怨霊を退ける行為 「きゃ!」
あかねはそんな声を上げて俺の腕にしがみつく。俺は「しょうがねえな」なんて声を出しつつ、喜びを噛み締めていた。
「京にいた頃は怨霊退治とかしてたくせに克服してねえし怖いままとかあかねって本当、変わってるよな」
「だって怖いのは怖いんだもん!」
そう言って泣きべそかくあかね。ホラーが苦手なくせに興味があるあたりおかしいと思わなくはないがあかねの泣き顔も…まあ、好きだから俺はただ役得を感じながらあかねの抱き枕に徹するのだった。
***
見終わった後、案の定一緒に寝たいと言ってきたあかねをベッドに招き入れる。
「な、あかね。怖くなくなること、するか?」
「そ、そんなのあるの?」
「ああ、あるある」
少し罪悪感も刺激されるが無防備なあかねが悪い。ということにする。つーか、あの時と違って俺とあかねは付き合ってるし同棲もしている。それなのにそれ以上を求めないとかおかしいだろ!?そう、脳内で弁明しつつあかねの頬に手を滑らせそのままキスをする。触れるだけのキスを何回も繰り返して、驚いたような顔だったあかねは次第に瞼を閉じてキスに身を落とした。
「あかね、口開けて」
「う、うん…」
小さく開けたところにまた重ね、深みを持たせていく。次第にあかねの体も俺の体も火照ってきておかしくて思わず笑った。
「はは…」
「て、天真くん?」
「いや、こういうことしてたら霊がいてもどっかいくとか聞いたことあったんだが実際のとこわかんねーなって」
「それはまあそうだけど…」
「ま、それなしでも俺はあかねとこうしてるだけで嬉しいけどさ」
そうやって話しているとあかねは眠くなってきたのか、重く瞼を開けたり閉じたりを繰り返しており寝かしつけるため、額にキスを落とす。
「もう寝ろ、眠いんだろ?」
「…天真くんは?」
「俺も寝る」
「うん…おやすみ…」
その言葉を聞いたあかねは安心したように眠り俺はその寝顔を見て笑い、そして大きく欠伸をした。
「俺も寝るか…」
あかねの横で寝られることの幸福を噛み締め、そしてそっとあかねを抱きしめる。目が覚めてもお前がそばに居ますようにと願いながらーー。
-Fin-