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    ガスウィルポメガバース

    #ガスウィル
    gaswill

    「キャンキャンッ!キャウンッ!!」
    「わ〜待て待て!!踏む!踏むから!!」
    穏やかな昼下がり。丸々としたフォルムの毛玉が床を転がる。それは一直線にとある人物を目指していた。とある人物、ガストは足にまとわりつく毛玉を踏まないよう、慎重に足をずらしている。それ見守るのは赤と青の弟分だ。
    「またか?」
    「まただ」
    「いい加減学習しないものか」
    「まあ、性格的に厳しいんじゃね?」
    普段の噛み合わなさはどこへやら。穏やかに言葉を交わすのには、それなりの事情があった。それは動く毛玉、ポメラニアン化した彼らの幼なじみに起因する。
    50年ほど前、この地にサブスタンスというものが現れた。高エネルギー体のそれは今では生活に欠かせないものとなっているが、厄介なことに利益だけをもたらすものでは無かった。それは、彼らヒーローが日夜活動していることからも明らかだ。
    サブスタンスは意志を持ち、超常現象や自然現象を起こす。それを利用したのがヒーロー能力だ。サブスタンスを投与することで人はその力を使うことが出来る。目には目を、歯には歯を、サブスタンスにはサブスタンスを、と言ったところか。だが、サブスタンスの影響はそれだけではなかった。
    サブスタンスが現れた時期からとある現象が報告されるようになった。人間のポメラニアン化だ。都市伝説レベルだったそれは、あちらこちらで目撃され事実として認められようになった。
    人間のポメラニアン化、通称ポメガバースは特定の人間が強いストレスを感じた時にポメラニアンになってしまうというものだ。そして、よく寝て、よく食べ、よく構ってもらうと人間に戻る。随分と愉快な超常現象である。ちなみに原因はよく分かっていない。何せ現象は一時的なものだ。戻らない場合もあるのだろうが、声が無ければ無いものとされる。そういうことだ。
    さて、視点を戻そう。アキラとレンの視線の先にはガストに撫でられシッポ振っているポメラニアンの姿。ミルクティーのようなその毛は光に透けて金にも見える。ここに本来居るであろう人物によく似た毛の色だ。
    「うわっ! 飛びつくなって! あーもう、抱えてやるからじっとしろ!こら!!ウィール!!」
    そう、そのポメラニアン、彼こそがサウスセクターのグリーンサム、ウィル・スプラウトである。

    「それで? 今回の原因は?」
    「多分、この間の緊急呼び出し」
    「ああ。あれか。確か被害は少なかったものの、そこで住民同士がトラブったって言う」
    「そうそう、仕方なく仲裁に入ったってのに一方的に文句言われてさ〜」
    思い出しただけでうんざりしたのか、アキラの顔は暗い。ガストとレンもなかなかに酷かったという噂話は耳にしている。
    「ウィルって根が真面目だから、まともにダメージ受けたっぽい。あんな奴ら文句言いたいだけなんだからとは言ったけど」
    「それで気にしないやつなら良かったんだけどな」
    「まあ、それでこそウィルだろ」
    3人に囲まれて構われているウィルは随分とご機嫌だ。人であるなら鼻歌でも歌いそうな雰囲気を出している。
    「それにしても、不器用だよな〜」
    「全くだ。こんな姿にならないと甘えられないなんて。ガスト、お前甲斐性がないんじゃないか?」
    「あ〜、ガスト恋愛偏差値ゼロだもんな」
    「お前らこういう時ばっかり息ぴったりなのなんなんだ? そんなことは、ない、はず……」
    ガストが自信を失っていると、3人の中心でぼふんっっっ!と爆発音がした。同時に、どこから現れたのか、もくもくと煙が上がる。3人は慣れた様子で距離を取り、煙が収まるのを待った。
    「お、今回は結構早かったな」
    「やっぱり3人なのが良かったんじゃないか?」
    「大丈夫か? ウィル」
    「……………」
    煙の中から現れたのは予想通り、ウィルだった。どういう仕組みか、服をきちんと身につけた彼はとんでもなく気まずそうに目を右往左往させている。しばらくして、意を決したように口を開いた。
    「ご迷惑を、おかけしました」
    「気にすんなって」
    「ああ、ある意味役得だった」
    「レンって犬も好きだっけ?」
    「ウィルなら」
    「それは分かる」
    「う、う〜~~」
    幼なじみの無自覚な攻撃に、ウィルの羞恥心は煽られる。それに関わっていないガストだけが、ウィルに対して同情の目を向けた。
    「お前ら、それくらいにしてやれ」
    「「は???」」
    「ほら、ウィルがゆでダコになってる」
    「ほんとだ」
    「どうしたんだ?」
    「……いいから、ほっといて」
    純粋な幼なじみにウィルは何も言えない。好意は純粋に嬉しいのだが、自分の身に降りかかったこの現象を考えると、どうしても先に恥ずかしさがやってくる。羞恥心に耐えきれず、その場にしゃがみこんでいるウィルの肩を、ガストが優しく叩いた。
    「2人とも、トレーニング行ってきたらどうだ?」
    「いやいや、話誤魔化すの下手すぎだろ」
    「アキラ行くぞ」
    「お、おう……」
    遠回しに出て行けと言われた2人は大人しくその場を立ち去る。これは、ポメラニアン化後の恒例行事のようなものだ。
    長男で世話焼き気質のウィルは人を甘やかすのは得意でも、甘やかされるのは苦手だ。特に幼なじみ2人の前では兄としての威厳を保とうとする。要するに、散々甘えてわがままに振舞ったポメラニアンの姿を2人に見られることは人間のウィルにとってはストレスの1つなのだ。可愛いなどの褒め言葉であってもだ。故に、人の姿で甘えられるのは現状1人と言っていい。
    「ウィル、こっち来い」
    「ん……」
    ウィルはガスト脳での中に大人しく収まる。普段はついツンケンした態度を取ってしまうが、それもまた、ウィルなりの甘え。でも、誰だって、素直に甘えたい時がある。彼にとってポメラニアン化の後、今この時が唯一のタイミングだった。 散々醜態を見せた後だからこそ、というやけくそにも似た行動ではあったが、弱っている時に甘やかされるのは存外心地の良いものだ。1度始めてからは、もう病みつきになってしまっている。
    「この間は頑張ったんだってな〜」
    「うん、頑張った」
    「そっかそっか。ならご褒美がいるな」
    「うん」
    「何がいい? やっぱりいちご大福か?」
    「……」
    「ん〜、そうだ、ノースに新しいケーキ屋が出来たんだよ。チーズケーキの専門店で、色々種類があるらしい。全部買って食べ比べするか?」
    「……スがいい」
    「お、なんだ?」
    小さな声はガストの耳に届かなかったらしい。ウィルの顔を覗き込むようにして耳を寄せれば、とんでもない爆弾が落とされた。
    「キス、してくれ。それで、もっと甘やかしてくれたら、それでいい」
    顔を赤くして、恥ずかしそうにしているくせに、目は期待に濡れていた。据え膳食わぬはなんとやら。生唾を飲み込んだガストは全身全霊を込めて、ウィルを甘やかすことにしたのだ。
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    DOODLEガスウィル
    ウィル女体化
    ガストを女性下着売場に放り込みたかったなどと供じゅ(ry
    ピンクや水色のふわふわとしたものから、赤や黒のきわどいデザイン、どこを見てもテイストの違う下着が並んでいるだけで逃げ場がない。自身の存在が明らかに場違いであることを肌で感じながら、ガストは足元を見つめることしか出来なかった。

    「なあ、アドラー。その、ちょっと行きたいところがあって……」
    もじもじと指をいじり、恥ずかしげに問いかける恋人に、一も二もなく頷いた。ウィルの頼み事だから、てっきりカップル限定スイーツのあるカフェだとか、購入制限のあるケーキ屋だとかそういうものだと思ったのだ。
    「……えっと、ここ?」
    「うん……」
    ウィルに連れられてやって来たのは、いかにも女の子のための店、といった外観の店だった。それもそのはず、ディスプレイに飾られているのは表に出していいのかと心配になるほど小さな布を身にまとったマネキンたち。そう、女性下着店だ。
    ガストは目を疑ったし、耳も疑った。今、「うん」って聞こえたけど実は「違う」の間違いだったんじゃないか? うん、きっとそうだ。
    「行こ」
    「お、おう」
    そうだよな、そんな訳ないよな。
    動かない俺の袖口を軽く掴んで、ウィルは店内へと足を進め 1106

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    DOODLEガスウィルポメガバース「キャンキャンッ!キャウンッ!!」
    「わ〜待て待て!!踏む!踏むから!!」
    穏やかな昼下がり。丸々としたフォルムの毛玉が床を転がる。それは一直線にとある人物を目指していた。とある人物、ガストは足にまとわりつく毛玉を踏まないよう、慎重に足をずらしている。それ見守るのは赤と青の弟分だ。
    「またか?」
    「まただ」
    「いい加減学習しないものか」
    「まあ、性格的に厳しいんじゃね?」
    普段の噛み合わなさはどこへやら。穏やかに言葉を交わすのには、それなりの事情があった。それは動く毛玉、ポメラニアン化した彼らの幼なじみに起因する。
    50年ほど前、この地にサブスタンスというものが現れた。高エネルギー体のそれは今では生活に欠かせないものとなっているが、厄介なことに利益だけをもたらすものでは無かった。それは、彼らヒーローが日夜活動していることからも明らかだ。
    サブスタンスは意志を持ち、超常現象や自然現象を起こす。それを利用したのがヒーロー能力だ。サブスタンスを投与することで人はその力を使うことが出来る。目には目を、歯には歯を、サブスタンスにはサブスタンスを、と言ったところか。だが、サブスタンスの影響 2814

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