通ではまずもらうことのない量だと言うことを。救いなのは当の本人である忠がその気持ちに気づいていないということだった。
    「あ、愛之介様も食べますか?」
    「え、僕…?」
    「はい。手作りとかはさすがに食べさせられないんですがこういう市販のものとかなら…」
    「…いい、いらない」
    「そうですか?わかりました」
    不思議そうな顔をしてお菓子を食べるのを再開させる忠の袖を摘まむ。
    「愛之介様?」
    「なんか…それ、やだな…僕」
    「ええっと…嫌、とは?」
    「忠が…誰かにもらったお菓子食べてるの嫌だ…」
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