◆1.辰豊で今日のお題は『それでは皆様、良き余生を!』です。
「お前、あの時、なんで死のうとしたんだよ」
「あの場面で生き残っても仕方ねぇだろ」
ゆるやかに立ち上る煙を見つめながら豊は視線を合わせない。まっすぐ過ぎる視線に貫かれれば何かが崩壊してしまいそうで。
「生き残ったんだから、生きろよ」
「……さてね」
良き余生を過ごせるかどうか、それは目の前の相手にかかっているような予感が煙とともに通り過ぎていった。
◆2.辰豊で今日のお題は『誰かの代用品』です。
誰も誰かの代わりになんてなれないと知ることは大人になるための儀式の1つなのだろうか。
同じ高さの目線、短くて硬い髪、でかい手の平、骨太な身体。
余りにも違いすぎて代わりになんてなるはずが無かった。
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