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    ツ。(月灯)

    @tuki3rd

    ツ。のぽいぴく。月灯は以前使ってたHN。
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    ツ。(月灯)

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    エイ○アンズエ○アの豊写140+‪α‬字SS倉庫
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    #豊写
    #エイリアンズエリア
    aliensArea
    #SS

    ◆1.豊写で今日のお題は『はんぶんこ』です。

    「知らないかい?日本で1番有名なわけっこアイス」
    写楽の差し出した、瓶の形を模倣したアイスの片割れ。
    「…あのバカの入れ知恵だろ」
    写楽の生立ちを思い返せば自主的に食べてるとは想像し難い。
    「この前分けてもらってね、美味しかったから」
    美味しいと思った物を共有する。ただそれだけのことが二人にとって喜びになるまで、まだ時間が必要だった。

    ◆2.豊写で今日のお題は『忘れられないのです』です。

    「それは仕方の無いことだね」
    そんな聞き分けのいい台詞が聞きたいわけじゃなかった。どうしても消えない炎が胸に燻る。
    「ちゃんとフラれてくればよかったのに」
    もう出来ないことだから意味は無いと知っていても口にする写楽にこれ以上なにも言わせたくなくて、ただ乱暴にその唇を塞いだ。

    ◆3.豊写で今日のお題は『どうか泣かないで』です。

    泣くところなんて見せたくなかった。それでもコイツの言葉は容赦なく俺の心を抉っては癒していく。
    なんでオマエの言葉だけがこんなにも響くのか。
    それが既に執着から取って代わった恋心だとわかっていたけど​──今はまだ見ないフリをしていたかった。

    ◆4.豊写で今日のお題は『夢に出てきて欲しい』です。

    夢で会いたいヤツなんて存在しねぇ。よくあるキャッチフレーズに悪態をつけば隣から微かな笑い声。
    「奇遇だね、僕にもいないよ」
    他を持たない俺らは互いを失った時、夢に出てきてくれなんて思うのだろうか。そんな日は来なければいいと、その言葉から逃げるように背を向けた。

    ◆5.豊写で今日のお題は『ファーストキスは煙草の味』です。

    最初は触れるだけのキスだった。咥内を探り合うようになるまで、さほど時間はかからなかった。
    「苦……」
    いつもと同じ感想を豊は聞き流す。喫煙者と非喫煙者の舌が同じ味のはずもない。
    「ファーストキスからずっと苦いままとか考えものだね」
    その呟きに気を取られ、落とした灰が床を汚した。

    ◆6.豊写で今日のお題は『不釣り合いな私』です。

    俺がアイツに不釣り合いだなんて、自分が1番よく分かってんだよ。だけどそれがなんだ。そんなことで退けるくらいなら最初から好きになんてならなかった。好きになったら遠慮なんてしてる場合じゃねえと身をもって知っている。
    俺が不釣り合いでも、俺たちの関係を決めるのは俺たちだけだ。

    ◆7.豊写で今日のお題は『口の中が甘い』です。

    互いの口の中に甘さは無かった。苦い煙草と苦い珈琲の味が混ざりあっている。
    愛し合った者同士のキスが甘いと言うなら2人の関係は愛し合った者同士ではないのかもしれない。
    それでも互いの苦さに慣れてしまえばその奥底にあるほのかな甘味に、いつか気付けると期待していた。

    ◆8.豊写で今日のお題は『夢で逢いましょう』です。

    夢の中のアイツはいつも後ろ姿だ。こっちを向かせたくて。触れたと思った途端に消えて声がする。
    「夢で逢おう」
    夢の中で何をと言いたいのに俺は何も言えなくて宙に浮いた右手を下ろせない。現実でも捕まえられないのに夢の中でまでリアルを叩き付けてくるんじゃねぇ。たまには捕まえられてくれ。

    ◆9.豊写で今日のお題は『世界の摂理』です。

    世界の摂理とはなんだろうね。神の意志というのならばこの気持ちも僕たちの関係も神が定めたもうたものだと?神様なんて信じていない癖に「そうだと良いな」なんて薄く笑う君を見てそれは無いと言いたかった。しかしロマンチストなところがある君の夢を壊すのも気が引けたので笑い返すだけにしておいた。

    ◆10.豊写で今日のお題は『最高で最低な』です。

    最高に最低な相手だと思う。
    自分からは好きだと告げて爪痕を残しにくる癖にこちらからの爪痕は残させまいと逃げていく。ややこしいったらないね。それでも許容しているのは僕の都合なわけだ。逃がしたいわけでも捉えたいわけでもない関係。
    なんとなく癪に障るので、背中に物理的な爪痕を残してやった

    ◆11.豊写で今日のお題は『誰かの代用品』です。

    誰かの代わりでいいなんて殊勝なことは言えないな。僕は存外、自分で思うより我儘で、欲張りにできていたらしい。それともキミとの出会いでこうなったのか。
    この変化は嫌いじゃない。しかし身代わりは御免こうむりたいね。代用品なんかじゃないと思わせてくれたらその時こそ手を伸ばすと決めているよ。

    ◆12.豊写で今日のお題は『傷つけるのが怖かった』です。

    傷つけるのが趣味なわけじゃない。できるなら大事に閉じ込めてしまいたいくらいだ。
    アンタは大人しく閉じ込められちゃくれねぇし、つけようと思っても何一つ痕すら残させない。少しでもいいから自分の存在を刻みつけたくて。
    気が付いたら傷だらけのアンタはいつも通り笑って俺をみていた。

    ◆13.豊写で今日のお題は『僕じゃダメですか』です。

    「僕では駄目と言うことかな」
    ポツリと口から滑り落ちた音は隣で寝ている男に届かない。うなされる声を止めることが出来ない我が身を残念に思う。枕元にある男の煙草を拝借して深く息を吸った。同じ所へ堕ちることも天高くから手を伸ばすこともできやしない。それでも一時の慰めになれば良いと少しだけ肌を寄せた夜だった。

    ◆14.豊写で今日のお題は『なんとかは犬も食わない』です。

    犬にさえ知らぬ顔をされると言うけれど、そんな関係は今の自分たちと程遠い。
    「お前って喧嘩したことあんの」
    「勝負なら」
    そんな些細な違いなんて知らねぇよ。
    「勝てない勝負はしないと言うかしたくないんだけどね」
    それはお前らしいなと思っていたらキスがひとつ。
    「どうしてくれようかね」
    なにをどうするのか、どうするつもりなのか。きいてみてもはぐらかされるばかりで。そんなところが癪に障る。
    だからこれはお前のせいだと理由をつけて、舌をねじ込み蹂躙した。

    ◆15.豊写で今日のお題は『この手を取って』です。

    とうの昔に空になった手を見つめる。掴み損ねた物の数を数えるのも馬鹿らしいと思うのに止めることも出来ない。
    いつからか広げた手にふと温もりが重なった。そのまま掴んで引っ張ってくる手を離すまいと力を込める。手を取って欲しかったなんて思い知らされて、やっぱりアンタが良いと心から思った

    ◆16.豊写で今日のお題は『君と一緒ならばどこまでも』です。

    どうせ地獄に堕ちる俺なんか放っておけよと毒づく癖に縋るような眼差しでこちらを見つめている。自覚があるのか無いのか知らんがね、どうせ誰もが一度は地獄に堕ちるんだ。仕方がないから、何処までも一緒に行ってあげるよ。だから早く、一緒にいてくれとその口から聞かせておくれ。

    ◆17.豊写で今日のお題は『残り2センチ』です。

    あと2センチのところで動きを止める。最初の頃は不思議そうな顔をしながらもう一度目を閉じて2センチの距離をゼロにしてくれた。俺はそれが嬉しくて。独りよがりな想いじゃないのだと思いたくてまた止める。
    だけど今日はゼロにして貰えなくて目を開けば不満気な膨れっ面。したくないならしなくていいよと告げられて、慌てて自分から距離を詰めた。
    思うようにいかない相手に本音を引きずり出されて。

    いつももう一度好きになる。

    ◆18.豊写で今日のお題は『火傷するほどの恋』です。

    出会いは炎の中だった。互いを認識したあの日から、気が付けば恋焦がれて。操るばかりだった炎が反撃してきたかのように身の内を焦がす。もう人を信じることも好きになることも無いと冷めた心を、溶かすどころの騒ぎじゃない熱量で。
    恋心で火傷を負った。自覚した傷が水を求めて叫んでいた。


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    dandyhamaki

    MAIKINGべったーに投げてたやつ。荘園ENN組の馴れ初めというか知り合うアレソレ途中まで。
    最終的に初セッセするまで書こうとしてたと思う。
    初期に描いた落書き漫画とかの要素が所々ある
    「さわって」



    不意に発せられた言葉は実に小さく、しかし彼の声の低さからかしっかりと私の耳に届いた。


    −−−−−−−−−



    彼が、ノートン・キャンベルが荘園にやって来て何度か試合をやり過ごして来た頃だったろうか。
    試合の際の諸連絡以外では、彼から話しかけられたのは初めてだった気がする。


    「その眼は過去も覗けるんですか?」

    と。
    その時私はどう返したんだったか。

    この荘園に来る前は『彼ら』から告げられた予言に対し、興味を抱く者は少なくなかった。
    しかし私はそれ以上もそれ以下も話してはならなかったし、どちらにせよその好奇心が猜疑心になり、段々と罵りに変わる事が大抵で………ああ、そうだ。確かこう言ったのだ。

    「もし見えたとしたらそれは必要になる事なんだと思うよ。」

    と。

    −−−−−−−−−


    気のせいか、それから彼を、ノートンを何度か試合以外で見かける様になった気がする。
    彼は率先して試合に出ている気もする。
    彼が誰かと話すのをよく見る気もする。
    彼と試合が同じになる事が増えた気もする。

    今となってはアレは気のせいではなかったのだろう。


    「何か居るんですか? 4501