あんただけの神様に「!」
こてん、とシャロンの頭が肩に寄りかかって来て驚いて思わず肩を震わせてしまった。幸いなことにシャロンは目を覚まさず、眠っていた。
(…疲れているのね)
それはきっとセラのせいで。未だに国王となったセラはシャロンたちから逃げ回っている日々を送っていて、そのせいで溜まった書類を片付けるのはシャロンとなってしまい本当ならもっと楽できるはずのシャロンが連日疲れているのはセラのせい、ということになる。
「今度、ちょっと𠮟る必要があるかしら…」
そう言葉を零した時だった。私に寄りかかっていたシャロンが小さく笑い声を零した。
「ふっ…それは、オルタナ王にはよい薬となるだろうな…」
「シャロン!?……起きてたの?」
「今起きたんだ。悪かったな、姫。重かっただろう」
「ううん、全然。私ってばほら、丈夫だし?」
「それは知っている。――が、心配くらいさせてくれ」
「…別に平気なのに。それに、シャロンに頼ってもらえて嬉しかったし」
素直に自分がそう思って言ったことだったがシャロンは黙ってしまう。それは照れたからだと分かっている私はおかしくて笑った。
「ま、でも怒ってやるのは本当だから!オルタナもさっさと覚悟決めればいいのに」
「それはごもっともだな」
「ふふっ、任せてよ。じゃないと忙しい忙しい旦那サマと私が二人きりになれないでしょ」
「……っ、姫――」
「わかったらシャロン、あんたは休んでなさいよ。疲れてるんでしょ?あ、一緒にベッドで寝る?」
「そうだな…そうさせてもらうか」
シャロンはそう言うと私の腕を引っ張ってベッドへと潜り込んだ。普段装飾物の多いシャロンがベッドの中に入る時は無防備でちょっとだけドキドキしてしまうのは内緒だ。
「姫、」
ちゅ、とシャロンの唇が私の頬に触れる。こうやってシャロンとキスをしていると期待してしまうのも事実なのだけれどシャロンの瞳はもうとろんとしてきて眠そうだ。
「シャロン、手を繋いでいてあげる。だから、一緒に寝ましょう」
「…久しぶりの、二人きりの時間なのだが」
「この先いくらだって取れるわよ。だから今はシャロンの方が大事」
「君にそんなこと言われてしまうとはな…」
「おやすみ、シャロン」
「ああ……」
アスパシア、と呼んだ声は音にならずゆっくりとシャロンは眠っていきその瞼にそっと私はキスをする。最近思うことは、シャロンだけの、大好きな彼のためだけの【神】になれればいいということだった。
-Fin-