Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    なすびのな

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 2

    なすびのな

    ☆quiet follow

    歌うま男性Vsinger、音御光歌(おとお こうが)くんが、とある日の挑戦枠配信で演じてくれた執事設定が個人的にとてもよかったので書きました。
    最後の台詞はご本人が配信で言ってくれた台詞を引用させていただだきました。

    ※執事設定なのでご本人とキャラが違います。
    ※何も起こりませんが一応夢として書いています。苦手な方はご注意ください。

    #こうが文
    #夢小説
    dreamNovel

    「眠れない…」

     ぽつりと呟いたその声は、月明かりに照らされた部屋の隅に残る暗がりに吸い込まれていく。
     窓の外には明るく丸く、黄色い月が浮かんでいて。ふと脳裏に、月とは真逆の、太陽の光をまとったように笑う執事の姿が思い浮かんだ。
     ベッドの中から抜け出し、素足を履物に落として部屋を出る。かちり…と扉の閉まる音が広々とした廊下に響いて、少し体を縮こまらせた。

    「いかがいたしましたか?」

     ゆっくりと静かに、長い廊下の絨毯を踏みしめて進むと、その先にある扉をそっと開く。柔らかな照明の下で書類に伸ばしかけた手を止め、執務室でその日の仕事を片付けていた彼が顔を上げた。

     かすかな灯を反射してその瞳が優しく輝くさまに、もやもやと胸の奥にわだかまっていた不安がほどけていくのが分かる。

    「眠れない」

     安堵感に包まれながら、部屋で独り言ちた言葉を繰り返せば、太陽のようにまばゆく笑って、
    「子守歌でもお聞かせいたしましょうか?」
    そう告げる言葉に頷いた。

    * * * * *

    「眠るまで傍にいて」

     不安なことがあると眠れなくなる主人がベッドに戻り、体を横たえたことを確認すると、その傍らで用意した椅子に座って、月明かりの中穏やかに歌い始める。
     爪弾く弦の音に合わせて歌いながら、まぶたを閉じたその横顔を見つめる。歌声に愛おしさを込めて。自らの温もりが伝わるように。大切に歌声を響かせて。
     部屋に満ちた月の光がひそやかに雲間に隠れるころ、かすかな寝息が聞こえ出したところで、子守歌の代わりに歌った曲の、最後の一音を鳴らし終えた。少しの間その姿を見守って。
     小さく椅子が軋む音が部屋に響く。暗がりの中、寝具の間から覗く指先に触れようと伸びた己の手を止めて。

    「あなたに触れることは叶いませんが、あなたが望んでくだされば一生お傍におります」

     彼が呟いた言葉は部屋の暗がりに吸い込まれて消えていく。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💘🇱🇴🇻🇪💘
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    なすびのな

    DONE歌うま男性Vsinger、音御光歌(おとお こうが)くんが、とある日の挑戦枠配信で演じてくれた執事設定が個人的にとてもよかったので書きました。
    最後の台詞はご本人が配信で言ってくれた台詞を引用させていただだきました。

    ※執事設定なのでご本人とキャラが違います。
    ※何も起こりませんが一応夢として書いています。苦手な方はご注意ください。
    「眠れない…」

     ぽつりと呟いたその声は、月明かりに照らされた部屋の隅に残る暗がりに吸い込まれていく。
     窓の外には明るく丸く、黄色い月が浮かんでいて。ふと脳裏に、月とは真逆の、太陽の光をまとったように笑う執事の姿が思い浮かんだ。
     ベッドの中から抜け出し、素足を履物に落として部屋を出る。かちり…と扉の閉まる音が広々とした廊下に響いて、少し体を縮こまらせた。

    「いかがいたしましたか?」

     ゆっくりと静かに、長い廊下の絨毯を踏みしめて進むと、その先にある扉をそっと開く。柔らかな照明の下で書類に伸ばしかけた手を止め、執務室でその日の仕事を片付けていた彼が顔を上げた。

     かすかな灯を反射してその瞳が優しく輝くさまに、もやもやと胸の奥にわだかまっていた不安がほどけていくのが分かる。
    810

    related works

    なすびのな

    DONE歌うま男性Vsinger、音御光歌(おとお こうが)くんが、とある日の挑戦枠配信で演じてくれた執事設定が個人的にとてもよかったので書きました。
    最後の台詞はご本人が配信で言ってくれた台詞を引用させていただだきました。

    ※執事設定なのでご本人とキャラが違います。
    ※何も起こりませんが一応夢として書いています。苦手な方はご注意ください。
    「眠れない…」

     ぽつりと呟いたその声は、月明かりに照らされた部屋の隅に残る暗がりに吸い込まれていく。
     窓の外には明るく丸く、黄色い月が浮かんでいて。ふと脳裏に、月とは真逆の、太陽の光をまとったように笑う執事の姿が思い浮かんだ。
     ベッドの中から抜け出し、素足を履物に落として部屋を出る。かちり…と扉の閉まる音が広々とした廊下に響いて、少し体を縮こまらせた。

    「いかがいたしましたか?」

     ゆっくりと静かに、長い廊下の絨毯を踏みしめて進むと、その先にある扉をそっと開く。柔らかな照明の下で書類に伸ばしかけた手を止め、執務室でその日の仕事を片付けていた彼が顔を上げた。

     かすかな灯を反射してその瞳が優しく輝くさまに、もやもやと胸の奥にわだかまっていた不安がほどけていくのが分かる。
    810

    recommended works

    ちりむく

    MEMO妄想小説2

    鏡舎にて…

    シキは、サバナクローのとある人物から借りた体操服を返しに鏡舎へ。そこでフロイドとジェイドに会う。

    このお話はフロイドとジェイドが出てくるシーンだけ抜き出したものです。
    監督生もここでは出てきません。なんでも許せる方どうぞです。
    シキは借りていた体操服を紙袋に入れて鏡舎に向かっていた。時間はすでに8時を過ぎており辺りは暗く生徒の姿もほとんどなかった。慣れない植物園での仕事を終え部屋に戻って来た後、うっかり眠ってしまい起きたらこんな時間になっていたのだ。学園の生徒でない自分が遅い時間に寮へ行くことは躊躇われたが今日返しにいくと自分が言った約束を破るわけにはいかなかった。

    鏡舎に着くと中を覗き込む。中には生徒達が数人立ち話をしており入りづらかった。
    仕方なく入り口の端で生徒達が帰って行くのを待っていたのだが、出る前に浴びたシャワーで身体と髪が冷えてきた。身体を抱きしめながら前ばかり気にしていたからか,背後に人が立った事にまったく気が付かなかった。

    「ヤドカリちゃん、こんな所でなにしてんの?」

    聞き覚えのある声と呼び名にシキは驚いて振り返った。声の主は思った通りの人物、オクタヴィネルのフロイドであった。フロイドは1人ではなく横には兄弟のジェイドがいた。ジェイドはシキの事を珍しそうに見ている。

    「今晩は」

    思わず困惑の表情のまま挨拶をしてしまったがフロイドはシキのそんな表情にはお構いなしであった。

    「髪の毛 1725

    なすびのな

    DONE歌うま男性Vsinger、音御光歌(おとお こうが)くんが、とある日の挑戦枠配信で演じてくれた執事設定が個人的にとてもよかったので書きました。
    最後の台詞はご本人が配信で言ってくれた台詞を引用させていただだきました。

    ※執事設定なのでご本人とキャラが違います。
    ※何も起こりませんが一応夢として書いています。苦手な方はご注意ください。
    「眠れない…」

     ぽつりと呟いたその声は、月明かりに照らされた部屋の隅に残る暗がりに吸い込まれていく。
     窓の外には明るく丸く、黄色い月が浮かんでいて。ふと脳裏に、月とは真逆の、太陽の光をまとったように笑う執事の姿が思い浮かんだ。
     ベッドの中から抜け出し、素足を履物に落として部屋を出る。かちり…と扉の閉まる音が広々とした廊下に響いて、少し体を縮こまらせた。

    「いかがいたしましたか?」

     ゆっくりと静かに、長い廊下の絨毯を踏みしめて進むと、その先にある扉をそっと開く。柔らかな照明の下で書類に伸ばしかけた手を止め、執務室でその日の仕事を片付けていた彼が顔を上げた。

     かすかな灯を反射してその瞳が優しく輝くさまに、もやもやと胸の奥にわだかまっていた不安がほどけていくのが分かる。
    810