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    sorcierudia

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    #CVS4Boss
    『ご出演おめでとうございます』

    #CVS4Boss

     ここはささやかな酒宴の席。テーブルには色とりどりの軽食と、各自の好みのドリンクが用意されている。そして、ルガールが朗らかな調子でギースに祝辞を贈った。
    「KOF15へのご出演おめでとうございます」
    「ああ、わざわざご丁寧に、ありがとう」
     ギースが軽く会釈する。少しだけ戸惑っているらしい。早速、といった体でベガが尋ねる。
    「誰と組むのだ?」
    「ビリーと山崎竜二」
     ギースが宣材写真を見せた。ベガが一瞥するなり言う。
    「ヤ○ザチームだ」
    「違う。サウスタウンチーム」
    「運営が気を遣ったのだろうが、これはヤ○ザチームだぞ」
     確かに、だいぶ強面なメンツが揃っていた。
    「やってることがね」
    「そういうルガールは何故出んのだ」
    「私は、もう引退してるからね」
    「ハッハッハ。冗談がお上手で」
     趣味が復活ゆえに。だが、もう何年ぐらいカードが組まれていないのか。何年……? まあ良い。今は無意味だ。
    「万が一、出るとしたら誰と組む?」
     ベガにとっては割と気になるテーマらしい。
    「一人で出るよ。豪鬼もそうだろう?」
    「何故我に話を振る。まあ、一人で出るが」
    「だよね。ベガは?」
     ベガはたっぷりと間を置いた。
    「……。居ない、ので、出ない」
     ギースが噴き出す。
    「待ってくれよ。貴様にはお気に入りのやつが居るだろうが」
    「何のことだ」
     とぼけているのかと思ったが、どうやら魔人の天然気質が発動したらしい。思わず突っ込んでしまった。
    「唾を付けすぎて誰の事を言われておるのか判って無いな?」
     だが冗談ではなく心からの本心だ。ベガの人間関係は拗れている。
    「まさかFANGの事を言っているのか」
     直感したベガに対し、ギースが大きく頷いた。
    「そうだとも。ファナティックアンドニューグラデーションのことだとも」
     わざと間違えるギースに対し、ルガールが訂正を入れる。
    「ファンタスティックアジアンノトーリアスギャングだよ」
     なんで覚えていられるんだろうか。
    「ああそうだった。ベガよ、あんなにお前のご執心のやつなど他におらんぞ? 無論実績もある。名前を挙げてやるのが筋ってもんだろうが」
     とギースは言うが、俺には皮肉に聞こえる。ベガは一点を見つめたまま硬直した。
    「止まったね」
    「めちゃ悩んどる」
     ルガールとギースが興味深そうに、長考するベガを観察する。
    「……KOFは基本三人組だな?」
     と、ベガ。ルガールが、別に二人でもいいんだよと宥める。しかしベガは首を横に振った。
    「否。それではあまりにも」
     生真面目な質が困った形で出ているようだ。
    「……私とFANGが組んだ場合、もう一人が思い浮かばない」
     思い悩んでいる。見かねたギースが提案した。
    「他の四天王とか、ジュリとか」
    「ジュリはキラービーと組ませたい」
    「欲望がだだ漏れ」
     うら若き娘が喧嘩しているさまを眺めていたいという性癖よ。
    「そうだ、私が邪魔になる。百合の間に割って入る男になってしまう」
     我に返らなくていいところで返ってしまった。
    「誰もそんなこと思わないよ」
    「つまりベガとFANGと組んだ場合はBLにしゃしゃり出てくる女になるわけか」
     まずい。独り言が漏れ出てしまった。
    「別に女性に限定してないでしょ」
    「BLて」
    「振り返るべきはそこじゃないよ」
    「ベガとFANGとバルログ、バイソンとエドと誰かとかさ。色々あるだろ、やりようが」
     俺とルガールの不明瞭なやり取りの横で、ギースが諦めずに提案を続ける。ギースとベガが同じチームで出場するという選択肢は、恐らくない。これは共通認識というか暗黙の了解というか。
     しかしながら提案することは正解か? ただ相槌を打てばいいのでは?
    「キラービーと組んだら?」
     とルガール。すると、
    「親と組むのは嫌だって」
     すかさずギーズが返す。そういえば、例の少年も出るのだったか。
    「ほら、運動会じゃないんだしさ」
     気を取り直したように、シニカルにギースが言う。ルガールが笑った。
    「タクマやハイデルンへの悪口かな?」
    「いやいやいや、お前だって、それはちょっと……だろう?」
    「私は別に? ああでも、向こうは嫌がると思うよ」
     兄弟と一緒に出場するだけギースは大人だと思う。俺は御免だ。
    「ベガはお友達が多いだろう? 悩んでしまうよね」
     ベガは黙り込んだまま動かない。
    「めちゃ悩んどる」
     頭を抱えている。そこまで行くものかね。
    「あー。こうなったらもうだめだ。悩みの迷宮から出てこないぞ」
     ギースが微笑ましそうにベガを眺めていた。
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