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    DONE・トマ人ワンドロ第三回「ピアス」「暑さのせい」
    ・どちらも無理矢理押し込んだ結果がこれ
    ・解釈はふわふわ、付き合っててやることやってる世界線
    ・誤字脱字お許しください
    耳朶のさきまで 白を基調とした生地に目の覚めるような青を合わせた衣服は、いわゆる公的な場でも問題なく纏うことのできる社奉行としての正装だ。そこに華美でない程度の金色と、珍しくも僅かな暖色も差し色として合わせていく。常のそれよりも少しだけ気楽に着崩して、それでもなお彼の身分を表すように品を損なわないよう。とある貴人との会食であるというのなら、その場に選ばれた店の雰囲気にも合わせたものに。彼の服飾を管理する古参の家人たちと誂えたその衣服を彼に着つけるのは、今日も家司であるトーマの役割だった。
     まだ日差しが眩い夏の昼下がり。夕の会食に出るにはあまりに早すぎる時間帯である。じりじりと肌を焼くような暑さに大通りの人影もまばらとなるほどではあるのだが、それでも出立の刻限は迫りつつあった。涼しい顔をしている主も、ひとである以上汗は流すのだ。日差しの強さに体調を崩しやしないかと心配にはなるが、それを押してもと相手が望んだのならば今の『神里綾人』に逆らう術はないのだと、トーマだって知っていた。
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    MAIKING・これから着替えさせて髪の毛を梳いて爪を切って肌を手入れして、布団に転がして寝かしつけるまでやる。
    ・トマ人
    ・疲れ切ったときに欲望が出るタイプ
    昨夜はお楽しみでしたね じっとりと湿度の高い空気が窓の方から忍び入ってくる。僅かに意識を割いてみれば、外からは微かに水が地面をたたく音がしており、いつの間にか雨が降り出していたのだと気づかされた。夕刻から雲行きは怪しかったが、とうとう限界を迎えたのだろう。とはいえ、現在時刻はとうに日付が変わり、この雨に気づいている者も少ないはずだ。朝までには止むといいのだが、と明日――ではなく、今日は外で公務を行う予定であるはずの妹のためにもちらりと意識の片隅で言葉を零す。
     そう、時刻はすでに深夜である。朝の方が近い、と言ってもいい頃合いだったが、神里綾人にとっては今が本番のようなものだった。己の仕事はある程度片付け終えていたが、今日一日各々の業務を熟した部下たちからの報告を受け、それぞれに新たな任を下す必要があった。まずは夕刻に妹から、夜半にかけて終末番やその他部下から。そうして皆が寝静まった頃合い、漸うに始まるのが家司からの報告だった。この時間まで待たせてしまうのは綾人側の都合もあるのだが、彼は彼で明日の妹の支度や朝の仕込み等こまごまとしたことを片付けてから報告に来るらしく、自然とこのような遅い時間になることが多かった。
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    DONE・トマ人ワンドロ第一回「忘れ物」「恋煩い」
    ・どちらも無理矢理いれてしまった結果のこれ
    ・解釈ふわふわ、付き合ってますしやることはやってます
    ・誤字脱字
    恋煩い 主であるところの青年とトーマの間には、いくつかの符丁が存在する。それは幼い頃に大人たちには内緒だと笑った約束であるし、家司となったのちにお互いの業務を円滑に行うための取り決めでもあった。顔を合わせるより、声をかけるより、ずっと早くお互いの意図を通じさせることができるそれらが、同じ屋敷で暮らしている間柄であっても活用されるくらいには、神里家の当主というものは忙しかったのだ。
     トーマ自身から何かを伝えることもあれば、主から命令を受けることもある。その場にいる他者にそうと知られないよう、それでいて確実に伝えられるように編み出されたいくつものやりとりはささやかで、さりげなく、それでいて様々な意味を孕む。例えば、執務机にさりげなく残された匂い紙の色と香りであったり、朝食に添えられる茶器と花の組み合わせで在ったり――外出先で時折生ずる『忘れ物』であったり。勿論それらのすべてがそうであるというわけではなく、時折は主の悪戯めいたものも混じるのだけれど、言葉すら介さないやりとりは、トーマがただの被保護者であった頃から、家司となり、そうして二人が想いを交わしてからも変わらずに繰り返されてきた。
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    DONE・お題箱よりいただいたリクエストのトマ人です
    ・自己解釈が非常に強め
    ・ストーリー諸々全然回収できていないので齟齬があるかもしれない
    ・付 き 合 っ て な い のにやることやってます
    水に灯り、夜は明ける 時の流れは、その偉大なる歩みは、矮小な人間でも遥かなる神でも止めることは決してできない。そしてその時の流れとともに、万物は流転していく。永遠などありはしないし、すべての生き物は日々を生きるだけで変化していくものなのだ。いつか命に終わりはくるし、子どもとは大人になるのだから。
     だからこそ、神里綾人は約束というものの無情さを知っている。誓いの惨さも、神の目という名の意思の固定がどれほどにひとの理を外れたものであるのかも。それに拘泥するほど繊細でいるつもりはなかったが、同じくらい、それを理解していてなおそれらを紡ごうとするほど自由でもいられなかった。神里という巨大な家の頂点に立つ前から一歩引いて物事を見る性質に自覚はあったが、変わらないものなどないのだと思い知らされたあの日から、綾人はますます永遠というものを信じなくなった。不変などない。あらゆる物事は、時の流れに乗って前へ前へと進むしかない。それが正しい方向であるかどうかは誰にも分からないから、神里のような家の者たちが、民草の命を正しく運ぼうと日々世界を整えているのだ。それを自覚したときから、綾人は、変わらないものを求めることを諦めた。永遠はない。この世界のどこにも、変わらないものなど、ない。
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    MOURNING夜の創作お題bot @odaiibot様より
    ・さまざまな捏造
    ・全然わかってないまま書いてる、練習
    ・性格がよろしくないのでは?
    ・これはあなたの欠片 トーマの朝は早い。日が昇る前から起きだして、まずは主たちの朝の準備を行う。洗面用の冷たく清らかな水、料理人たちが献立を考え抜いた朝食、その日の予定に合わせた衣装。もちろん、トーマひとりで全てを管理しているわけではないが、それぞれの専門のものたちが誂えたそれらを、主君へと差し出す栄誉ある役割を任されているのがトーマだ。勿論これはトーマと主たちの間にある信頼と、これまでこの家のために方向を続けてきた結果によるもの。主の私的な部分に触れる人間は、できるだけ数が少ない方がいい。そうして、神里綾人というひとにとって、その立ち位置にいられる「無害」な存在としては、今のところトーマが最も適任なのだ。これがもう少し増えれば主も雑務をいくらか手放して楽になれるのだろうけれど、その信頼に耐えうるだけの人間を見つけ出し育成するという時間と労力を考えたとき、主の天秤はいともたやすく現状維持に傾いてしまうのだ。彼の多忙さを思えば、それも致し方ないと苦く思う。その片隅にじわりと滲む、優越感と罪悪感が一緒くたにまじりあった欲については、今日も見ないふりをした。
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    MOURNING夜の創作お題bot @odaiibot様より
    ・さまざまな捏造
    ・全然わかってないまま書いてる、練習
    ・自主ワンドロの続き
    その不器用な愛を、いとしいと思っていた 神里の家には、家人たちの住まう区画も存在している。自身の家を持ち、そこから奉公に来る者たちも当然いるのだが、例えばトーマのように、主の私生活に深くかかわっているような――少なくとも、やろうと思えば暗殺を試みられるような立ち位置の人間たちは、神里家の中で寝起きすることが多い。これは主たちを守るという意味であると同時に、家人ら自身の身の安全にもつながっており、きな臭い政争を共に被ることになる家人らへの気遣いのひとつだった。トーマのように身寄りがないものにとっては、衣食住の食(まかない)と住(寝床)が保証されているという時点で申し分ない環境である。もちろん、これが強制されているわけでもなく、トーマとて外に部屋を持ってはいる。それだけの蓄えはあるし、何より主たちからも外の世界を見聞きすることや羽根を伸ばすことは奨励されているのだ。主たる存在と同じ空間に四六時中いなくてはならないというのは息が詰まるでしょう、と微笑みながら、さらさらと住居の申請書――トーマの身元保証人として登録されているのは神里綾人そのひとであるので、申請には彼の許可がいるのだ――を記す主の言葉は、今もよく覚えている。
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