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    ゆのは

    二次創作上げるとこ。いまはモン○ンライズ。
    幼妻弟子シリーズ多めで、他は獣化教官と平行世界の獄狼竜教官のお話とか。

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    ゆのは

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    ウツハン♀産卵短編の世界線。前と時間軸は違う。
    今回は全年齢。ちょっぴりグロ描写とモブ死あります。
    悪いモブはぷちぷちしましょうねー。

    #ウツハン♀

    獣教官と愛弟子ちゃん3ずきずきと足が痛む。
    足袋も履かず薄い草履一つだけで獣道を歩けばそうもなろう。草の葉や、突き出た枯れ枝に何度も引っかけた足は所々に血が滲んでいて、大変痛々しく映っていた。

    「こら、とっとと歩け!」

    じくりと刺すような痛みに思わずふらつけば、後ろからドンと強く背を突き飛ばされた。
    その衝撃でよろけた足が縺れ大きく体勢を崩す。両手を縛られているため、ろくな受け身もとれないまま地に転げてしまった。

    「おい!あんま乱暴にするな!大事な商品だぞ!」
    「分かってるっての!くっそ、このアマ!そんくらいで倒れてるんじゃねえよ!」

    ぎゃあぎゃあと騒ぎながらも、彼女を助け起こそうとするものは一人もいないらしい。
    ぐい、と両手の縄を無理矢理引っ張り上げられて、早く立てと促される。

    よろよろと立ち上がり、引かれるままに再び痛みを堪えて歩き出す。

    「まったく…、モンスターのガキを産んだ女がいるっつうから、わざわざこんなとこまで来たってぇのに…こうも道が悪けりゃな…」
    「でもよ、こいつ連れてけば大金で買うっつってる好事家がいるんだろ?それまでの辛抱だ。」

    がさがさと藪を掻き分ける音に混じって、男達の会話が静かな山林に響く。
    あんな山奥になぜ賊などが現れたのかと不思議におもっていたが、自分達の存在が人里に知られていたらしい。
    いつ見られていたのかは分からないが、ハンターや旅人が山奥に迷い込み、偶然あの家を見つけた…、という所だろうか。

    「しっかし、モンスターの幼体もいるって聞いてたのに、一匹も捕まえられなかったのは勿体ないな…」
    「だなぁ、人間の血を引くモンスターなんて良い金になったろうによ。」
    「ちげえねぇ!爪や牙をへし折ってもガキならすぐに生えるしな!あの帯電毛とやらも高く売れるんだぜ?」

    子供達が逃げきれて本当に良かった。
    あの時、家屋の外から複数人の足音が聞こえてすぐ、子らを裏口から逃がしたのだ。
    こんな外道な人間達に捕まっていたらと考えるとゾッとする。
    もっとも足首の枷に付けられた鎖のせいで、自分が逃げることは叶わず、そのままこの男達に家から連れ出されてしまったのだが。
    相手の目的が分からない以上、下手に抵抗することは避けていたが、ここまで聞き出せれば彼らに用はないのだろう。
    視界の端でちらちらと青白く輝く虫達がそう告げている。

    「けど、こんな女買ってどうしようってんだろうな。モンスターのお手つきだぜ?」
    「ばーか。世の中にはいろんな趣味の奴もいるんだよ。それに何も自分じゃなくて、他のモンスターに女犯させて楽しんでるイカれた物好きもいるしな。」
    「ああ、しかも獣のガキ孕める女なら良い見世物になるし色々使え……、なぁ…なんか静かすぎねぇか?」

    一人だけハンター崩れのような格好をした男がようやく気がついたらしい。
    さっきから矮小な獣達の鳴き声一つ聞こえず、己達の足音と声、そして葉擦れの音だけが不気味に響く異常さに。
    かつてハンターを志したなら、大なり小なり耳にしているだろう。
    かの狩人が顕現せし時、弱き獣は遁走し、その行く手を阻むものなしと謳われる、森の王の存在を。

    「まさ、か…、雄の雷狼、」

    男の言葉はそこまでだった。
    ひゅ、と青い閃光がまっすぐに宙を走り、ハンター崩れの男のこめかみに一本の苦無が突き刺さる。穿たれた男の目がぐるりと上を向き、そのままどさりと倒れた。
    もはや息をしていないことは誰の目にも明白だった。

    「う、うわあああ?!」
    「なっなんだ!?」

    恐慌状態に陥る男達。その隙をついて両手の縄を外し男達から距離を取るが、もはや彼女のことを気にしてられないのだろう。
    刃の欠けた武器をあらぬところに向け振り回し、四方を必死に威嚇している。

    だが、それは無駄というものだ。
    もう彼らを救うことは出来ず、また、救ってやる理由もない。

    ふ、と影が辺りを覆う。
    直後、頭上から男達と自分の間に巨大なものが、どうと地響きを立てて着地し、真っ直ぐに男達に向けて突進していく。

    「ぎゃあああ!?」
    「や、やめっ…!ぐげッ!」

    ざしゅりと肉が掻き削げる音、ばきばきと骨が圧し折られる音。ぐしゃりと頭が潰される音。
    人だったものが肉塊へと変わっていく音が無情に響き渡る。
    無双の狩人の番に手を出した愚か者達の末路だ。


    「教官」

    悲鳴の残響すら掻き消えた頃に巨体へと声をかける。
    振り向いたそれは噛み砕こうとしていた何かをぼとりと落とし、ぐちゃぐちゃと肉片を踏み潰しながら、此方へと向かってきた。
    そして彼女の目前で獣はその姿を変える。

    「大丈夫かい、愛弟子…?」

    そこに立っていたのは、雷狼竜を思わせる武具に身を包んだ偉丈夫。海松色の髪と目を引くような整った顔立ちの男性だが、頭部から生えた二対の角と、付いた血を飛ばすようにぶんと振っている鱗のついた大きな尾が、ヒトではないことを示していた。
    彼は彼女に手を伸ばそうとするが、その両手が賊の血にまみれていることに気がついたらしく、行き場を失った手が宙に留まる。
    そんなこと気にしなくても良いのにと、変なところで弱気になる夫に内心嘆息し、その胸へと飛び込む。

    「!?待って、ダメだよ…!キミに血が…」
    「…いいんです。ぎゅってしてください。」
    「…愛弟子……、うん…分かったよ…」

    恐る恐るといった様子で、背中に腕が回るのを感じた。一度触れてしまえばふっきれたのか、そのままぎゅうと強く抱き込まれる。

    「子供達は、無事ですか?」
    「うん…みんな無事だよ。あの子達が呼んでくれたから…、今は家で待たせてるよ。
    ごめんよすぐに助けて上げられなくて。怖かったよね、足も痛いだろう…?」
    「平気です、教官が来てくれるって信じてましたから」

    怖くなかったと言えば嘘にはなるが、本当に怖かったのは彼のほうだろう。
    子の遠吠えで危機を察し、慌てて家に戻ってみれば室内は荒らされ、大事に囲っている珠玉の如き番がいないのだから。
    不届き者達に追い付き、彼女が生きていることを確かめるまで気が気ではなかっただろう。
    抱きしめてくる大きな身体から小刻みに伝わる震えが、彼の味わった恐怖を教えてくれている。

    「帰りましょう、教官。あの子達が待ってます。」
    「…そうだね、キミの傷の手当てもしないとだし…、また巣も変えなきゃ…」

    そういって一度離れようとするが、予想に反して彼は腕を解こうとはしなかった。
    いつものように雷狼竜になった男の背に乗っていくのではないか?と首を傾げれば、彼は少し眉を下げ、帰るまでキミをこの腕から離したくないと呟く。それに応えるように小さく微笑み、その大きな背を抱きしめ返した。
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