越後の開業日「越後ーこれあげる」
白新から手渡された小さな冊子。越後のお気に入りの蕎麦屋の回数券。
「あ、ありがとう」
おうよーと言い乗務へ戻る白新を見送る。これで3冊目だ。今日はやたらと蕎麦関連のものを貰うが、何かあっただろうか。ぱたぱたとさっき受け取った冊子を弄ぶ。その後、いつも通り仕事をしていると上官が尋ねてきた。
「越後ー」
「なんですか上越上官。御用なら呼び出してくだされば…」
「いーのいーの。ついでだから。今日先輩んちで飲むから来てねーってお誘いだから。」
「はぁ…」
「絶対来てね主役さん。じゃ、僕戻るね。」
そう告げ上越は戻って行った。
「主役…?」
越後にひとつの疑問を残して。
あと少しで終業時刻という時にトラブルが発生してしまった越後は少し遅れて在来の上越の部屋へとやってきた。インターホンを鳴らし部屋へと上がると。パンッという破裂音とともにひらひらと紙が舞う。
『越後開業日おめでとう』
越後は目を瞬かせる。
「さっ主役も来た事だし飲むぞー!」
信越の一言で酒瓶が開けられる。白新は未だに状況を掴めていない越後の背を押し席に着かせる。
「これどういう事…?」
「何言ってるのさ越後!今日君の開業日だろう?」
「開業日…?」