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    @eh_myh

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    今書いてるやつ。
    とても途中だけど、書いてて楽しいので1回上げたくなりました。

    #創作BL
    Original Bl

    俺的最推し争奪戦配信を終えて、一息入れたあとスマホを手に取る。意識するより前にSNSアプリを開いていた。そしてそのまま自分の活動名を色んな形に変えて検索する。いろんな感想をつらつらと見ていく。検索すればある程度いろんな投稿が見れるぐらいには人気が出てきたことに安心する。けれど見られる人数が増えると、それだけ批判的に見る人間も多くなってきた。でも幸いなことに俺はそういったことには耐性があったようで、見たところで「ふーん」で終わらせる。そこは配信者として誇れる部分かもしれない。そして俺を褒めてくれる人ももちろんいるわけで、何人かはアカウント名を覚えた人たちもいる。その中でも最近俺を好きになってくれた人なのに、何故か覚えてしまったファンがいる。熱量があるわけじゃないのに、ちゃんと好きだって伝わってくる。それとたぶん同い年で、ノリが似てるとかもあるだろうし……何故か気になってしまう人だった。今日のエゴサの中にも彼の投稿はあった。彼のアイコンからホームを見ると、感想以外の投稿もあってそれを見ると彼の人となりが分かって好きだった。けれど今日は違った。

    「はぁ!? きょんさんは俺が最推しなんじゃねえのかよ!」

    バンッと配信中でも憚られるような台パンをかます。気になるファンであるきょんさんの熱っぽい感想に俺は戸惑いを隠せなかった。

    『やまのべさんの配信良すぎた…ほんと好き』

    いつも俺を褒めてくれる語彙力はどこいった。でも言葉がないことが余計に本気度を表しているようだった。
    日常の何気ない投稿の間にある感想は、作品に対してのものはあれど特定の個人への感想は俺にしかなかった。だからてっきり俺だけを推してるのかと思っていたが、そうではなかったようだ。やまのべ、という配信者はあまり配信頻度は高くないけど、一定のファンを獲得しているような人だった。同じ配信者としては中堅あたりの人の印象だった。俺はというとそれを追いかける若手、というのが当てはまるだろう。何で俺が振られたみたいは気持ちにならなきゃいけないんだと怒ってみるものの、動揺を抑えることはできず、ただむしゃくしゃする。

    「はー…何で? え? つか、いつから推してんの?」

    ザッと見返しても、やまのべさんに触れている投稿は無かった。むしろ初めての投稿は俺についてだった。

    「あー…クソ。やまのべさんを推してんなら最初に言っとけよ」

    自分でも滅茶苦茶なことを言ってる自覚はあるが止められないし、言葉にしなきゃやってられない。そこで閃く。俺、見る専用のアカウント持ってんじゃん。アカウントを切り替えて、きょんさんのアカウントをフォローする。ありがたいことにDMは開放されていたので、やまのべさんのファンだからフォローしたことを伝える。そこまでしてようやく気持ちが落ち着いてきた。そしてイライラは返信が来るかというドキドキに変わっていた。最近は見る用のアカウントを開くことはなかったのに、つい気がつくと開いてしまっていた。そして通知がなくて閉じるを繰り返す。ドキドキし続けて疲れてきたところでお腹が鳴り、のそのそと動き始めてご飯を食べて、そうするとシャワーを浴びたくなって、シャワーから出るとダラダラして寝るかという気持ちになった。そうして朝を迎えていた。これだけゆっくりしたんだから、さすがに返信が来ているだろうと、スマホの電源をつけてみても通知はない。かすかな希望にかけてアプリを開いてみても通知はなく、また布団の上に倒れ込んでしまう。そもそも必ず返信をもらえるわけじゃないし、誰もフォローしてないアカウントがきゅうにフォローしてきたら怪しんでるのかもしれないし、やまのべさんのファンでもないし。

    「なんで既読かどうかわかる仕様じゃねえの。不便だろ」

    アプリへの愚痴が止まらない。けれどアラームで現実に戻されたので、夜の配信に向けて準備を始める。作業していると時間が経つのが早く、いつの間にか配信開始するまであと1時間となっていた。配信開始をする前の投稿をするためにSNSを開くとDMが来ていた。開いて俺は飛び上がる。

    『フォローありがとうございます。やまのべさんのファンの方と繋がれて嬉しいです。よろしくお願いします』

    返事が来た!と喜ぶが、興奮し過ぎなのかまとまりのない文章しか打てず、なかなか送信ボタンを押せないままだった。そんなこんなで配信開始のアラームが鳴り、俺は再び現実に引き戻される。返信は後にしよう、そう考えてスマホを置くと、配信を開始した。



    無事に配信を終え、流れるようにSNSを確認しようとしてスマホをつけたら、DMの画面でびっくりする。

    「あああ……返事してぇけど、思いつかねー! 」

    何とか仲良くなって、やまのべさんのどこを推してるか知りたい、それであわよくば俺を最推しにさせたい。そのためにはどうすればいいのか。間違えるわけにはいかない。いや最推しではないだけで、俺のことは推してくれてるんだから、そんなに気負わなくてもいいか?
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    PROGRESS今書いてるやつ。
    とても途中だけど、書いてて楽しいので1回上げたくなりました。
    俺的最推し争奪戦配信を終えて、一息入れたあとスマホを手に取る。意識するより前にSNSアプリを開いていた。そしてそのまま自分の活動名を色んな形に変えて検索する。いろんな感想をつらつらと見ていく。検索すればある程度いろんな投稿が見れるぐらいには人気が出てきたことに安心する。けれど見られる人数が増えると、それだけ批判的に見る人間も多くなってきた。でも幸いなことに俺はそういったことには耐性があったようで、見たところで「ふーん」で終わらせる。そこは配信者として誇れる部分かもしれない。そして俺を褒めてくれる人ももちろんいるわけで、何人かはアカウント名を覚えた人たちもいる。その中でも最近俺を好きになってくれた人なのに、何故か覚えてしまったファンがいる。熱量があるわけじゃないのに、ちゃんと好きだって伝わってくる。それとたぶん同い年で、ノリが似てるとかもあるだろうし……何故か気になってしまう人だった。今日のエゴサの中にも彼の投稿はあった。彼のアイコンからホームを見ると、感想以外の投稿もあってそれを見ると彼の人となりが分かって好きだった。けれど今日は違った。
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    かり。

    PROGRESS一次創作。
    今書いてるものの、進捗。
    警備員×芸能人そろそろ空も白んできそうなころ、麻木トーマはやっと番組の収録が終わり、帰り支度をしていたところだった。テレビ局スタッフや他の演者に挨拶をしながら、エントラスが見えてきたところで、ササッと身なりを整える。もしあの人がいたら、と思うと少しでもよく見られたかった。
    「お疲れ様です!」
    少し高めのトーン。照れてしまいそうになるのをテレビ用の笑顔を貼り付けてなんとか隠す。
    「お疲れ様です」
    頭を少し下げて挨拶を返してくれたのは、この局の警備員をしている高根という男だった。トーマはこの警備員に対して、助けられた瞬間から恋をしている。高根の挨拶は無愛想な人間だと思ってしまうような抑揚のないものだったが、恋をしているトーマからすれば仕事を頑張っていると映り、胸をときめかせてしまう。彼の横を通り過ぎたあと、被っていた帽子をさらに深くする。彼の前では醜態を晒せないと気を張れるのに、姿が見えなくなると一気に顔の緩みと熱が襲ってくる。こんなところを見られたら何を言われるか。特にマネージャーにはあれこれ突っ込まれるだろう。車に戻るまでになんとかしないとと考えた末、思いっきりにやけてしまうのが一番だった。そうすればスッキリして案外早く収まるものだと気づいた。
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