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    スタバに行くナオ武!
    秋にスタバデートしてほしいなナオ武♡と思って書いたけどもちづきさんパロになった

    #ナオ武
    naotake

    秋期限定マロンクリームほうじ茶フラペチーノ事件 ──今日は穏やかな秋の空が広がる予想です。日中の気温はこの時期らしく、日差しに温もりがあり、秋の涼しい空気が感じられるでしょう。
     朝のニュースで、天気予報のキャスターが言っていた。天気がいいのに越したことはない。だが今のオレには、秋晴れの心地よい空気をのどかに味わっている余裕はなかった。
     オレはヒナを救うためにタイムリープを繰り返し、常に緊張状態にいるのだ。今日だってナオトに打ち合わせのために呼び出されてここにいる。
     そう、ここ、スタバの前に。
     オレにはオシャレで近寄り難いコーヒーチェーン店。その名もスター◯ックス。
     単なる打ち合わせならナオトの部屋に集合すれば事足りる。ここに呼び出された理由が何かあるはずだ。おそらくナオトは東卍の新たな情報掴み、何かしらの場所を特定したに違いない。いったい、ナオトはオレをどこに連れて行く気なのか。港の貸し倉庫か、東京留置所で面会か、はたまた犯人を追い詰める定番の断崖絶壁の海岸か……。これからの不穏な展開を想像し、緊張で身体が強張るのを感じた。
    「お待たせしました。タケミチ君」
     約束の時間ちょうどにナオトがやって来た。ナオトに会うのは久しぶりになる。会わずにいた期間に『なんかわかった?』『今どうなってる?』と何度もメッセージを送っていたがナオトには全てスルーされていた。やっと返信が来たかと思ったら駅前のスタバまで来いという。
    「音沙汰ねぇからどうしたのかと思ってたよ」
    「すみません。いろいろ立て込んでまして……」
     ナオトは固い表情で答えたが、申し訳なさそうな雰囲気は伝わってこなかった。というか、いつもより緊張感が足りない気がする。なぜ、そんなふうに感じるかというと、ナオトは珍しくスーツじゃなかった。いつものダーク色のスーツではなく、ラフなシャツに薄手のコートを羽織っている。しかも手には駅前の書店で買ったのであろうカバーが掛かった文庫本を持っていた。
    「なんだよオマエ……その休日満喫します、みたいなゆるふわな格好は?」
    「何って……今日まさにボクは休日なんですけど」
    「ん? そうなの?」
    「はい。とりあえず中入りましょう」
    「えっ、ちょ待て。今日って東卍絡みの打ち合わせじゃないのかよ? ミッションは?!」
    「ボクそんなこと言いました? 今日は単にタケミチ君がどうせ暇だろうなって誘っただけです」
    「……そう……なの?」
     今日はミッションの打ち合わせじゃない?
     つまり、コイツはただ単にお茶しましょうと誘ってきただけ……なのか。…………いや、別にいいんだけど。ミッション絡み以外で連絡してくるな、なんて寂しいことを言うつもりはないし……。うん、でも……。
     オレがまだ状況を飲み込めずにいると、ナオトはさっさと店内に入っていく。オレは慌ててあとを追った。
    「何飲みます?」
     列に並ぶとナオトにメニュー表を手渡された。解読不能なカタカナを前にオレは首を振った。
    「全然わからん」
    「もしかして……タケミチ君って一人で注文できない人ですか」
    「そうだよ。悪いか」
     じろりと睨むと、ナオトが馬鹿にしたようにへぇと笑った。
    「だってムズすぎんだろうが。なんでLとかMじゃねぇんだよ……」
    「タケミチ君らしいと言えばらしいですが。君がデカフェカスタマイズのオーツミルクラテをグランデでオーダーしてたら、ちょっと嫌ですしね」
    「なんだその呪文みたいなやつ……。あ、でもこれ飲んでみたい。めっちゃ美味そう」
     オレは季節のメニューとして一番大きく載っているドリンクを指差した。
    「秋限定マロンクリームほうじ茶フラペチーノ……ですか」
    「うん、それ」
     生クリームがたっぷりトッピングされた甘そうな飲み物。フラペチーノっていうのか。こういうの一度飲んでみたかったんだよなあ、と呟くとナオトはメニューをオレの手から取り上げた。
    「誘ったのはボクですし、奢りますよ」
    「えっ、マジ? さっすがナオト! じゃあさ、このケーキも食いたい。あっ、あとチョコソース追加でクリームもマシマシにして」
     ナオトは「図々しいですね……」と呆れながらも店員に注文を伝えてくれた。なんだか妙な感じだ。ナオトと普通の休日を過ごしている。
     林檎のカスタードパイと生クリーム増量のフラペチーノをトレーに乗せて、窓際のカウンター席に並んで座った。ナオトは一番シンプルなドリップコーヒーを頼んだようで、白いマグカップをテーブルに置いた。
    「……何だこれ、すげぇうまい」
     秋限定フラペチーノを一口啜って、オレは感嘆した。世の中にこんな多幸感溢れる飲み物があるとは……。口の中いっぱいに広がる生クリームの甘みと香ばしいほうじ茶の香り………。安い時給でこき使われるバイトの疲労、そしてタイムリープの日々の緊張が溶けていく。カスタードクリームが濃厚なアップルパイも美味すぎる。オレはしばらく目を閉じて糖分によるエンドルフィンを感じていた。
    「タケミチ君、カロリーでオーバードーズしないでくださいよ」
     ナオトが頬杖をついて呆れた顔でオレを見ている。まずい。血糖値爆上げで至ってしまうところだった。
    「ナオトも飲む?」
    「いえ、大丈夫です」
    「ええー、すげぇ美味いのに」
    「…………じゃあ、一口だけ」
     ナオトは自分から近づいてストローを咥えた。顔が近づいたせいでふわっとナオトの髪が頬を掠めていく。
     ――間接キスじゃん。
     そう思ったけど、ナオトに嫌そうに睨まれるだろうから口には出さなかった。あの潔癖そうなナオトがストローを共有してオレと間接キス。ちょっと気分がいい。警戒心が強い猫を手懐けたような感じだ。
    「甘いですね……」
     ナオトはストローから口を離し、唇を拭った。この至近距離でナオトと目が合うと変に照れる。オレは話を逸らして妙な空気を誤魔化すことにした。
    「なあ、なんで今日オレのこと誘ったわけ?」
     今日ずっと頭にあった疑問をナオトにぶつけた。ナオトが少し顔を傾けて瞬きをした。
    「迷惑でした?」
    「いや、全然いいんだけど。ナオトが誘うなんて珍しいなって思ったから」
     ナオトは少し考えてから口を開いた。
    「今日は秋晴れで空も綺麗じゃないですか」
    「うん」
    「こんな天気がいい休日は、気を使わなくていい人とゆっくりコーヒーでも飲みたいと思ったんですよ」
    「ナオト……おまえ……」
     ナオトの裏表のない素直な言葉にじーんとしてしまった。最初はあんなにツンツンしていたのに、気を許すとかわいいじゃん。
     
     この後、テンションが上がったオレはナオトに抱きついて、「離れてください!」と罵られた。
     
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