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    ume8814

    @ume8814

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    ume8814

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    現代AU仁竜がただセックスしてるだけの話。申し訳ありません。

    体毛の処理の話と尻舐めが含まれています。
    同意の元に殆どのことが起こりますが人によってはあまり気分の良い話では無いかもしれません。

    我慢できない「仁、話があるんだ」
     そう言って帰宅直後の俺に、竜三は酷く真面目な顔をして話を切り出した。

     帰宅直後も直後、10連勤も終わり、今日こそは竜三と……そう思い玄関を開けたところ。玄関で靴を脱いだところでそう切り出されては、すわ別れ話かと血の気が引く。
    「お前明日から休みだよな」
    「そうだが……」
     どうにかして竜三との別れは回避せねばなるまい……。そう覚悟決めたところで竜三の発言は想定の斜め上を通り過ぎ、随分と訝しげな空気が乗った言葉が出るばかりだ。
    「その、お前、今晩俺を抱くだろ……」
    「ああ……、そのつもりだが……」
     もしや、具合が悪いのか?なにせ10日ぶりだ、この日のために仕事を頑張ったと言い切っても大袈裟ではない。竜三から問いがあったように大抵は俺の休みの前日に共に床に入ることは暗黙の了解になっていた。しかし竜三に無体を強いたい訳では無い。
    「それがどうしたのだ。具合でも悪いのか」
    「いやそういう訳じゃない。そうじゃないが、ひとつ頼みがあってな」
     普段ならば、やれ脱いだスーツをソファにそのままにするな、弁当箱をシンクに出せ、そう言ってやかましい竜三からは想像がつかないほどしおらしい。
    「なんだ」
    「……髭を剃ってくれないか」
    「髭を剃る?」
     今の俺は随分と呆けた顔をしていることだろう。殆ど竜三の言葉のオウム返しをしながら思考を巡らせる。話が全く見えてこない。この話の流れでは今夜の予定と何かしら関係のある事であることは分かるが、俺の髭を剃ることがどう影響するんだ。竜三の願いは出来るだけ聞き届けてやりたい。やりたいが、そうは言ってもやっと生え揃った髭だ。竜三と比べると髭が生え始めるのも遅く、まばらに生えてくる髭をどうにか揃えたところで剃るのは惜しい。
    「随分と突然だな。何故そのようなことを」
     そう聞けば竜三は落ち着かない様子で俺と竜三の間のフローリングを眺めている。10日ぶりに竜三を抱けると思っていたのだ。煮え切らない態度に業を煮やし竜三に詰め寄った。
    「お前らしくもない。はっきりしろ」
     そう言って竜三の腕を掴み、強引に視線を合わせた。そうすれば肩がこわばりぎゅっと眉間にシワが寄り口を開きかけた竜三だったが、いつもの様に怒鳴られるかと思えば、口を閉じては開いてを繰り返している。その間も視線をずらさずに居れば、ふっと力を抜いて何度か視線をさまよわせた後にこちらを見た。
    「お前の髭が、俺のケツに触れるのが嫌なんだ」

     舞台は玄関からところ変わって風呂場である。俺は風呂椅子に座らされて竜三のもつ剃刀が頬を滑っていく感覚をただただ享受している。
     話は少し巻きもどる。普段からは考えられないほどの躊躇いの後に告げられた竜三の言葉の後、俺が竜三の発言に面食らっていると、俺が掴んだ腕をそのままに竜三が歩くのに引きずられるようにして夕飯の並んだテーブルに座らされた。そして無言のまま飯を食い終えると竜三が重い口を開いた。
    「お前、俺がやめろというのも聞かずにケツを舐めるだろ」
    「あ、ああ……」
     食後に出された茶を飲んでいた俺は竜三から発せられたあまりの言葉に噎せながら返事をするのが精一杯だった。
    「お前の髭が俺のケツに擦れて不快だ。それに痛い」
    「それで、俺に髭をそれと」
    「そうだ。別に剃らなくても良いが、その代わり金輪際辞めると誓え」
    「そう……」
     そういうのならお前だって、そう言おうとした俺の言葉は段々と尻すぼみになり本意を伝える前に消えていった。
     確かに初めて竜三を抱こうとした時、成人男性らしく毛深かったものだがいつからか気にならなくなっていた。そういえばそうなのだ。別に竜三が突然薄毛になった訳でもない。そんなピンポイントでなるわけが無いのだ。
    「なんだよ」
    「いや、なんでもない」
     突然言葉を濁した俺に竜三が訝しげな声を出す。
    「それで、どうするんだ」
     どうするか。確かに、どうするべきか。やっとの思いで生え揃えた髭を剃り落とすことは惜しい。確かに惜しいが、天秤にかけてた時にどちらに天秤が傾くかは火を見るより明らかだった。
     そうして場面は風呂場へと収束する。
     風呂桶に溜まった湯へとぴちょんぴちょんと水が垂れる音がする以外には俺と竜三の呼吸音、そして竜三の持つ剃刀が俺の頬を撫でる音だけがソリソリと響いている。風呂に溜められた湯は温かく湯気を立てているが、頬を滑る剃刀だけはいつまでも冷たい。首筋に柔らかく添えられた竜三の左手の温度と迷いなく動かされる剃刀の温度差に肌が粟立つようだ。ぼんやりとした温度に包まれている浴室の中では、竜三が俺……もとい髭に向ける視線の熱さと剃刀の冷たさだけが異様だった。そう言えば、俺は浴室に押し込まれる時に身ぐるみを剥がされたが、竜三は服を着たまま僅かにスボンの裾を捲っただけだった。
    ソリソリと髭を剃る音が疎らになり、竜三が俺の頬を睨めつける時間の方が長くなった頃。そろそろ頃合だろうか。俺は10日も待ったのだ。俺がそう辛抱強くないのはお前も知っているだろう竜三。
    「竜三、お前は脱がないのか」
    「あぁ?なんだよ。……俺はもう風呂には入った」
     そうか。ならばもう良いだろう。
    「満足がいったか?」
    「…………あぁ」
     竜三が俺の頬を撫でる。最後の品定めというようにじろっと頬を撫でる視線。本当に満足したのだろう。右手に握られていた剃刀の刃は収められた。ならば、もう我慢することは有るまい。
    「お前の望み通り。俺は髭を剃ったぞ」
     そう言って竜三の唇に噛み付く寸前。俺が見たのはこれまでの我慢が報われるような竜三の表情だった。

    「おまっ…………」
     突然片腕を掴まれ引き寄せられたことに対する文句だろうか。竜三の口から飛び出すはずだった言葉の端を押し込むようにして、無防備に開いた唇に舌をねじ込む。
    「じんっ、やめ……っ」
     顔を反らせて出来る限り距離を取ろうとする竜三の首筋から後頭部へと空いている手を添わせて再度引き寄せる。それ以上後ろへ下がれば鏡へぶつかるだけだというのに。哀れにも中途半端な姿勢で捕獲された竜三は、それでも往生際悪く舌だけでも喉奥へと逃がそうとしている。逃がしてなるものかと竜三の舌を追いかけていく。丸まった舌を追うようにして根元までズルズルと辿ると、俺の舌に押し出されるようにして竜三の舌が伸びてくる。その舌に押し出されるようにして竜三の鼻から息が漏れる。
    「んぅ………………」
     もう逃げる先もないというのに、自由な片腕で俺を突っぱねようとしてくる竜三の力は結構強い。このままでは埒が明かない。そう思い一度竜三から顔を離した俺は、竜三の首筋をゾロリと撫でさする。そしてそのまま耳裏をかりかりと爪で引っ掻けば、驚いたように見開らかれた竜三の瞳はじわじわと溶けだし、じきに輪郭をとろとろと失っていく。その瞳の変化を目の当たりにした俺は堪らずに生唾を飲み下す。そんな俺の様子にも気が付かない竜三が、小さく息を着くために開いた無防備な口元にかぶりついた。今度こそ薄く伸ばされた竜三の舌を逃すまいと舌を絡める。僅かに苦い竜三の舌を吸い、俺の口内へと誘導する。もう何をされているのか分からないのだろう。抵抗もなく唆されるままに伸ばされた舌を軽く噛む。思い出したように耳朶をくすぐりながら歯列を撫で、上顎を擽るようにしてやれば徐々に竜三の身体から力が抜けて行く。握りしめられた手で弱々しく胸を叩かるが、もはや抵抗とも言えないものだった。
     始まりには中腰で抵抗していた竜三だったが、いつのまにかゆるゆると力を失い、浴室に座り込んでいた。床に座り込む竜三と風呂椅子に座る俺。逆転した視線の高さも相まって、まるで捕食しているかのような姿勢で貪っていた竜三の舌を解放する。ずるりと舌を抜くと2人の間では銀糸となっていた唾液がプツリと途切れる。飲みきれなかった唾液にむせながら大きく息をしている竜三を、せめて息が整うまでと眺めているとわずかに理性が顔を見せ始める。
    「竜三、なあ、ここで抱いてもいいか」
    「……いまさらっ、嫌が通るのか」
     背を撫でながら聞けば、ゆったりと、夢から覚めるようにして竜三の瞳にも僅かに理性が戻ってきた。いまだ落ち着かない呼吸の合間、返事とともに恨みがましい視線を向けられる。
    「すまん。がっつき過ぎた。どこでも、お前の望むように」
     告げた言葉は本心であったが、拗ねた顔すら愛おしく、額に、頬に、小さく口付ける。やはり癪に障るのか、ほんの少し身をよじり顔を背けられてしまう。
    「抱くのは確定事項か」
    「お前だって、俺が帰ってくる前からそのつもりだろう」
     そう告げると勢いをなくした竜三は下を向いてしまう。じっと浴室の床を脱みつけているだろう竜三がモゴモゴと喋っているがはっきりしない。
    「聞こえないぞ」
    「……腰が抜けた。お前の好きにしろ。俺を引き摺ってベッドに行くのでも、このままここででも」
     そう言って一層赤く首筋を染め上げる姿を見せられては、1度掴んだはずの理性の手網も簡単に見失ってしまう。
     竜三の身につけていた衣服を手早く剥ぎ取った俺は、浴槽にドボンッと竜三を沈める。いまだに惚けている様子の竜三を横目にシャワーのコックをひねる。大人しく浴槽で丸まっている竜三を横目に早く竜三を抱きたいと思いながらボディソープを泡立てる。髪はひとまずいいかと考えながらワシワシと身体を洗っていると訝しげな声が投げられた。
    「何してるんだ」
    「身体を洗っている。1日仕事をしていたんだ。さすがに汚いだろう」
     そう返せば、もう随分と意識がはっきりとしたらしい竜三は呆れたような目を向けてくる。
    「もう俺は風呂に入ったんだ。あんまりのんびりしてるとのぼせちまうからな」
    「分かっている。手早く済ませる」
     言われずとも、もう終わる。

     浴槽の中、一段高くなっている箇所に腰かけている竜三の足を開かせて、その間に身を滑り込ませる。
    「本当に湯の中でやるのか」
     しっとりと水気を含んだ竜三の肌に手を添わせていると、むっつりと口を引き結んでいた竜三が口を開く。
    「俺は好きだぞ」
    「お前はな」
     こうして湯の中で交わるのも初めててではない。一度だけ、二人で濡れ鼠になりながら帰宅したときに、何がきっかけであったか忘れたが経験したことがある。あの時の竜三は身も世もなく良く鳴いた。
    「嫌ならやめるが」
    「……お前の好きにしろ」
     思わず笑みがこぼれそうになるのを我慢する。ここで竜三の機嫌を損ねるほどの馬鹿ではない。
    「そうさせてもらおう」
     
     不服そうな表情をしているものの、特に強ばった様子もない竜三の身体に触れる。本当に俺の好きなようにさせてくれるつもりらしい。愛撫らしい愛撫もそこそこに竜三にお伺いを立てる。
    「竜三、壁に手を着いてくれないか」
     小さく舌打ちをしながらも従順な竜三だったが、振り向きざまじっとりとした目を向けられる。しかしそれも一瞬のこと。伸び上がり竜三の耳朶に口付け、晒された背中に手を滑らせれば、小さく吐息を漏らし黙り込んでしまう。そのまま何度か背中に手を滑らせる。薄く隆起する筋肉を撫でる俺の手に合わせて蠢く背筋のなんと美しいこと。小さく漏れ出す声の艶やかなこと。
    「お前っ、本当に物好きだな」
    「やっとの思いで生え揃えた髭と引き換えにしてもいいと思える程度にはな」
     これから行われることを察して、乱れる呼気の合間に憎まれ口を叩かれるが可愛いものだ。湯の中に半身を沈めて眼前の尻臀を割り開く。顔を埋め、一見すると慎ましやかに見える尻穴に舌を伸ばす。ずぶりと舌を埋め込んでも特段不快な匂いなどはない。丹念に洗われているのか、感じるのは竜三の体臭とそれに薄らと混じるボディソープの香りだけだ。このような行為が一般的でないことは分かる。ただ、こうしている時にここまでの行為を許す竜三が、俺に投げ出しているものについて考えるとどうにも堪らなくなる。
     ふわふわとした中に緩く締め付けられながらズルズルと舌を出し入れしていると、じわじわと口内に唾液が溜まってくる。そのまま飲み込むことはせずに、顔を離して手へと吐き出す。それを指に塗して薄らと綻んだ穴に中指をいれた。
    「うぁっ………」
     ずるりと特に抵抗もなく滑り込んでいく指で腹側を押すようにしてずりずりと刷る。もう見つけ出すのにも慣れた箇所。少し探るようにして指を動かせば柔らかな中で唯一固いしこりに触れた。ぐっと押し込めばいつの間にか緩く兆していた竜三の陰茎は雫を垂らすほどになる。そのまま指を動かしやわやわと中を押し広げては、思い出したようにしこりに触れてやる。
     どれくらいそうしていただろうか。指も2本3本と増えていき、随分とすんなりと動くようになっていた。そろそろ頃合だろう。好き放題に自分を蹂躙する指からか、快楽からか、何かから逃げるようにして丸まっている竜三の背をぐぅっと押して湯に沈める。
    「いれるぞ」
     短く告げれば竜三が僅かに頷くのが分かる。既に抵抗らしい抵抗も無くなっていた。
    「はっ………、あぁっ」
     ひたりと当てられた陰茎に震える竜三だったが、直ぐに息を吐いて健気にも受け入れようとしている。ズルズルと竜三の中へと滑り込んでいく陰茎。少しずつ腰を揺らすと竜三の中を感じるのと同時に、じわじわと湯が入ってくるのがわかった。 
    「あ……つっ、仁……、あついっ」
    「ああ、あついなっ」
     湿気の篭った浴室の中。パシャパシャと湯が波打つ音、あついあついと喘ぐ竜三の声、俺の獣のような息遣いだけがあつい浴室の中で反響している。

     どれくらいその音を聞いていただろうか、時折思い出したように嫌々と首を振っている竜三の肩を引き寄せて、無理矢理こちらに顔を向けさせる。随分と久しぶりに見た気のする竜三は、真っ赤に茹だった顔でホトホトと涙を流していた。
    「のぼせたか」
     いつからそうだったのが、焦点の合わない瞳で随分と遠くを見ている竜三に堪らなくなった俺は、一際深くまで腰を進めてしまう。その分近づいた竜三の頬に顔を寄せて伝う涙を舐めとる。微かな塩気を舌が感じたが、涙か、汗か、それとも両方なのか、もう区別はつかなかった。
    「ははっ」
     突然おかしくなって笑うと、竜三の瞳の焦点がほんの僅かに合う。俺の笑い声のせいか、なんのせいかも分からない。俺ものぼせたのだろうか。ゆるゆると上がった口角を下げられぬまま腰を振り、形容し難い気持ちのまま竜三を眺めている。そうしているとほんの少しの正気を瞳に宿した竜三が小さく口を動かしているのに気付く。何事かと耳を傍立てると途切れ途切れに何かを訴えていた。
    「ぁう、……はっ、じんっ、ゆ、ゆが、……ゆがはいってるっ……」
     はらがちゃぷちゃぷいう。引きつった声で必死に告げてくる竜三の腹に視線を向ける。そうだろう。今日の竜三の中はいつもよりも随分とぬかるんでいる。しかし改めて見てみれば、確かに、湯が入って来たせいか。確かに、竜三の腹は薄らと膨らんでいた。その姿をまざまざと見てしまった俺は堪らずに自分本位に腰を振りたくった。
     ガツガツと、それこそ獣のように腰を振っていると、引き攣った竜三の声が一際大きくなった。そう思えば耐える間もなく竜三の中がぎゅうぎゅうと引き絞るように蠢く。堪らずに竜三の中に果てた俺は竜三の背に頬をつけて荒い息を吐いた。身体の奥からすうっと冷静になっていくのに身を任せ、萎えた陰茎をずるりと引き抜けば、すっかり弛緩してぽっかりと開いた尻穴からじわじわと白が滲み出している。その光景は大変目に毒な光景ではあった。しかしその様子を眺めながら、俺は自分の血の気が引く音を聞いた。



    この後おじんちゃんは大慌てでりゅぞをクーラーの効いた部屋に運び出しOS-1を飲ませ団扇で扇ぎつついつでも119番できる状態で数時間をすごし、特に大事にはいたらなかったもののバチボコに叱られて大変肩身の狭い休日を過ごしました。
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    ume8814

    DOODLEグリクリグリ
    読書 サイドテーブルを挟み緩く向かい合うように置かれた1人がけのソファで、クリーデンスとグリンデルバルドはそれぞれ本を読んでいた。日が落ちてから随分経ち分厚いカーテンの下ろされた部屋では照明も本を読むのに最低限の明かるさに絞られていた。その部屋には2人のページを捲る音だけが静かに響いている。


     クリーデンスが本を読むようになったのはつい最近、グリンデルバルドについてきてからのことだった。最低限の読み書きは義母に教えられていたが、本を読む時間の余裕も、精神的な余裕も、少し前のクリーデンスには与えられていなかった。
     義母の元でクリーデンスが読んだ文字と言えば自分が配る救世軍のチラシ、路地に貼られた広告や落書き、次々と立つ店の看板くらいのもので、文章と呼べるようなものとは縁がなかった。お陰でクリーデンスにはまだ子供向けの童話ですら読むのはなかなかに骨が折れる。時には辞書にあたり、進んだかと思えばまた後に戻ることも少なくないせいでページはなかなか減らない。しかしクリーデンスはそれを煩わしいとは思わなかった。今までの生活とも今の生活とも異なる世界、新しい知識に触れる事はなかなかに心が惹かれる。クリーデンスにとっては未だにはっきりとしない感覚だがこれが楽しいということなのかもしれないと、ぼんやりとだが思えた。それに今日のように隣で本を読むグリンデルバルドのページを捲るスピードは、自分のものとは異なり一定で、その微かに聞こえてくる紙のすれる音が刻むリズムがクリーデンスには酷く好ましかった。
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    ume8814

    DOODLE転生した記憶ありピタジョがギャングの下で掃除屋をしながら暮らしていくAUがみたいというツイッターでのどうにもならない妄想から生まれたものとなっています。
    ・モブの死とそれに伴う流血描写
    ・ジョージが色覚異常/ネットで得た知識をもとにしているためおかしな点が多々見受けられるかと思います
    ・マスターキー(斧)
    その他諸々なんでも許せる方向けとなっております。
    赤の記憶 ジョージ・ミルズは生まれてこの方、現実世界において、世間一般の言う赤という色を認識出来ないでいた。赤と呼ばれる色に割り振られた色は、一応ジョージの中にも存在する。しかしその色が多くの人が言う赤と同じかと言われると、答えは否だった。
     気がついた時にはセピア色のフィルターが幾重にも掛かっているような現実をみていたが、不思議な事にジョージの見る夢は昔から鮮やかだった。幼い頃は目が覚めると広がるセピア色の世界と鮮やかな夢とのギャップに驚き、母を質問攻めにしていた。どうして起きている時と寝ている時で世界の色が違うのか。どうして与えられたクレヨンに書かれた色の名前が自分の知るものと違うのか。
     幼いジョージの質問はどれも不明瞭で、母を困惑させるには充分過ぎるものだった。先天的に知る由もないだろう色の相違を拙い言葉でつたえられるのは薄気味悪くもあったのだろう。いつしかジョージと母との距離は離れていき、仕事を見つけたからと強引に家を出れば知らぬ間に縁が切れていた。それが16歳の冬の出来事。普段から家を空けがちな父には、最後の挨拶すらしないままだった。
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