Paraphiliaポタリ、ポタリと水が垂れる音が小さく耳に届く。床に敷かれたカーペットのすぐ横、業者が先日綺麗にワックスをかけていたフローリングに落ちるそれは、オレの縛られた四肢から落ちる汗だった。
鬱血しそうな四肢に少しでも血を送らないと動かなくなる、肘にも膝裏にも汗が溜まって気持ち悪い。身動くと途端にさらに食い込むベルトは体を押さえ付けて、座らされたと言えば聞こえはいいが、雑に「置かれた」体はソファからずり落ちそうになって正面に座る男を睨みつけた。
手足を折り曲げて、拘束されながら、下着とオーバーサイズのシャツのみで居るオレの姿は他の奴から見ればさぞ滑稽なモンだろう。しかしコイツは———灰谷蘭はうっとりと、トランス状態に入った様に、恍惚とした表情で見つめてくるだけ。
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