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    玲マリ文字書きです。

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    友好状態の玲太くんとマリィちゃん。
    ハンドクリーム塗りながら指先揉んでね、というお話。
    マリィのことをもっと知りたいと思う玲太くんからの無意識スキンシップ。

    【玲マリ】ゆびさき「またカサカサになっちゃった」

    あかりがムッと唇を尖らせて、それからちょっと弱った顔をする。
    それから自分の手のひらを握ったり開いたりして、ポーチの中からハンドクリームを取り出して塗り始める。
    寒さが増してきてから、あかりのこの仕草をよく見るようになった気がする。
    ちょっと手を洗っただけでも乾燥するから、小まめにケアしないといけないのだとボヤいていた。

    「ん? それ、昨日と違うクリームか?」
    「そうだよ。前のは使い切っちゃったから、新しいの。よく気付いたね、玲太くん」
    「そりゃあ……」

    幼馴染だし、おまえのことはそれなりに興味深く見ているからだ、とは口にせず。

    「昨日のと匂いが違う気がして」
    「今年限定の紅茶の香りのやつだって。ふふ。いいにおい」
    「へえ。そういうのもあるんだな」

    ついさっき弱った顔をしてたのに、香りひとつでご機嫌な様子になってる。
    ほんと、小さなことでコロコロと表情が変わって……あかりは見ていて飽きない。
    手に甲から指の一本一本、ゆっくりハンドクリームを塗り広げていく様子を見ていると、その動作に興味がわいてきた。

    「俺もやる」
    「玲太くんも、ハンドクリーム塗る?」

    どうぞ、と差し出されたチューブじゃなく、俺はその手の方を取る。

    「よく塗り込んだ方がいいんだろ?」
    「え? あ……」
    「おまえ、指先冷たいな。ついでにここ、爪の付け根のとこを押すと血行が良くなるって」

    あかりの細い指にクリームを塗り込みながらマッサージをしていく。
    貝殻のような小さな爪のひとつひとつ、自分の指を滑らせて、少しだけ力を入れてフニフニと揉むようにしてやるとあたたまってくるし、しっとりとした肌の感触になっていくのが分かって、おもしろい。

    「たしかに、いいにおいだ」

    こうしていると俺の方にも紅茶の匂いが漂ってくる。
    意外とハーブのような、柑橘系も混じったようなすっきりとした香り。あかりはこういうのも好きなのか。
    かわいいとか、おいしいとか、そういうの以外でも好みが知れて、ちょっと嬉しくなるのは何故だろう。
    そういえば、前に一緒に買い物に出かけた時には細かなラメの入ったマニキュアが塗られていたけど、学校ではさすがにそういうのはしないのか。
    また何かで出かける機会でもあれば、彩られた指先が見られるんだろうか。

    「こんな感じでどうだ?」
    「え……っ、と」

    すべての指先を揉んであたためて、爪の血色も良くなった気がするし、ちょっとした達成感を持って視線を上げると、――そこにはあかりの真っ赤に染まった顔があった。
    俺はそれを見て一瞬理解できずに固まって、それから自分の両手で包み込んでいる細く柔らかなぬくもりについて、一気に意識が集中する。
    あかりの手。
    女の子の、異性の、手だ。
    それを俺は思いっきり無遠慮に掴んで、触りまくってしまった。

    「わ、わるい! 別に、変な意図はなくて……でも、ごめん」
    「うん。あの。だいじょうぶ……」

    ここまでしておいて今更だけど、慌てて手を離して無礼を詫びる。
    仲が良い間柄ではあるけど、男にいきなりこんなに触れられたら、驚くだろうし気味が悪いと思われても仕方がない。
    あかりは首を振って「だいじょうぶ」と繰り返してくれる。

    「あの……。ありがと。あったかくなったよ」
    「うん……」

    あたたまったのはこちらもだ。
    二人して赤くて熱くて茹で上がるような顔になってしまったし、ドキドキと妙な緊張感が漂ってる。

    「また、してほしいかも」

    ポツリと呟いたあかりの声と、自分の手にまだ微かに残る紅茶の香りに、しばらくざわついた鼓動は落ち着かないままだった。
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    李南(りな)

    DONEGSワンライの玲マリSSです。お題「綺麗になった」で新婚さんな玲マリの話。初めて知った時から結婚してからも日に日に綺麗になっていくマリィを想う玲太くん。新婚なので、いちゃ甘です。真告白ルートネタバレ含みます。
    綺麗になった 俺が最初に彼女を知ったのは幼稚園の芋掘り日だった。あの時の泥で汚れた全開の笑顔を見て決めたことを彼女に打ち明けると、彼女はすごく驚いていた。
    「だって、ほんとに小さい頃のことだし、泥で汚れた顔なんてきれいじゃなかったと思うし……」
    「そうだな。でも、俺には綺麗に見えたんだ」
     理屈では説明できない。それがきっと運命ってやつなんだろう。
     それから十年以上の時を経て、キャンプ場で彼女に焼き芋をあげた時、幼稚園の芋掘りの時と同じ笑顔だった。違っていたのは泥がついていないことくらいで。
    (本当に綺麗になったな……)
     その時の彼女の笑顔を見て、改めてそう思った。あの時だけじゃない。体育祭で颯砂に負けた俺に寄り添ってくれた時も、縁日でかざぐるまを真剣に見ていた時もそう思った。そして、卒業式に教会で二人だけの式を挙げた時、ウェディングドレス姿でもない制服姿で、指輪も無くて俺が渡した髪飾りを身に着けて、最高に幸せそうな笑顔を見せる彼女が一番綺麗だって思った。
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