見ないふり、見えないふりひとつ向こうの線路に見える、人のような形の黒いもや。あぁまたか、なんて思いながらそっと視線を外す。
気づいたら見えるようになっていたそれは、どうやらあまりよろしいものでは無いらしい。
まだ開業もしていない幼い頃にあれはなんだと東西に聞いた。けれど東西にそれは見えていなかったようなので、特徴などを細かに伝えたら顔色を変え銀座の所へ連れていかれた。
滅多なことで動じない銀座が少しばかり動揺していたのを覚えている。状況がよく分からないまま二人を待っていたら銀座がとても静かな声で教えてくれた。
それは一種の亡霊の様なもの。目を合わせてはならない。もし見つけてしまったらそっと目を離し気付かないふりをしなさい。と
没!