耳触りのいいその声が、好きだと思った。
テレビに映った同じルーキーのインタビューを見て、素直にそう感じた。
柔和で優しく、抱きしめられているような包容力のあるその声は、耳にすんなりと受け入れられた。
声の主はウィル・スプラウトである。
日頃から関わる機会があるにも関わらず、ウィルの声をテレビで聞いて好きだと感じたのには理由がある。
なぜなら俺はウィルから嫌われているからである。嫌いである俺には絶対に向けられない優しい声_______________________
なぜ嫌われているのかと言うと、ウィルの幼なじみであるアキラを不良の道に誘い、危険な目に遭わせた張本人である、とウィルに思われているからだ。実際アキラを誘ったのは事実であるため、ウィルが俺を嫌っているのも無理はないな、と感じている。
「にしたってあからさますぎんだろ・・・」
テレビの向こうで幼なじみの話をするウィルは、まるで我が子の成長を見守る母親のような表情を浮かべていた。俺に対する態度とは真逆だな、とガストは思わずテレビの前でふっと笑った。