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    palco_WT

    @tsunapal

    ぱるこさんだよー
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    palco_WT

    ☆こそフォロ

    おサノちゃんと諏訪隊ニキ。

    おサノちゃんが読モやってた雑誌はストニューをモデルにしてます。妻夫木くんとか押切もえちゃんとかいた頃の。ウィキには載ってないけどいしがきゆーま(平成ギャバン)もいたの覚えてる。

    「ほら、ココア呑むか」
    「どしたの珍しい。優しいじゃん」
    「俺は基本的に優しい男だぜ?」
    「うん、知ってる」
    「それに、特に、嫌なことがあったやつには」
     大きく広く、暖かい掌が、小佐野の髪を優しく撫でる。
    「分かっちゃうんだ~、諏訪さん」
    「分かるに決まってっだろ。俺はお前たちの隊長だぜ」


    「とは言ったものの、男の俺には話しづれぇこともあるだろ」
    「?」
    「悪いな、任せた」
    「微力ですが」
     諏訪と入れ替わりに入ってきたのは風間隊のオペレーターの三上だった。
     みかみか~、とおきゃんなおサノにしてはよろけた声で仇名を口にするのを、諏訪は背中だけで伺いながら、作戦室を出て行った。

     諏訪の見るところ、小佐野はここ数日、明らかに様子がおかしかった。それは堤や笹森も同じ見解だった。
     表面上はいつものマイペースでのんびりとして、屈託ない諏訪隊自慢のオペレーターだが、時たまぼーっとしてははっと我に返るとくしゃくしゃと歪めた顔を掌でぴしゃりと叩くように挟んでみたり、ふと気づけばクッションを抱きしめたままベイルアウト用ベッドに転がってじっとしていたり、スマホを眺めているようでいながら空いた片方の手が白くなるくらい強く握りしめていたりと、何がどうとははっきりとは言えないが、どうも「らしく」ないのだ。


     三上から連絡が来たのは、諏訪が煙草を三本立て続けに灰にしてから、ふらりと個人ランク戦会場に顔を出し、暇そうにしている顔見知りをブースに引きずり込んで五勝先取のマッチを何本かこなしてから、ラウンジで休憩していた時だった。

    「いいよ、おサノが自分で俺に話したくなるまで聞かなくて」

    「それとも、なる早で聞いといたほうがいい事案か?」
     そうですね、と三上は少しだけ思案し、
    「今度の新しいスポンサー、芸能プロダクションの共同代表だっていうあの男の人には用心したほうがいいと思います」
    「用心」
    「はい、用心です。おサノちゃんは当然ですが、他のオペレーターの子や、実行隊員でも女の子はふたりきりとかにさせないほうがいいです。オペレーター経由で周知しておきますけど」
    「……おいおい」
    「後で手回しして証拠を用意しますね」
    「手回し……証拠」
    「証拠はあったほうが何かあった時のために有効ですから」

    「ホント、ボーダー《うち》のオペレーターは優秀だねえ」

     実はね、と小佐野はふう、と一回大きく息をついてから、神妙な顔でお言葉を待っている風体の自隊の男どもを見やった。
    「読モやってる時にセクハラされたんだ」
    「!!!」
    「あ、みんな怒んない怒んない。昔の話だからいーの」
    「いや良くねえだろ」
    「腹いせに辞める時に、わざわざソールに鉄板の入ったゴリゴリのミリタリーブーツで思い切り蹴り上げてやったし」
     何をとは言わないが、何となくお察しできて、諏訪ら男子は姿勢を正して震えあがった。
    「もしかしてそれで読モやめたんですか?」
    「それが原因ってわけじゃないよ? ただ潮時だなと思ってたんだ。少し前から」
     小佐野は読んでいた雑誌をデスクの上に放り出した。東京ストリートイン、ストインと呼ばれている首都圏の高校生向けファッション雑誌だ。この雑誌の読者モデルから俳優やアナウンサーが多く輩出され、小佐野もよく載っていたことを、こういうジャンルにはさっぱりの諏訪でも知っていた。
    「綺麗な恰好して、フラッシュばしばし浴びるの気持良かったし、フツーの女子中学生やってるんじゃ会えない人や行かない場所に行ったりしたのは楽しかったけど、でもそれって自分だけがイイんだなと思ったら途端に詰まんなくなっちゃってさ」
    「そうかな。きっと、元気で可愛いおサノを見るのが楽しいって人もいっぱいいいたと思うよ」
    「ありがとう、つつみん」
     だったら良かった、とモデルの頃のように小佐野は鮮やかに微笑む。
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    作者からのリプライ

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    かきかけ折本にするつもりだったけど流し込んだらはみ出て笑うしかなかった……加減……分量の加減……狭い遠征艇での窮屈な環境と、門による跳躍が影響する三半規管だかトリオン臓器に由来する何かの器官に由来するもののせいなのかは分からないが、いわゆる空間識失調《バーディゴ》っていうのはこんなものなのかもしれない。
     シャバの空気を吸って半日以上経つのに、まだ本復しない体にハッパをかけながら、休暇明けには提出しないといけない仕事に手をつけては、もう無理と倒れ、いややらないといけないと起き上がり、しかし少し経ってはちょっと休むを繰り返していた冬島の携帯端末が着信に震えたのは、そろそろ空腹を胃袋が訴えかけた夕暮れ時だった。
    「おう、何だ、勇」
    「隊長、今からそっち行くけど、なんか買ってくもんあっか? どうせ、遠征から戻ってからぶっ倒れたままだろ」
     ありがてえ、とローテーブルを前に床にひっくり返って天井を見上げたまま、冬島は携帯端末に向かって矢継ぎ早に告げる。
    「弁当なんでも、あと甘い菓子パン何個か。ドーナツでもいい。それとチョコレート味の何か」
    「何かって何だよ。ケットーチ上がるぞ。カップ麺は?」
    「ハコでストックしてあるから大丈夫」
    「その分だと缶ビールもいらねえな。煙草《モク》は?」
    「そ 3454

    水鳥の

    供養初のイコプリSS。大半が十九歳。関西弁は空気で読んでください。 付き合ってからと言うもの、王子は事あるごとに生駒に好きを伝えたがる。
    「好きだよ、イコさん」
     時も場所関係なく伝えられる言葉に、生駒は不思議そうに尋ねたことがある。
    「なんや、王子、どないしたん?」
    「うーん、何でもないよ。ただ言いたいだけ」
    「それなら、ええ」
     にこにこといつもと変わらない笑顔を張り付けて、王子は生駒に言う。生駒は、本当にそうなら問題ないな、と頷いた。
     
    「で、今も続いてる、と」
     生駒から経緯を聞いていた弓場は、片眉を器用に持ち上げて嫌そうな表情をした。
    「そうや」
     生駒はいつもと変わらない表情で弓場の問いに答えた。
     日差しの気持ちよい午後、ボーダーのラウンジの一角に何故か十九歳組が集まり、何故か近況はどうなのかと言う事になり、何故か、王子と付き合っている生駒の悩み相談が開始された。
    「王子も可愛いところあるじゃないか」
     嵐山が、どこが悩みなんだ? と不思議そうに言う。
    「いや、何回も続くと生駒も鬱陶しいんじゃないのか?」
     嵐山の問いに柿崎が答える。
    「いや、そんなんないな」
     生駒は、当たり前だと言うように柿崎の言葉を否定した。
    「ないのかよ」
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