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    Medianox_moon

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    Medianox_moon

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    第一話はここで終わり。次からまた12年前のお話になります。どうしてレオーネとリゼロンはこんな関係になってしまったのでしょうか?

    ##霧の森のリゼロン
    #創作BL
    creationOfBl

    霧の森のリゼロン 5 重い瞼を開くと、白いシーツが目に入った。身体が思うように動かず、呻きながら身を捩ると、薄暗い石作りの部屋が見える。そこに、一人のエルフの男が立っていた。
     白いブラウスに細身のズボンを身に着けた彼は、他の一般的なエルフと同じように無感情でとろりとした顔をしている。金色の髪は首のあたりで真っ直ぐに切られていて、彼はリゼロンが目を覚ましたことに気付くと、「お加減はいかがですか」と静かに尋ね、身体に触れて来た。
     それでようやくわかったことだが、どうやら自分は後ろ手に縛られているようだ。その上から薄手のローブをかけられただけの姿でベッドに転がっている。ここがどこで、自分に何が起こったのか。少し考えると全てを思い出してしまい、リゼロンは苦い思いをした。
     十二年ぶりの再会があのような形になってしまったことは、リゼロンとて残念だ。その責任の一端が自分にあるということも理解している。素直に全てを話してもいいのかもしれない……そう考えて、リゼロンは小さく溜息を吐いた。言いたく、ないのだ。
    「……レオーネは……?」
     リゼロンは思考をかき消すように、エルフの男に尋ねる。彼はリゼロンの身体にローブをかけ直しながら、「レオーネ様は仕事に参りました」と柔らかく答えた。
    「仕事、か……。あの小さかった子羊が、大きくなったのだな……」
     感慨深い。永遠を生きるエルフにとっては、時間の感覚すらも薄いのだ。最後に見たのが昨日のようにも思う。
    「あの……レオーネ様とは、長い付き合いでいらっしゃるのですか?」
     エルフの問いに、リゼロンは彼を見つめた。そうして質問を投げかけて来ること自体が、エルフという生き物にとっては珍しいことだ。リゼロンは一瞬考えて、「そなた」と声をかける。
    「名は何という?」
    「ミカ、と申します」
    「ミカ、か。そなた、レオーネの「奴隷」か?」
     この地では、エルフと人間の関係はそうしたものだ。しかし、ミカは「いえ」と小さく首を振った。
    「私はレオーネ様の「従者」です」
    「……そうか。従者、か……」
     リゼロンはその言葉にまた考え込み、ややして苦笑した。ミカが不思議そうに首を傾げているので、「いやな」とリゼロンは口を開く。
    「レオーネは優しい良い子だと思うただけだ。私に裏切られて尚、エルフを「奴隷」ではなく「従者」と認めるのだから」
    「それは、……私もそう思います。私は主をレオーネ様以外に存じ上げませんが、この国では、その……我々エルフの扱いは良くないと、レオーネ様が」
    「そうだ。だから、そなたのことを見ていればわかる。アレはそなたの、良い主なのだろうな、と」
     そして、レオーネが恨みを、悲しみを背負いながらも善人に育ったことに、密かな喜びを感じる。先程自分に向けられ、与えられたものがどうであろうと、それは事実だ。それに、何をされようと、どんな扱いを受けようと人を愛するのがエルフという生き物だ。多少の例外は有るとしても。
     そしてリゼロンはふいに気付いた。ミカはエルフだ。つまり、あの「拒絶の霧」を抜けることができる。
    「そうか、そなただな? 私をここに攫って来たのは」
    「……はい。それについては、貴方様には申し訳無いことをしたと思っております。ですが……」
    「よい、わかっている。エルフとは人の願いに逆らえぬ性分だからな」
     事実、リゼロンはそれについて全く責めるつもりもなかった。「普通のエルフ」は意思や感情が薄く、人を盲目的に愛するが故に疑い、逆らい、拒絶するということが無い。それ故に、長い歴史の中で人間の隣人から奴隷へと変わったけれど、それさえ受け入れてしまうような種族なのだ。
     一部の例外を除いては。
    「その上で尋ねる無礼をお許しください。私は、知らないのです。あのお優しいレオーネ様が、どうして貴方様にこのようなことを強いたのか……」
     そっと優しく身体を撫でられて、リゼロンは苦笑した。普通のエルフと違うと言っても、苦痛は感じにくく回復は早い肉体であることに変わりはない。気遣いはいらぬさ、と首を振って、それから少しの間、考える。
    「……私とレオーネの出会いについて、そなたに話してやってもよいが……。私はアレの考えたことはわからぬぞ。それでも構わぬか?」
    「はい、レオーネ様はあまり、昔の事をお話にならないので……。少しでも、あの方のことを知りたいのです。教えていただけますか、リゼロン様」
    「そうだな……。あれは、レオーネの言うことが正しければ、十二年前のことになるだろうか」


     それは、春の木漏れ日が優しい、とある日のことだった。
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    Medianox_moon

    MOURNING田中と宇津土とスキスギ君 っていうタイトルの、全くBLでもなんでもないコメディを書こうとしたものです。
    0 サラリーマンゾンビと神ベースとうっすい名刺 終わった。終わっちまった、何もかも。
     全てを失った……と言っても過言じゃない。俺はそう……一言で言って絶望に打ちひしがれ、孤独なサラリーマンゾンビのようにフラフラと歩いていたわけさ。
     街はすっかり日が暮れて、暗闇を街灯や店の照明が華やかに彩っている。道行く人は足早に駅へと向かう者と、逆にこれから夜を楽む者とでごった返していた。止まらない車の列は台風の日の河みたいに吸い込まれそう。そんな表通りは、サラリーマンゾンビと化した身には酷だ。
     そんなわけで、俺はその波から逃れるように、路地を曲がった。
     道が一本違うだけで随分静かになるもんだ。とはいっても、まだまだ繁華街の端。それなりに人は歩いていたし、暗い顔をして佇んでいる人影や、都会を生き抜く野良猫の姿も有る。通り一本挟んだ大通りの、人混みや車列がたてる音ははっきりと聞こえた。騒音だ。今の俺には、まごうことなき騒音。やけに大きく聞こえるから耳を塞ぎたくなったその時、俺の耳にボォン、と音が聞こえた。
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