2020.05.06
誤字脱字はスルー
犯罪で捕まったリドルはとある心理学者を紹介された
ハリーと呼ばれた男はリドルに微笑む
「やぁ、君がリドル?僕はハリー・ポッター。ずっと同じ話も疲れるでしょ?退屈凌ぎにちょっとお喋りしよっか」
自分より歳上だろうが少し馬鹿そうで、それでも他の連中よりは話しやすそうかと承諾した
ハリーを下に見ながらいつも通りにのらりくらりと時間を過ごし、初めのうちは淡々としていた
それでも意外なことは、ハリーは話を聞くと言うよりはハリー自身がペラペラと身の上話をするだけで、リドルがどうこうという内容は一切なかったのだ
何度かやりとりを繰り返すうち、リドルは警戒を少しずつ解いていった
さっさと終わればいい→利用してやろう→ずっと続けばいいと無意識に気持ちが変化していく
ハリーはリドルの育ちを知って同情をしている。リドルを理解して心を楽にさせたいと思い接する。だがリドルの魅力に段々と同情以外のものを抱き始めてしまう
一方リドルは、自分を怖がらず、それでも上から目線とか同情とかを無しに変わらない態度を取るハリーに特別なものを見出す
出会いが早ければ友人になれたのでは、とらしくもないことを思っては振り払う
ハリーの心は自分だけのものになればいいと考え、今後どうするかを選択する
僕の心理を見抜いて君が捜し出せ、脱獄ルート
ふたりで生きて幸せになろう、釈放ルート
僕の為だけに泣いてくれ、死刑ルート
そもそも何故リドルは捕まったのか
リドルは裏で人を操って全てを手に入れてきた。犯罪を犯させて資金を得たり、相手の信頼を勝ち取って手駒にしていく
いわば高遠のような犯罪プロデューサーで生きてきた(高遠は金田一少年の事件簿の人物)
直接手を下したのはマートルと父親のみ。それ以外は他人にやらせて傍観。
親殺しの後は特にこれといった目的もなく、つまらない人生に潤いを与えようとただ自分が最高に楽しい瞬間を探す
リドルの存在が噂されてしばらくが経ち、ついにリドルは別の刺激を求めていく
「自分が捕まったらどうなるだろう。警察の取り調べはどんな感じだろうか。面白い話はできるだろうか。脱獄してやったらどんな顔をするだろうか」
興味の赴くまま、リドルは自首をしてしまう
初めは如何にも罪悪感を持ったかのように振る舞い懺悔をし、様子を見ながら段々と本性を表していく
話が進むにつれて、リドルの精神状態は異常であると判断され、事情聴取や裁判などは後回しになりカウセリングを受けることに
そもそも家庭環境の問題から、リドルがこうなるのも仕方ないのではと更生の余地を与えようとする。自首したことによるポイントもある(実際は興味本位からだが警察は見抜けず)
犯罪心理学者兼カウンセラーのハリーは「じゃあまず、カウセリングを行うからにはゴールを決めないとね。君は何か、困ってることってない?」と尋ねる
「困りごとですか?」
「なんでもいいんだ。ここには監視カメラはあっても録音はしていない。あくまでカウセリングだからね、事件抜きで話してみてよ」
「…なら、想像以上にここが退屈なことですかね。僕、退屈が嫌いなんです」
「そっかそっか、確かにつまらないね。僕だったら君みたいに何日も我慢できないよ。ならひとまずの目標は、君の退屈をどうしたら軽減できるのか…だね」
「君はどういう時に退屈を感じるのかな、僕に教えてくれる?」
「どういう時……頭の悪い会話。意思疎通のできない馬鹿を相手する。意味もなく役立ちそうもない言動。無表情で反応のない奴。同じことの繰り返し」
「ふんふん…なるほど。そういう時、君は普段どうやって過ごしてきたの?」
「それはもうわかっているでしょハリー先生。今更聞くんですか?その質問もつまらないです」
「ああごめん。事情聴取でわかってる範囲じゃなくて…そうだな、君の幼少期とかはどう?まだ誰にも話していないんじゃない?孤児院にいた時のこととか、聞いてもいい?」
「みんな良い人でしたよ。悲しいことも沢山あったけど、僕は今でもみんなが大好きです」
「つまらなかった時、君はどうしたの?」
「…聞きたいですか?」
「うん。聞きたいな、君のこと」
子供の頃からリドルは人を操って嫌いな人物を陥れてきた
うるさい女の子は計画的に事故が起きるよう仕向けて殺したり、
突っかかってくる男の子は倍の嫌がらせを仕返したり散々怪我を負わせたりしたあと自殺になるよう殺し、
大人にはわんわんと泣きついて同情を誘う
学校に通い始めると優等生を演じて人気者に。
裏ではイジメの主犯格になりつつもそう思わせず過ごして自殺者や加害者を増やした
青年になると彼女を取っ替え引っ替えしたり、
体の関係を作って子供ができたら即流れるよう暴力を振るったり良くないものを飲ませたり。
それでもリドルのことは何も話させずひとりずつ自殺や事故死をしていく
リドルのやり方に気付いた先生らも、心を入れ替えると思わせておいて人生のどん底に突き落とす。性犯罪を犯させて逮捕させたり、生徒達から虐められるようにして退職させたり好き勝手
ダンブルドアというひとりの教師にだけは敵わなかった
就活途中で父親を直接嬲り殺し、リドル家は恨みを持ったメイドに殺させ、ゴーント家も村の住民に殺させる
ダンブルドアは邪魔をするし知ったような口を聞いて諭そうとしてくる
鬱陶しいのを我慢しながら卒業後は大学に入ろうと頑張ったが、一番入りたい所には推薦をしてもらえず
大学もつまらないかなと思い直し、いっそ起業でもしようかと考えながら孤児院を出て教会に身を寄せる
そこの神父は変わり者だった
リドルはころころと態度を変えていく
冷たかったり愛想が良かったり不機嫌だったり上機嫌だったり、様々な人格でハリーと話す
「どうして君は色んな性格で僕に話すの?他の刑事さんには一貫していたと思うけど」
「だって、わからないんです。ハリー先生はどんな僕が好みなのかなって。先生が気に入った方で僕は話しますよ。この際聞きますけど、どれがいいんですか?可愛い?怖い?かっこいい?」
「うーん…なら、本当の君がいいな」
「何をいっているんですか先生。どれも僕ですよ」
「そうだね、全部君だ。それは正しい。…でも、君の本音はどこにあるの?」
「………」
「演技をやめて本当の君を見せてよ。僕の言っていること、賢い君ならわかるでしょ?」
「…あはっ……アハッ…!アハハ…!」
「その通りだよポッターさん」
「今までの僕は全て別の仮面に過ぎない。だぁれも気付かなくて、本当につまらなかったよ」
まさか君のような男が見抜くなんてねぇ!とリドルはケタケタと笑う
「僕が考えるに、君は自分の行動に対して罪悪感なんて持っていない。どうして自首なんかしようと思ったの?」
「へぇ?そこまでわかってるんだ。自首に大した理由はないよ。単に飽きちゃってさ。退屈凌ぎにはなるかなって」
「…そう」
「更生の余地なしって報告するかい?そしたらどうなるのかな?終身刑?それとも死刑?どっちも似たようなものか」
「今後の報告と実際の判決はさておき、怖くないの?」
「何が?死ぬこと?なんでだい?暇でなくなるならそれもありだと思うな。あーでも、だとしたら終身刑は困るな、ずっと牢屋にいるなんて耐えられない。隙を見て自殺しちゃうかも」
「そんな簡単に自殺させるわけないでしょ」
「あっさり死ねる道具なんて、案外そこらに転がっているもんだよ、せんせ?」