共依存「桜くん…。別れよう。」
蘇枋とは付き合っていた。
1年の時、獅子頭連や六方一座、GRAVELも巻き込んだ、元風鈴生と街をかけた大きな戦いの後から。
きっかけは蘇枋からだった。
「桜くんが好き。付き合ってくれないかな?」
答えは首を振る間もなく頷いた。蘇枋を見てると心臓がバクバクとうるさくなり、血が沸騰するかのように頭のてっぺんから足の爪先まで燃えるように体が熱くなる。楡井や桐生…杉下なんて以ての外。こうなるのは蘇枋だけだった。ホラばっか吹くしすぐ人をからかってくる。でもそれが何となく嫌な気はしなかった。「素直で可愛いなぁ、桜くんは。」と、普段は大人びているのにその時に見せた柔らかく温かい、年相応な子供らしい笑顔が忘れられない。思い出す度に胸が…腹が熱くなる。俺だけがいい。その笑顔は俺にだけ見せて欲しい。この感情は『独占欲』というらしい。ついでに独占欲は主に好きな人に向ける感情らしい。異性からモテるという桐生や、女心がわかる椿野に教えてもらった。これが『恋』なのだと。『愛情』なのだと。
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