あの《悪魔》が欲する物は何か。
奴の心は常に餓え、干乾びている。安堵、受容、承認、理解、慈悲、愛憎。何もかもが欠けている。
心底、徹頭徹尾、精神が破損している事は、俺も感じ取っている。だが、生きている。生きて、俺達の前に立っている。
《人間》は、俺が役割を果たしているから《悪魔》は喜んでいる。だから心配無いと言った。
《魔人》は、これからもできることがある。良くなっていくことだろう、と言った。
そして、お前は言った。
「本来なら黙殺するだろうに、どうして手を出さずにいられないのだろう。もしかして、君も壊れているのかな?」
お前に必要なのは、お前を終わらせるための手なのか。
それとも、お前のすべてを赦すための、柔らかな体なのか。
果たして神の如き偉大な力なのか。
考え過ぎた。
取り敢えず、これからもお前が元気でいてくれれば、それでいい。
まずはそこからだ。