rainy kiss 「派手に振られたな…大丈夫?」
頷きを返し、鞄の中に入れていたタオルで濡れた箇所を拭いていく。康平くんも同じようにタオルで拭っているのを見て、雨に降られるのは2回目だと言うことを思い出す。
「2回目?ああ…そうですね」
慌てて宿のある場所に入ったけどまだ雨の止む気配はなかった。とりあえず拭き終わったと思い顔を上げると康平視線がこちらに向いてることに気づく。
「え?いや…エロいなと思って。そういうのもそそりますね」
そう言われて指さされたところを見れば雨に濡れたせいでピッタリとシャツは肌に張り付き、下着も肌も透けて見えてしまっていた。驚いたまま隠そうとしたけれど康平くんの大きな手が私の両手を捕まえて、隠すことさえ許されない。
「何隠そうとしてるんですか」
嫌だ嫌だと抗議するがいじわるモードに変わった康平くんは許してはくれない。諦めると楽しそうに康平くんは口角を吊り上げた。
「抵抗はやめたんですか?まあ、その方が俺にとっては都合がいいけど」
康平くんの髪は雨の雫で濡れていて、肌に張りついていてそれが妙に色っぽくて近づく顔に視線を外せなくなる。
「……ん、」
そう思っていると唇が重なる。
「口、開けて」
言われて口を開けると入り込んできた熱が私から呼吸を奪う。
「へたくそ」
呼吸すらまともに出来ない私を揶揄うように康平くんが言い、それに頬を膨らませるけれど楽しそうに笑ってまた唇を奪われてしまう。
「別に悪くないって、あんたが下手なのって俺が以外知らないからだろ?…だったら、気分いい」
正直そのことを気にしていたからそんなことを言われると思っておらず驚いてしまう。
「いや、そりゃ…嬉しいに決まってるでしょ。過去に男の影があったと言われるよりはこっちの方が余程いい。」
そうして何度も角度を変えてキスをされる。奪われた呼吸の代わりに何度も熱を与えられて、私はしがみつくように背中に腕を回した。するとさらに口付けは深まり息を吐くのがやっとだ。
「…まだだめ、もう少し…」
そんな康平くんのお願いは何でも聞いてあげたくなってしまって結局私たちは雨が止むまでキスを続けていたーー。
-Fin-