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    なすびのな

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    なすびのな

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    歌うま男性Vsinger、音御光歌(おとお こうが)くんが、とある日の挑戦枠配信で演じてくれた執事設定が個人的にとてもよかったので書きました。
    最後の台詞はご本人が配信で言ってくれた台詞を引用させていただだきました。

    ※執事設定なのでご本人とキャラが違います。
    ※何も起こりませんが一応夢として書いています。苦手な方はご注意ください。

    #こうが文
    #夢小説
    dreamNovel

    「眠れない…」

     ぽつりと呟いたその声は、月明かりに照らされた部屋の隅に残る暗がりに吸い込まれていく。
     窓の外には明るく丸く、黄色い月が浮かんでいて。ふと脳裏に、月とは真逆の、太陽の光をまとったように笑う執事の姿が思い浮かんだ。
     ベッドの中から抜け出し、素足を履物に落として部屋を出る。かちり…と扉の閉まる音が広々とした廊下に響いて、少し体を縮こまらせた。

    「いかがいたしましたか?」

     ゆっくりと静かに、長い廊下の絨毯を踏みしめて進むと、その先にある扉をそっと開く。柔らかな照明の下で書類に伸ばしかけた手を止め、執務室でその日の仕事を片付けていた彼が顔を上げた。

     かすかな灯を反射してその瞳が優しく輝くさまに、もやもやと胸の奥にわだかまっていた不安がほどけていくのが分かる。

    「眠れない」

     安堵感に包まれながら、部屋で独り言ちた言葉を繰り返せば、太陽のようにまばゆく笑って、
    「子守歌でもお聞かせいたしましょうか?」
    そう告げる言葉に頷いた。

    * * * * *

    「眠るまで傍にいて」

     不安なことがあると眠れなくなる主人がベッドに戻り、体を横たえたことを確認すると、その傍らで用意した椅子に座って、月明かりの中穏やかに歌い始める。
     爪弾く弦の音に合わせて歌いながら、まぶたを閉じたその横顔を見つめる。歌声に愛おしさを込めて。自らの温もりが伝わるように。大切に歌声を響かせて。
     部屋に満ちた月の光がひそやかに雲間に隠れるころ、かすかな寝息が聞こえ出したところで、子守歌の代わりに歌った曲の、最後の一音を鳴らし終えた。少しの間その姿を見守って。
     小さく椅子が軋む音が部屋に響く。暗がりの中、寝具の間から覗く指先に触れようと伸びた己の手を止めて。

    「あなたに触れることは叶いませんが、あなたが望んでくだされば一生お傍におります」

     彼が呟いた言葉は部屋の暗がりに吸い込まれて消えていく。
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    なすびのな

    DONE歌うま男性Vsinger、音御光歌(おとお こうが)くんが、とある日の挑戦枠配信で演じてくれた執事設定が個人的にとてもよかったので書きました。
    最後の台詞はご本人が配信で言ってくれた台詞を引用させていただだきました。

    ※執事設定なのでご本人とキャラが違います。
    ※何も起こりませんが一応夢として書いています。苦手な方はご注意ください。
    「眠れない…」

     ぽつりと呟いたその声は、月明かりに照らされた部屋の隅に残る暗がりに吸い込まれていく。
     窓の外には明るく丸く、黄色い月が浮かんでいて。ふと脳裏に、月とは真逆の、太陽の光をまとったように笑う執事の姿が思い浮かんだ。
     ベッドの中から抜け出し、素足を履物に落として部屋を出る。かちり…と扉の閉まる音が広々とした廊下に響いて、少し体を縮こまらせた。

    「いかがいたしましたか?」

     ゆっくりと静かに、長い廊下の絨毯を踏みしめて進むと、その先にある扉をそっと開く。柔らかな照明の下で書類に伸ばしかけた手を止め、執務室でその日の仕事を片付けていた彼が顔を上げた。

     かすかな灯を反射してその瞳が優しく輝くさまに、もやもやと胸の奥にわだかまっていた不安がほどけていくのが分かる。
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    最後の台詞はご本人が配信で言ってくれた台詞を引用させていただだきました。

    ※執事設定なのでご本人とキャラが違います。
    ※何も起こりませんが一応夢として書いています。苦手な方はご注意ください。
    「眠れない…」

     ぽつりと呟いたその声は、月明かりに照らされた部屋の隅に残る暗がりに吸い込まれていく。
     窓の外には明るく丸く、黄色い月が浮かんでいて。ふと脳裏に、月とは真逆の、太陽の光をまとったように笑う執事の姿が思い浮かんだ。
     ベッドの中から抜け出し、素足を履物に落として部屋を出る。かちり…と扉の閉まる音が広々とした廊下に響いて、少し体を縮こまらせた。

    「いかがいたしましたか?」

     ゆっくりと静かに、長い廊下の絨毯を踏みしめて進むと、その先にある扉をそっと開く。柔らかな照明の下で書類に伸ばしかけた手を止め、執務室でその日の仕事を片付けていた彼が顔を上げた。

     かすかな灯を反射してその瞳が優しく輝くさまに、もやもやと胸の奥にわだかまっていた不安がほどけていくのが分かる。
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    最後の台詞はご本人が配信で言ってくれた台詞を引用させていただだきました。

    ※執事設定なのでご本人とキャラが違います。
    ※何も起こりませんが一応夢として書いています。苦手な方はご注意ください。
    「眠れない…」

     ぽつりと呟いたその声は、月明かりに照らされた部屋の隅に残る暗がりに吸い込まれていく。
     窓の外には明るく丸く、黄色い月が浮かんでいて。ふと脳裏に、月とは真逆の、太陽の光をまとったように笑う執事の姿が思い浮かんだ。
     ベッドの中から抜け出し、素足を履物に落として部屋を出る。かちり…と扉の閉まる音が広々とした廊下に響いて、少し体を縮こまらせた。

    「いかがいたしましたか?」

     ゆっくりと静かに、長い廊下の絨毯を踏みしめて進むと、その先にある扉をそっと開く。柔らかな照明の下で書類に伸ばしかけた手を止め、執務室でその日の仕事を片付けていた彼が顔を上げた。

     かすかな灯を反射してその瞳が優しく輝くさまに、もやもやと胸の奥にわだかまっていた不安がほどけていくのが分かる。
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    lll_suki

    PROGRESS6月25日(日) 東京ビッグサイトにて行われるプチオンリー「極上の1杯を貴女に」で頒布を予定している、名探偵コナン/降谷零 夢小説のサンプルです。
    本文中、何度か視点が切り替わります。

    [あらすじ]
    黒ずくめの組織の壊滅まであと少し。
    妻を守るために自身の死を偽装し別れた降谷と、彼を亡くした日常のなかで必死に生きようとする妻が、もう一度出会うまでのおはなし。
    ハッピーエンド。
    拝啓 春へ置き去りにしたあなたへ おしまいはほんとうに突然で、それはよく澄んだ、春のおわりだった。

    「ご無沙汰しております」
     警察官の夫と、私と、それから子犬のハロ。ふたりと一匹暮らしのマンションに突然訪れたのは、篤実そうな男性だった。
     夫の部下だという男性は、『風見』さんと名乗った。彼と顔を合わせるのは確か、これが二度目。高い背丈と、あのひととは正反対に吊り上がった瞳がつよく印象に残っている。
     どうぞこちらへ。そう室内へ促した私に、春の空気をまとった彼は、ただ首を横に振った。
    「きょうは、こちらをお届けに伺ったんです」
     そうして手渡されたのは、真っ白な陶器の蓋物だった。私の両手のひらにちょうどぴったり収まるほどの、つるりと丸くて軽いそれ。薄い生成りで包まれているのに氷みたいに冷たくて、受け取った途端、言いようのない焦燥感が背を駆け抜けた。
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