あなたが守って 夜も更け、交わす愛が深みを増した頃私は思っていたことを口に出した。
「晋様…なぜ、お腹ばかり撫でられるのですか?」
「うん?いやあ、傷が残らなくてよかったなって」
そう言ってまた証をつける。いつも跡は多くの場所につけられているけれど今日はお腹の辺りにつけ、そしてくすぐったく思うほど優しく撫でていた。
「君ってば変なところで思い切りがいいんだもんなあ、困ったよ。僕の気持ちも知りもしないで」
そう言って泣きそうな顔をする。その涙を掬い頬を撫でた。
「私は今、ここにいます。晋様のそばに」
「ああ、うん…そうだね」
それでも不安は解消されないのか私を強く強く抱きしめる。だから私は抱きしめ返しその髪を撫でることしかできない。
(…困った人)
そして何より私だってその気持ちを味わったのだからお互い様ではないだろうか。
「…これで私の気持ちがわかりました?」
思っていたことを口にすれば驚いたように瞬きを繰り返しそして顔を歪めた。
「ああ、そうだな…僕は君にこんな想いをさせてきたのか」
心の底から苦しそうな顔だった。声だった。
「ええ、そうです。死ぬまでずっと…ずっとです。ですからあなたを心配させるなんて少しくらいは許されてもいいでしょう?」
悪戯心のような言ったことだったが思ったより堪えたようで何を言おうとしてやめるをくり返す。
「こんな気持ちはもう一生繰り返したくないな…だから、お願いだからもうあんなことしないでくれ…」
思ったより私は愛されていたんだと驚きつつ、はいと答えようとするがその唇は口付けによって閉ざされてしまう。
「顔がぐちゃぐちゃですよ…もう、もうしませんったら」
申し訳なくなってそう言って背を撫でるとぐずぐずと泣いたまま「嘘だったら許さないからな!?」なんて逆ギレされてしまう。
「しませんよ。そんなに心配ならあなたが守ってくださいな」
涙を掬い取りその鼻に口付けをすると落ち着いたのか嬉しそうな顔をして笑った。
「そうだな、近くにいるのだから僕が守ればいい!さすが雅!いいことを言う!」
「ど、どういたしまして…?」
今日は最後までしないのだろうか。嬉しそうな顔をしつつぐりぐりと頭を私の胸へと埋める晋様。
(しょうがない人…)
けれど今回は私が悪いのだからと息を吐きぽんぽんと彼の頭を撫で続けるのだった。
-了-