タチの悪い冗談だと思っていた 前編【キジアシュ】今は春。
ゴーンゴーンと鐘が鳴り響く、正午になる時間であろうホームの桜の木の近くで、数人の星の子達がそれぞれが思う顔で無言でもごもごと口を動かしている。アシュアもしかめっ面で口元を動かしていた。
ほんの数刻前のこと。
桜の季節が来る頃やって来た精霊から、それぞれ数粒さくらんぼを貰えたのだが、それを見たししょーが言ったのだ。
『ねぇ、知ってる?さくらんぼのこの先に付いてるやつを舌で結べたらキスが上手なんだって!』
その場に居た、アシュア、エダ、ぽて、結、キジ、みなが驚き、そして「またか」とでも言うような顔でししょーを見ている。そんな雰囲気もどこ吹く風のマイペースなししょーは、すでに空になった器に残ってるさくらんぼの茎を口に放り込むと、んーーっと言いながら動かしてから舌を出した。その舌先には綺麗な輪っかに結ばれた茎が一つあった。へぇっと見るみんなにししょーは、ふふんと笑うと
2299