火傷したら山形が過保護気味になった。昨晩は山形と鍋をした。大分夜の空気が冷え始めたので体が温まるものを食べよう、と秋田から提案したのだ。その提案に乗った山形。どうやら彼の中の体が温まるものといえば鍋だったようなので、時期は少し早いが鍋に決定したのだ。
数度目の追加の具を投入した後。秋田は自分の器におかわりを盛ろうとおたまを手に取る。一杯目を装った時、手の甲が鍋のふちに当たってしまった。当たってすぐ、反射で手を引っこめブンブンと振る。短かい時間とは言え、縁に触れてしまった部分はうっすらと赤くなっておりチクチクと痛む。少しすれば収まるか、と二杯目をよそおうとするといつの間にか席を立っていた山形に手を掴まれる。
「冷やさねど。保冷剤もってぎだがら冷やしぇ」
そう言われ薄手のハンカチに巻かれた保冷剤を受け取り赤くなったところに当てる。少しするとジリジリチクチクしていたのが収まったような気がしたので再びおかわりを装うとすると再び山形から静止が掛かる。
「俺がやっから。何欲すい」
自分でやる、と言おうとしたが何を言おうと絶対やらせてくれない気がしたのでいくつかオーダーをし山形に装ってもらう。